【日野デュトロ クレーン付きトラック】特徴と選び方の基本

小型のクレーン付きトラックが現場で軽量資材を扱うアイキャッチ写真 クレーン付きトラック

日野デュトロのクレーン付きトラックは、デュトロのシャシーにクレーン装置と荷台を組み合わせた架装車で、クレーンの型式やブーム段数、荷台構成によって仕様が変わります。

「2t車」「2.93t吊り」という表示だけでは、必要な運転免許や実際に吊れる重量を判断できません。

選定時は、車両総重量、最大積載量、作業半径、定格総荷重、ブーム段数、アウトリガ張出幅を確認し、車検証、クレーン型式、性能表と現場条件を照合することが重要です。

日野車をベースにしたクレーン付きトラック全体の車種構成から確認したい場合は、【日野ユニック】対応車種・特徴・選び方の基本を先に確認すると、デュトロとレンジャーの役割を整理できます。

小型クレーン付きトラックと担当者が車両条件・クレーン性能・現場条件を確認する場面

この記事では、日野デュトロのクレーン付きトラックの構成、代表的なクレーン性能、向いている用途、購入前の確認手順、必要な免許・資格、安全管理について、具体的な数値を交えて解説します。

著者:ユニック車ガイド編集部

車種名や最大表示だけで判断せず、車検証、クレーン型式、定格総荷重表、現場条件を照合できるように、メーカー公式資料と公的情報を基に整理しています。

 

日野デュトロのクレーン付きトラックとは

日野デュトロのクレーン付きトラックは、完成した単一製品の名称ではありません。日野デュトロのシャシーをベースに、クレーン装置、荷台、アウトリガなどを組み合わせて製作される架装車です。

そのため、同じ「日野デュトロのクレーン付き」と呼ばれる車両でも、次の組み合わせによって仕様が変わります。

構成部分 役割 確認する内容
シャシー エンジン、キャブ、フレーム、車軸など車両の土台 車両型式、車両総重量、軸距、標準幅・ワイド幅
クレーン装置 荷物の積み降ろしや移動 メーカー、型式、つり上げ荷重、ブーム段数、作業半径
荷台・ボディ 資材や機械の積載 荷台内寸法、床材、あおり、荷台長、最大積載量
アウトリガ クレーン作業時の車両安定性を確保 最大張出幅、現場で確保できる設置幅、地盤状態
PTO・油圧装置 一般的な油圧式クレーンへ動力を供給 作動状態、異音、油漏れ、操作手順

市場ではクレーン付きトラック全般を「ユニック車」と呼ぶことがありますが、実際に搭載されているクレーンが古河ユニック製とは限りません。タダノ製などの場合もあるため、車両名や販売広告だけでなく、クレーン本体の型式銘板を確認してください。

クレーンメーカーについて詳しく確認する場合は、【古河ユニック株式会社とは】事業内容と強みを解説と、【タダノユニックとは】特徴・性能・種類・選び方を総まとめが参考になります。

結論|選ぶときに確認する6つの数値

日野デュトロのクレーン付きトラックを選ぶときは、車種名や販売上の通称ではなく、次の6項目を確認します。

確認項目 分かること 主な確認資料
1.車両総重量 必要な運転免許や車格 車検証
2.最大積載量 公道走行時に積載できる荷物の上限 車検証、完成車仕様書
3.つり上げ荷重 クレーンの資格区分と最大表示 クレーン型式銘板、仕様書
4.作業半径 旋回中心からフックまでの水平距離 作業範囲図、現場実測
5.ブーム段数・最大地上揚程 届く距離と高さの目安 クレーン仕様書
6.アウトリガ張出幅 作業時に必要な横方向の設置空間 クレーン仕様書、現場実測

重要:「2t車」「3t車」という呼び方は、一般に最大積載量の目安として使われますが、クレーン架装後の完成車が必ず表示どおりの最大積載量になるとは限りません。

クレーン本体、アウトリガ、補強材などの重量が加わるため、最大積載量や荷台長は完成車ごとに変わります。2t・3tクラスの寸法と重量条件は、【日野デュトロ ユニック】2t・3tの寸法と積載の考え方で詳しく整理しています。

2.93t吊りでも作業半径で吊れる重さは変わる

作業半径1.6mでは2.93t、6.43mでは0.43〜0.53tとなる定格総荷重の代表例

「2.93t吊り」は、すべての位置で2.93tを吊れるという意味ではありません。クレーンの最大性能は、一般に「つり上げ荷重×作業半径」で示されます。

古河ユニックの小型トラック架装用3段ブームを例にすると、最大クレーン容量は2.93t×1.6mです。これは、所定条件で作業半径1.6mまで2.93tを吊れることを表します。

公式資料に掲載された仕様例 URG293AW URG293A
ブーム段数 3段 3段
最大クレーン容量 2.93t×1.6m 2.93t×1.6m
最大作業半径 6.43m 6.43m
最大作業半径時の空車時定格総荷重 0.53t 0.43t
最大地上揚程 約7.9m 約7.9m
アウトリガ最大張出幅 3.8m 3.4m

※古河ユニック公式資料に掲載された特定機種の例です。日野デュトロの全車両に共通する数値ではありません。架装車両、キャブ幅、クレーン仕様、作業方向、アウトリガ張出状態などで性能は変わります。

定格総荷重は、ブームの長さや角度、作業半径などに応じて吊ることができる最大の荷重です。フックなどのつり具重量も含まれるため、実際に吊れる荷物の重量は定格総荷重からつり具重量を差し引いて考えます。

また、同じクレーンでも、次の条件によって適用できる性能が変わります。

  • 使用しているブームの長さ
  • 実際の作業半径
  • アウトリガの張出幅
  • 前方・側方・後方などの作業方向
  • 架装されている車両の大きさと仕様
  • 荷台が空か、荷物を積んでいるか

最終的な可否は、現車に備え付けられた定格総荷重表と取扱説明書で判断してください。販売広告の「2.93t吊り」という表示だけで作業可否を決めるのは危険です。

3段・4段・5段・6段ブームの選び方

小型トラック架装用クレーンには、3段から6段までのブームが設定されている代表例があります。段数が増えるほど遠く、高い位置へ届きやすくなりますが、段数の多さだけで選ぶことはできません。

ブーム段数 2.93t吊り機の最大作業半径例 最大地上揚程例 選定時の考え方
3段 約6.43m 約7.9m 比較的近い位置での荷役が中心
4段 約8.73m 約10.1m 距離と車両重量のバランスを取りやすい
5段 約10.63m 約12.0m 離れた場所や高所へ届かせたい場合に検討
6段 約12.63m 約13.9m 広い到達範囲が必要な場合に検討

※古河ユニックURG290AW・URG290Aシリーズの代表的な仕様例です。型式、メーカー、架装条件によって異なります。

ブーム段数が増えると最大作業半径は広がりますが、最大半径付近の空車時定格総荷重は、3段機よりも小さくなる例があります。公式資料のURG290AWシリーズでは、最大作業半径時の空車時定格総荷重は、3段機が0.53t、4段機が0.25t、5段機が0.15t、6段機が0.12tです。

また、クレーン装置の重量や搭載位置が変われば、完成車の最大積載量や荷台長にも影響します。普段の現場で必要な作業半径と高さを測り、必要以上に長いブームを選ばないことも重要です。

日野デュトロのクレーン付きが向く用途・慎重に選ぶ用途

日野デュトロ級クレーン付きトラックの適合しやすい用途と慎重に選ぶ用途を整理した図解

日野デュトロのクレーン付きトラックは、運搬と荷役を1台で行えることが強みです。ただし、作業の適合性は荷物の重量だけでなく、作業半径、荷物の形状、地盤、アウトリガ設置幅によって変わります。

区分 用途・現場の例 確認するポイント
適合しやすい 建材、設備、資材の運搬と荷降ろし
住宅地や小規模現場への搬入
短時間の荷役を同じ車両で行う作業
必要な定格総荷重と作業半径が性能表の範囲内で、アウトリガを安全に設置できる
仕様確認が必要 最大作業半径付近での作業
長尺物、板状物、重心が偏った荷物
傾斜地、軟弱地盤、道路上での作業
荷物の重量だけでなく、形状、重心、風の影響、地盤、周囲空間を確認する
別車格・外注を検討 大きな作業半径で重量物を頻繁に扱う
アウトリガを十分に張れない現場が多い
デュトロでは積載量に余裕がない
中型車、別形式のクレーン、現場用クレーン、外注などと比較する

特に長尺材や板状物は、重量が小さくても荷が振れやすく、風の影響も受けます。「軽いから吊れる」と判断せず、玉掛け方法、介錯ロープ、立入管理、合図者の配置まで含めて検討してください。

購入・中古車選びで確認する順番

クレーン能力とアウトリガ設置条件と作業体制を購入前に確認する手順の図解

購入候補を探し始める前に、自社で扱う最大条件を整理します。中古車の在庫から先に選ぶと、価格や年式に引かれて、必要なクレーン能力や積載量を見落としやすくなります。

  1. 吊り荷の最大重量を確認する
    荷物本体だけでなく、フック、ワイヤロープ、ベルトスリング、吊り治具なども考慮します。
  2. 必要な作業半径を測る
    車両を設置する位置からではなく、クレーンの旋回中心から荷物までの水平距離を確認します。
  3. 定格総荷重表で照合する
    最大表示ではなく、使用ブーム、作業半径、アウトリガ張出幅に対応する数値を確認します。
  4. アウトリガを張れる幅を確認する
    車幅だけでなく、左右の張り出し、受け皿、敷板、作業員の通路を含めて測ります。
  5. 車検証で車両総重量と最大積載量を確認する
    販売上の「2t車」「3t車」ではなく、完成車の車検証で判断します。
  6. クレーンの型式と製造年を確認する
    ブーム段数、つり上げ荷重、安全装置、アウトリガ仕様を型式銘板と資料で照合します。
  7. クレーン装置の状態を確認する
    油漏れ、異音、ブームの変形、ワイヤロープ、フック、巻過防止装置、アウトリガの作動を点検します。
  8. 点検記録と資格体制を確認する
    年次・月次の検査記録と、運転、クレーン操作、玉掛けを担当できる人員を確認します。

中古車は、トラック部分とクレーン部分を分けて確認することが重要です。走行距離が少なくてもクレーンを高頻度で使用している場合があり、反対に車両年式が古くても点検と補修が適切に行われている場合があります。

古河ユニックとタダノのどちらを選ぶか

古河ユニックとタダノのどちらが一律に優れているとは判断できません。日野デュトロへ架装するクレーンを選ぶときは、メーカー名よりも、必要な能力と維持管理のしやすさを確認します。

比較項目 確認内容
必要能力 必要な作業半径と定格総荷重を満たす型式があるか
操作性 操作レバー、ラジコン、安全装置が自社の運用に合うか
整備環境 販売店や指定サービス工場へ持ち込みやすいか
部品・修理 補修部品や点検、修理を継続して依頼できるか
中古車の状態 メーカー名だけでなく、使用履歴、点検記録、油漏れ、ブーム状態を確認する

すでに社内で同じメーカーのクレーンを使用している場合は、操作方法や教育、整備先を統一できることも判断材料になります。

運転免許・クレーン資格・玉掛け資格

日野デュトロのクレーン付きトラックを使用する際は、公道を運転する条件、クレーンを操作する条件、荷物を玉掛けする条件を分けて確認します。

運転免許は車検証の数値で確認する

平成29年3月12日以降に取得した免許について、運転できる車両の主な上限は次のとおりです。

免許区分 車両総重量 最大積載量
普通免許 3.5t未満 2t未満
準中型免許 7.5t未満 4.5t未満
中型免許 11t未満 6.5t未満

免許制度は取得時期によって異なり、8t限定中型免許や5t限定準中型免許として扱われる場合があります。免許証の条件欄と車検証の車両総重量・最大積載量を必ず照合してください。

クレーン操作はつり上げ荷重で区分される

移動式クレーンのつり上げ荷重 クレーン操作に必要な資格・教育
500kg以上1t未満 移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育
1t以上5t未満 小型移動式クレーン運転技能講習
5t以上 移動式クレーン運転士免許

一般的な2.63t吊り、2.93t吊りの積載型クレーンは、つり上げ荷重1t以上5t未満の範囲に入るため、クレーン操作には小型移動式クレーン運転技能講習の修了が基本となります。

玉掛けもクレーン操作とは別に確認する

使用するクレーン等のつり上げ荷重 玉掛けに必要な資格・教育
500kg以上1t未満 玉掛けの業務に係る特別教育
1t以上 玉掛け技能講習

玉掛けの区分は、実際にその日に吊る荷物の重量だけではなく、使用するクレーン等のつり上げ荷重で確認します。運転免許を持っていても、クレーン操作や玉掛けを自動的に行えるわけではありません。

点検と安全管理

クレーン付きトラックは、購入時の状態だけでなく、導入後の点検と記録管理が重要です。所有者側で確認する主な項目には、次のものがあります。

  • 年次の定期自主検査
  • 月次の定期自主検査
  • 作業開始前点検
  • 定期自主検査記録の3年間保存

中古車を選ぶ際は、直近の検査日、検査記録、修理・補修履歴を確認します。記録が確認できない場合は、購入後に必要となる点検や修理費も含めて判断してください。

作業前に確認する危険条件

  • 軟弱地盤や埋め戻し部分へアウトリガを設置していないか
  • 傾斜地で車両を水平に設置できるか
  • 側溝、マンホール、埋設物の上へアウトリガを置いていないか
  • アウトリガを必要な幅まで張り出せるか
  • ブームが架空線、建物、樹木と干渉しないか
  • 吊り荷の下や旋回範囲へ人が入らないよう管理できるか
  • 操作者と合図者の合図方法が統一されているか

アウトリガの張出幅が狭くなると車両の安定度が低下し、適用できる定格総荷重も小さくなる場合があります。可能な範囲だけ張り出して最大性能のまま作業できるとは限りません。

購入・中古・リース・外注の選び分け

日野デュトロのクレーン付きトラックを購入・中古・リース・外注で比較する図解

導入方法は、車両価格だけでなく、使用頻度、必要なクレーン能力、整備体制、現場ごとの仕様差から選びます。

導入方法 向く条件 注意点
新車購入 使用頻度が高く、必要仕様が明確 初期費用、納期、架装後の積載量を確認する
中古車購入 初期費用を抑え、在庫仕様が用途に合う 車両とクレーンの状態、点検記録、修理費を確認する
リース 資金負担を平準化し、更新時期を管理したい 契約期間、整備範囲、中途解約、架装条件を確認する
レンタル・外注 使用頻度が低い、現場ごとに必要能力が変わる 回送費、運転手・作業員の範囲、予約条件を確認する

購入費用を比較するときは、車両本体価格だけでなく、登録、陸送、納車整備、クレーン点検、タイヤ、油圧系統、ワイヤロープ、修理予備費まで含めます。

使用頻度だけで一律の損益分岐点を設定するのではなく、自社で対応できない現場の割合や、外注した場合の待機時間も含めて比較してください。

日野デュトロ クレーン付きトラックのよくある質問

Q:日野デュトロのクレーン付きは何トン吊りが多い?

A:小型トラック架装用クレーンには、2.63t吊りや2.93t吊りの代表例があります。ただし、日野デュトロのすべてが同じ仕様ではありません。クレーン本体の型式銘板と仕様書で、つり上げ荷重、ブーム段数、アウトリガ仕様を確認してください。

Q:2.93t吊りなら2.93tをどの位置でも吊れる?

A:どの位置でも2.93tを吊れるわけではありません。2.93t×1.6mという表示は、所定条件で作業半径1.6mまで2.93tを吊れることを示します。作業半径が大きくなるほど定格総荷重は小さくなるため、現車の定格総荷重表で確認してください。

Q:3段ブームと4段ブームはどちらを選ぶ?

A:普段必要となる作業半径と高さで選びます。公式資料の代表例では、3段機の最大作業半径は約6.43m、4段機は約8.73mです。4段機は遠くへ届きますが、最大半径付近で吊れる重量や完成車の最大積載量も確認する必要があります。

Q:日野デュトロのクレーン付きは普通免許で運転できる?

A:車両によって異なります。平成29年3月12日以降に取得した普通免許の上限は、車両総重量3.5t未満かつ最大積載量2t未満です。クレーン架装車は車両総重量が増えるため、準中型免許以上が必要になる場合があります。免許証の条件欄と車検証を照合してください。

Q:古河ユニックとタダノはどちらを選べばよい?

A:メーカー名だけで決めず、必要な作業半径と定格総荷重を満たす型式、操作性、整備拠点、補修部品の入手性で比較します。中古車では、メーカーの違いよりも点検記録や油漏れ、ブーム、ワイヤロープなど現車の状態を優先して確認してください。

まとめ|車両・クレーン・現場条件をセットで確認する

日野デュトロのクレーン付きトラックは、運搬と荷役を1台で行える便利な車両ですが、車種名や「2.93t吊り」という表示だけでは適合性を判断できません。

  • 車検証で車両総重量と最大積載量を確認する
  • クレーン型式からつり上げ荷重、ブーム段数、作業半径を確認する
  • 定格総荷重表で実際の作業位置に対応する重量を確認する
  • アウトリガ張出幅、地盤、障害物を現場ごとに確認する
  • 運転、クレーン操作、玉掛けの資格を分けて確認する
  • 中古車ではクレーンの点検記録と作動状態も確認する

購入候補を比較する前に、最も重い荷物、最も大きい作業半径、必要な荷台寸法、現場で確保できるアウトリガ幅を整理しておくと、仕様不足や過大装備を避けやすくなります。

出典・参考情報

出典 確認した内容
日野自動車|デュトロ完成車ラインアップ・スペック比較 デュトロの車両型式、架装メーカー、最大積載量、車両寸法、車両総重量などの確認項目
古河ユニック|小型トラック架装用ユニッククレーン 2.63t・2.93t吊り、ブーム段数、最大作業半径、最大地上揚程、アウトリガ張出幅
古河ユニック|小型ユニッククレーン主要諸元表・定格総荷重表 定格総荷重の意味、作業半径別性能、資格区分、定期自主検査、記録保存期間
福岡県警察|各免許で運転できる自動車の範囲 普通・準中型・中型免許の車両総重量、最大積載量、取得時期による限定条件
厚生労働省 建設業ウェルカム|小型移動式クレーン運転技能講習 つり上げ荷重1t以上5t未満の小型移動式クレーンを操作する資格
厚生労働省|技能講習補助教材 小型移動式クレーン運転技能講習と玉掛け技能講習の公式教材

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