タダノユニックの作動油(油圧作動油)は、見た目が似ていても「指定の粘度・規格」「温度条件」「運用負荷」「補充か全量交換か」で判断が分かれやすい項目です。現場では「減ったから足す」「動きが遅いから換える」と短絡しやすく、結果として不具合の切り分けが難しくなったり、余計な診断コストが増えたりします。
特に2t〜3tの小型ユニックは、短時間の稼働を繰り返す運用や、現場間の移動・屋外保管が多くなりやすく、油温の上がり方や汚れの入り方が一定になりにくい傾向があります。運用条件が一定でないほど「いつも通りの感覚」で油を判断しやすくなるため、作動油は感覚ではなく、確認場所と判断順を固定して扱うほうが安全です。
結論:作動油はメーカー指定を基準に管理し、判断に迷う作業は自社で行わない。
この記事は、作動油の“銘柄推し”ではなく、メーカー指定に沿った選び方と、補充・交換・油種変更・不具合対応の境界線を「判断軸」で整理します。2t〜3tの小型ユニック運用で迷いやすいポイントを先回りし、事故・二次故障・法規リスクを避けながら、合理的に作動油管理を組み立てることが目的です。
点検や交換判断を作動油だけで完結させず、交換・点検の基本整理から判断したい場合は、【ユニック車のメンテナンス】点検・交換の考え方で、日常点検と交換の考え方を先にそろえると判断がぶれにくくなります。作動油は「油だけの話」に見えても、実際はフィルタ・ホース・シリンダ・アウトリガー周りの点検とセットで管理したほうが、漏れや異常兆候の見落としを減らせます。
この記事で判断できること
- ✅ タダノユニック作動油を「何を基準に」選ぶべきか
- ✅ 自社で対応できる範囲(点検・補充・記録)と、依頼すべき境界
- ✅ 交換目安を“断定せず”運用条件から考える視点
- ✅ 動作不良が作動油由来かを切り分ける整理順
クイック診断(3択)|いま何を優先する?
- ✅ 補充が必要そう:量の低下が見える/漏れ跡がある → 「メーカー指定の確認」と「漏れの有無確認」を優先(不足の原因が漏れなら、補充だけで済ませるほど再発しやすくなります)
- ✅ 交換を検討中:前回交換時期が不明/汚れが気になる → 「履歴の確定」と「交換の前提条件整理」を優先(油を換える前に、油種の確定と混合リスクの整理が必要です)
- ⚠️ 不具合が出ている:遅い・異音・警報・動かない → 「停止判断」と「症状ログ化」を優先(油の判断を急ぐほど原因が隠れやすい)
迷ったときのチェック(3つ)
- ✅ 型式・銘板・取扱説明書で「指定」が確認できているか(同じタダノでも機種・年式で指定が変わる可能性があるため、推定で決めない)
- ✅ いま必要なのは「補充」か「全量交換」かが分かれているか(補充と交換は目的もリスクも別で、同じ手順として扱うほど失敗しやすい)
- ⚠️ 速度低下・異音・警報など“油以外”の可能性がある兆候を見落としていないか(油を疑う前に、発生条件と直前の変更を固定して記録する)
著者情報・監修条件
著者:ユニック車ガイド編集部(車両運用・点検・選定の実務目線)
監修・確認条件(YMYL):
- ✅ メーカー一次資料(取扱説明書・注意表示・仕様資料)と車両表示(銘板・注意表示)の条件一致を照合する(資料と現車の条件が一致しない場合は、現車優先で確認ルートへ切り替える)
- ✅ 現場条件 → 作業計画 → 整備体制の順で最終判断する(作業半径や姿勢、アウトリガー設置条件で負荷が変わるため、油の判断も運用条件とセットで考える)
- ⚠️ 油種・粘度・混合可否を症状だけで断定しない(不具合時は記録して依頼。安全装置が絡む兆候は自己判断で触らない)
作動油の種類・指定|「何を使えばよいか」を安全に決める

結論:作動油は「メーカー指定(型式ごとの基準)」を起点にし、銘柄ではなく規格・粘度・使用温度条件の一致で選びます。
理由:ユニックの油圧回路はポンプ・バルブ・シリンダ・安全装置の制御が連動し、油の性状が合わないと動作遅れや異音、保持性低下の原因になりやすいためです。特に小型ユニックでも、作業半径が伸びる・アウトリガー設置が不十分になる・姿勢が不安定になるほど、油圧系の負荷は増えやすく、油の状態差が動作差として現れやすくなります。
補足:「同じISO粘度だから大丈夫」「他社の油圧油なら同じ」は誤解されやすいポイントです。添加剤の相性や運用温度帯の違いで、混合・置換後に症状が出るケースもあります。さらに、油種が合わない場合は“すぐ壊れる”とは限らない一方で、保持性の低下や微妙な遅れのように、現場では気づきにくい形でリスクが蓄積することがあります。
具体:まずは「指定の確認場所」を固定し、そこから外れない運用にします。判断材料は「油缶のラベル」よりも、取扱説明書・銘板・整備記録の一致を優先します。
メーカー指定の確認場所(優先順位)
- ✅ 取扱説明書・整備資料:作動油の指定(粘度・規格)と注意事項(温度条件や交換時の注意が書かれていることが多く、油種だけ見て判断しない)
- ✅ 車両の銘板・注意表示:型式・製造番号・注意表示の条件一致(同じシリーズ名でも仕様差があり得るため、銘板情報の一致を優先する)
- ✅ 社内の整備記録:過去に何を入れたか(混合リスク回避。油種だけでなく、補充した日と量も残っていると原因追跡が早い)
- 🔍 不明な場合:メーカー・販売店・整備業者へ「型式・製造番号・現状油種」を添えて照会(現場の運用条件も一言添えると、温度条件や使用環境の注意が返ってきやすい)
汎用油・他社製品は使える?(条件付きで考える)
結論:「メーカー指定と同等条件で適合が確認できる」場合に限り検討余地が出ますが、混合や油種変更を伴う運用は自社判断で進めないのが安全側です。
理由:同等規格に見えても、添加剤・耐摩耗性・消泡性・シール材との相性が異なると、置換後にトラブルの切り分けが難しくなります。小型ユニックは使用頻度が一定でない場合が多く、置換直後は問題が見えなくても、冷間始動が続く時期や連続作業が増える時期に症状が表面化することがあります。
補足:「補充だけ」のつもりが、実際は油種が混ざり合い、後から全量交換と洗浄が必要になることがあります。油種が不明な状態での補充は、結果として“油種変更をしたのと同じ”状態になりやすい点が落とし穴です。
補充・交換の判断|交換目安を“断定せず”運用条件で決める
結論:作動油管理は「補充」「全量交換」「油種変更」を分け、交換目安は稼働頻度・温度条件・汚れや混入の兆候から見積もります。
理由:小型ユニックでも、短時間稼働が多い運用・屋外放置・粉じん環境・高温条件では劣化や混入の進み方が変わり、カレンダーだけで一律に決めるとズレが出やすいためです。さらに、作業半径が長い作業や、アウトリガー設置が制約される現場が続くと、油圧系の負荷が上がりやすく、油温上昇や泡立ちの出方が変わる可能性があります。
補足:「色が黒い=即交換」とは限りませんが、色・におい・泡立ち・乳化などは“判断材料の一部”として活用できます。においの変化や乳化は水分混入の可能性がある一方で、見た目だけでは判断できないため、異常兆候が出ている場合ほど自己判断で結論を急がないほうが安全です。
具体:判断を早めるために、まず「現状が補充で済むのか」「全量交換が必要なのか」を整理します。補充と交換は同じ“油を足す・入れ替える作業”に見えても、目的とリスクが別である点を固定して扱います。
補充で済むケース/済ませないケース(境界)
- ✅ 補充を検討しやすい:減少が軽微で、漏れ跡が限定的/油種が確定している/動作に異常兆候がない(補充後に油量が安定するか、短いスパンで再点検できる体制がある)
- ⚠️ 補充で済ませない:油種が不明/混合の疑いがある/泡立ち・乳化・異音・動作遅れがある(補充で“原因が油かどうか”の手がかりが消えやすい)
- ⚠️ 補充前に必ず行う:減った理由の確認(にじみ・漏れ・ホース周り・シリンダ周辺の汚れ)(アウトリガー周辺やホース接続部は汚れが付着しやすく、清掃してから観察すると漏れの再発が分かりやすい)
| 判断テーマ | 自社で判断しやすい範囲 | 依頼に切り替えやすい範囲 |
|---|---|---|
| 油種の確定 | 取扱説明書・銘板・記録で一致が取れる(同じ油を継続し、混合を避けられる) | 記録がなく油種不明/混合の疑い(油種変更に近い状態になりやすい) |
| 作業の種類 | 量の点検・補充・周辺清掃・写真記録(作業結果を記録として残せる範囲) | 油種変更・洗浄を伴う全量交換・不具合併発(原因切り分けと安全確認が必要になる) |
| リスク兆候 | 動作が安定しており兆候がない(再点検で変化を追える) | 遅い・保持できない・異音・警報などがある(油だけに寄せず診断が必要) |
交換目安を決めるときの「見落としやすい前提条件」
- ✅ 稼働頻度:毎日稼働か、月数回かで劣化の進み方が変わる(稼働が少ない場合も、長期保管で水分混入や汚れ付着が起きやすい)
- ✅ 温度条件:冷間始動が多いか、高温環境が多いかで粘度影響が出やすい(冬場は動きが重く感じても、油だけが原因とは限らない)
- ✅ 粉じん・雨水:タンク周辺の汚れや水分混入リスクで状態が変わる(雨天作業・屋外保管が続くほど、乳化の兆候は注意が必要)
- 🔍 記録がない場合:交換時期の“推定”ではなく、まず現状の油種と状態を確定する(油種不明のままの交換判断は、後の切り分けを難しくする)
不具合・トラブルとの関係|作動油が原因かを切り分ける
結論:動作遅れ・異音・保持不良があっても、原因を「作動油だけ」に寄せず、発生条件→症状の再現→記録の順で切り分けます。
理由:油圧回路の不具合は、油の劣化以外にもフィルタ詰まり、吸込み側のエア噛み、ホースの劣化、バルブ・シリンダの摩耗など複合要因があり、先に油を換えると診断の手がかりを失いやすいためです。小型ユニックでも、作業姿勢や作業半径で負荷が変わり、同じ症状でも出たり出なかったりするため、発生条件の固定が重要です。
補足:「交換したら直った/直らなかった」だけでは再発防止になりにくく、依頼時の説明も難しくなります。油を換える前の情報が残っていないと、再発時に「どこが変わったのか」を比較できず、停止期間が長引きやすくなります。
具体:不具合時は、油の種類を急いで決めるよりも、依頼先に渡せる情報の精度を上げます。操作手順・負荷条件・作業半径など、再現性の条件をセットで残すと診断が早くなります。
記録しておくと診断が早くなる「症状ログ」
- ✅ いつ発生するか:冷間・温間、始動直後、連続稼働後など(時間帯や外気温も一言残すと比較がしやすい)
- ✅ どの動作で出るか:伸縮・旋回・巻上げ・アウトリガなど(複数動作で出るか、特定動作だけかを切り分ける)
- ✅ どの条件で変化するか:無負荷/負荷、作業半径の違い、姿勢の違い(作業半径が伸びるほど症状が強くなるかも記録する)
- ✅ 目視情報:泡立ち、乳化の有無、にじみ箇所(写真)(清掃後に再発するかも追えると原因推定がしやすい)
- ✅ 直前の変更:作動油の補充・交換、フィルタ交換、整備履歴(補充量や実施日もセットで残す)
作動油が疑われやすい“見え方”(例)
- ✅ 冷間時だけ極端に動きが重い(温まると改善する)(ただし、吸込み側のエア噛みやフィルタ詰まりでも似た見え方が出ることがある)
- ✅ 動作中に泡立ちが目立つ/保持が安定しない(作動油の消泡性だけでなく、吸込み側の微小な漏れでも泡が出る可能性がある)
- ✅ 交換・補充の直後から挙動が変わった(混合・油種差・空気混入など複数要因の可能性がある)
- ⚠️ ただし、同じ症状でも別要因があり得るため、油の断定は避けて記録を優先する(安全装置の介入が疑われる場合は自己判断で進めない)
安全・法規・管理|自社でできる範囲と注意点

結論:自社で行う作動油管理は「点検・補充・記録」に寄せ、油種変更や不具合が絡む作業は依頼に切り替えます。
理由:油圧機器は安全装置や制御と密接で、誤った介入が事故や二次故障につながる可能性があります。運用面では、記録が残らないと再発時の説明ができず、結果的に停止期間が長引きやすくなります。特に作動油は“入れた瞬間に正解が分かる”ものではなく、運用の中で差が出るため、記録と再点検の体制が安全側の前提になります。
補足:必要な資格・体制は作業内容で変わります。現場ルールや整備体制で「誰が、どこまで」を固定すると判断がぶれにくくなります。加えて、車両の積載・作業範囲・アウトリガー設置条件など、作業条件が安全側に寄っていない状態での自己作業は避けたほうがよく、作業可否は状況で変わる点を前提にします。
具体:自社の基本動作は、確認順と“触らない境界”を決めて運用します。判断に迷う項目は「メーカー指定に適合しているか」「油種変更に相当しないか」「不具合と同時発生していないか」で切り分けます。
自社でできること(基本)
- ✅ 指定確認:取扱説明書・銘板・記録の照合(指定が複数ある場合は、温度条件や注記も含めて一致を取る)
- ✅ 点検:量の確認、周辺の清掃、漏れ跡の観察、写真記録(清掃→再発観察の順にすると原因追跡がしやすい)
- ✅ 補充:油種が確定し、漏れ兆候が整理できる場合に限定(補充後は短いスパンで再点検し、減り方を追う)
- ✅ 記録:補充量・実施日・油種・症状の有無を残す(不具合がない場合も「異常なし」を残すと比較がしやすい)
自社でやらないこと(境界)
- ⚠️ 油種変更を伴う置換(混合や洗浄が絡む判断)(実質的に油圧系の条件変更になり、切り分けが難しくなる)
- ⚠️ 不具合が出ている状態での“当てずっぽう交換”(原因を隠し、再発防止の手がかりが消えやすい)
- ⚠️ 安全装置や制御に関係する兆候がある状態での介入(警報・停止・保持不良は自己判断で進めない)
遅い・異音・警報など症状が出ている状態で、修理依頼前に情報をそろえて判断を誤りにくくしたい場合は、【タダノユニック 修理】依頼前に確認すべき症状と注意点で、依頼時に伝えるべきポイントと注意点を整理してから相談すると話が早くなります。自己作業を増やすほど情報が混ざりやすいため、症状がある場合は「何を触ったか」も含めて記録するほうが安全です。
失敗例→回避策(現場で起きやすい)
- ⚠️ 油種不明のまま補充 → ✅ 先に油種を確定し、混合リスクを避ける(油種が確定できない場合は“補充”ではなく“変更”になりやすい)
- ⚠️ 動きが遅いから交換 → ✅ 温間/冷間・特定動作・負荷条件を記録して切り分ける(作業半径や姿勢で症状が変わる場合は特に記録が効く)
- ⚠️ 記録を残さない → ✅ 補充量・油種・実施日・症状をセットで残す(写真とセットにすると再発時の説明が早い)
- ⚠️ 交換で直らず再診断 → ✅ 先に症状ログ化し、依頼先へ渡せる情報を整える(先に油を換えるほど比較材料が減る)
FAQ(簡潔回答)
タダノユニックの作動油は何を使えばよい?
型式ごとのメーカー指定(粘度・規格)を基準に選びます。取扱説明書・銘板・整備記録で条件一致を確認したうえで判断します。次に確認すべきポイントは、銘板の型式・製造番号と取扱説明書の対象範囲が一致しているか、そして現在入っている油種が記録で確定できるかです。
汎用の油圧作動油や他社製品でも大丈夫?
メーカー指定と同等条件で適合が確認できる場合に限り検討余地がありますが、混合や油種変更を伴う運用は安全側に避けます。次に確認すべきポイントは、同等条件の根拠(規格・粘度・温度条件)を示せる資料があるか、そして補充で“混合”になる可能性がないかです。
作動油が減った。補充だけでもよい?
油種が確定し、減少理由(にじみ・漏れ跡)が整理でき、動作に異常兆候がない場合は補充を検討しやすいです。次に確認すべきポイントは、漏れ箇所の写真記録を残したうえで清掃し、補充後に同じ箇所へ再びにじみが出るかを短いスパンで観察できるかです。
交換のタイミングは何で決める?
稼働頻度・温度条件・粉じんや水分混入のリスク・状態(泡立ちや乳化など)から総合的に見積もります。次に確認すべきポイントは、交換履歴が分かる記録が残っているか、残っていない場合は現状油種を確定できるか、そして不具合兆候が同時に出ていないかです。
動きが遅い・異音がする。作動油が原因?
作動油が関与する場合もありますが、油だけに断定せず、温間/冷間・特定動作・負荷条件などの発生条件を記録して切り分けます。次に確認すべきポイントは、どの動作で再現するか、作業半径や姿勢で変化するか、そして直前に補充・交換などの変更があったかを時系列で並べられるかです。
まとめ+CTA(次に取る行動を明示)
結論:タダノユニックの作動油は、型式ごとのメーカー指定を基準に選定し、補充・交換・油種変更・不具合対応を「別の判断」として切り分けます。
理由:油の判断を急ぐほど切り分けが難しくなり、二次故障や停止期間の長期化につながる可能性があるためです。小型ユニックでも、運用条件(作業半径・姿勢・アウトリガー設置条件)で負荷が変わり、症状の出方が変化するため、記録と条件整理が安全側の近道になります。
- ✅ メーカー指定(取扱説明書・銘板・記録)を起点にする
- ✅ 補充・全量交換・油種変更を明確に区別する
- ✅ 不具合時は停止判断と症状ログ化を優先し、依頼へ切り替える
- ✅ 交換・補充履歴を点検記録として残す
🧭 次に取る行動:
取扱説明書・銘板・整備記録で作動油の指定と現状油種を確定し、補充か交換かを分けて判断します。油種変更や不具合が絡む場合は、症状ログ(発生条件・写真・直前の変更)を整えて、メーカーまたは整備業者へ相談します。自己判断で触る範囲を増やすよりも、情報の精度を上げて相談するほうが、結果として復旧が早く安全側です。


コメント