工事計画や手配の段階で「この条件で吊れるのか」「レンタル会社へ何を伝えるべきか」で迷う場面は珍しくありません。性能表(能力表)を見ても、条件の揃え方が曖昧なままだと判断がブレます。
結論はシンプルです。性能表と現場条件が一致していれば使用できます。一致していなければ使用できません。
この記事は、性能表の説明で終わりません。作業半径・吊上荷重・アウトリガー張出条件・ブーム構成を照合し、「使える/使えない」を根拠付きで判断できるように整理します。
なお、性能表の判断は現場条件の整理が前提になるため、作業半径だけでなく車体寸法・重量・走行条件など主要スペックも合わせて確認したい場合は、【オールテレーンクレーンのサイズ・重量・速度】主要スペック一覧が役立ちます。
- ✅ 作業半径と吊上荷重の読み取りポイントが分かる
- ✅ アウトリガー条件とブーム/ジブ条件の合わせ方が分かる
- ✅ 手配前に必要情報を揃え、社内・レンタル会社へ説明できる
著者情報・監修条件
著者:ユニック車ガイド編集部(現場実務寄り)
性能表の数字を見る前に、まず「その数字がどの条件のものか(アウトリガー張出・ブーム/ジブ構成)」を揃えます。条件が揃っていない比較は、判断ミスの原因になります。
本記事は特定メーカーや機種の推奨は行いません。安全・法規・資格に関する事項は、現場ルール・社内ルール・レンタル会社の指示で確認する手順として整理します。
性能表で迷うポイント(課題の全体像)
なぜ性能表は“読めても判断できない”が起きるのか
結論:条件(作業半径・アウトリガー張出・ブーム/ジブ構成)が揃わないまま数値だけを比較すると、判断ができません。
理由:性能表は「条件付きの能力」を示す資料です。条件が変わると参照すべき行や列、場合によっては表そのものが変わります。
補足:作業半径が同じでも、アウトリガー条件が違えば吊上荷重の扱いが変わります。ブーム長やジブ有無が違っても同様です。
- ✅ まず条件を揃える
- ✅ 次に該当箇所(セル/範囲)を特定する
- ✅ 最後に使用可否を判断する
現場担当者が抱える典型的な不安
結論:「吊れる前提で進めて後からNG」が最も避けたい事態です。
理由:工程遅延・費用増・再手配に加え、安全面でも現場の余裕が削られます。
補足:判断の根拠が曖昧なままだと、社内説明やレンタル会社とのやり取りでも話が噛み合いません。
- ✅ 「何を確認すべきか」を固定して伝える
- ✅ 「条件が不明な部分」を残したまま結論を出さない
この記事の前提(対象と範囲)
結論:オールテレーンクレーンの性能表(能力表)の「見方」と「照合手順」に限定して解説します。
理由:機種の推奨よりも、どの機種でも共通する判断軸(条件一致)を先に固定する方が、実務で再現性が高いためです。
具体:作業半径・吊上荷重・アウトリガー張出条件・ブーム/ジブ構成を、現場条件と一致させる方法を扱います。
結論と判断軸(最初に“照合ルール”を固定)

結論(Answer / 断言ライン)
結論:性能表と現場条件が一致していれば使用できます。一致していなければ使用できません。
理由:性能表は、作業半径・吊上荷重・アウトリガー張出条件・ブーム条件が揃ったときの能力を示します。
具体:同じ「吊上荷重」に見えても、条件が違えば参照する数値が変わります。条件一致が判断の出発点です。
判断軸(Decision Axis)
結論:主判断軸は「性能表条件と現場条件の一致可否」です。
理由:一致が取れない限り、性能表の数字は比較材料になりません。
- 🔍 主判断軸:性能表条件と現場条件の一致可否
- 🔍 副判断軸:作業半径と吊上荷重の関係
- 🔍 副判断軸:アウトリガー設置条件(張出条件)
- 🔍 副判断軸:ブーム構成(ブーム長・ジブ有無)
重要条件(重要チェック4点)
結論:次の4点が揃うと、性能表で使用可否の判断ができます。
理由:性能表は「条件のセット」で能力が決まるためです。
- ✅ 実際の作業半径が性能表の該当値以内である
- ✅ アウトリガー張出条件が性能表の前提条件と一致する
- ✅ ブーム長・ジブ有無などの構成が性能表の条件通りである
- ✅ 安全率を考慮し、性能表の限界値での使用を前提にしない
性能表の基本構成(どこを見れば何が分かるか)
性能表に載る“前提条件”の読み取り
結論:性能表は、数値の前に「前提条件」を確定する必要があります。
理由:同じ作業半径でも、アウトリガー張出やブーム構成が違うと別条件の能力になるためです。
補足:性能表の注記や見出しに、張出条件・姿勢・構成の前提が書かれていることが多いです。
- 🧩 条件の例:アウトリガー張出(全張出/一部張出など)
- 🧩 条件の例:ブーム長、ジブ有無、作業姿勢
- 🧩 条件の例:該当する作業モード(表が分かれる場合)
作業半径と吊上荷重の関係(数字の意味)
結論:作業半径が伸びるほど、吊上荷重は小さくなります。
理由:クレーン装置は、ブーム先端が遠くなるほど転倒に対する余裕が減るためです。
補足:性能表は「どの半径で何kg(何t)まで吊れるか」を整理した表です。半径は判断の入口です。
- ✅ 先に作業半径を現場で確定する
- ✅ 次に該当する吊上荷重を性能表で確認する
ブーム長・ジブ有無で表が分かれる理由
結論:ブーム構成が違うと、参照すべき性能表が変わります。
理由:ブーム長やジブの有無で、同じ作業半径でもクレーン装置に掛かる条件が変わるためです。
具体:ジブ有りの作業は、ジブ条件の表や注記を参照します。ジブ無しの表だけで判断しません。
アウトリガー条件が最重要になる場面
結論:設置条件が揃わないと、同じ半径でも使用可否が変わります。
理由:アウトリガー張出は転倒に対する余裕を左右し、能力の前提条件になります。
補足:設置スペースが不足して全張出ができない場合、参照する能力は下がる可能性があります。
- ✅ 張出可否は現場で先に確認する
- ⚠️ 張出条件が不明なまま結論を出さない
できること/できないこと(誤解ポイントを潰す)
「吊上荷重=何でも吊れる」ではない
結論:性能表の吊上荷重は「条件が揃った場合の上限」であり、現場条件の調整が必要です。
理由:吊り荷は荷の形状・重心・付属品の有無などで実際の扱いが変わります。
具体:吊り荷の重量は、吊具や治具を含めた総重量として整理し、性能表の条件へ寄せて判断します。
「最大能力」だけで機種を選ぶのが危険な理由
結論:必要なのは「その半径・その構成で吊れるか」です。
理由:最大能力は短半径や特定条件での数値である場合があり、実際の作業条件と一致しないことがあります。
具体:候補機種は、実際の作業半径での吊上荷重と、アウトリガー条件が成立するかで比較します。
性能表だけでは判断できない線引き(この記事の限界)
結論:性能表に記載がない条件は推測しません。
理由:推測で結論を出すと、手配ミスや安全上の判断ミスに直結するためです。
- ✅ 条件が確定できない部分は「確認事項」として残す
- 🧭 レンタル会社・社内安全担当へ照会して確定する
選び方・比較・実践(チェックリスト/比較表/失敗例→回避策)

照合手順(現場→性能表の順で当てはめる)
結論:現場条件を固定してから、性能表の前提条件を合わせます。
理由:性能表の該当箇所は、現場条件が決まらないと特定できないためです。
補足:性能表の数字を先に追いかけると、条件違いの表を参照しやすくなります。
- 現場条件を固定する(作業半径・吊り荷総重量・必要揚程・設置スペース)
- 性能表の前提条件を合わせる(アウトリガー張出・ブーム長・ジブ有無)
- 該当セル(または範囲)を特定して使用可否を判断する
現場確認チェックリスト(そのまま使える項目)
結論:次の項目を揃えると、性能表での判断と手配がスムーズになります。
理由:レンタル会社や社内の確認は、条件が揃っているほど回答が明確になるためです。
- ✅ 作業半径(実測または図面での水平距離)
- ✅ 吊り荷の総重量(吊具・治具を含む)
- ✅ 必要揚程(どの高さまで上げるか)
- ✅ 設置スペース(アウトリガー張出可否)
- ✅ ブーム長・ジブ有無などの希望構成
- ✅ 制約条件(障害物、作業範囲の制限、地盤条件など)
| 比較観点 | 候補機種A | 候補機種B | 候補機種C |
|---|---|---|---|
| 該当半径での吊上荷重 | (記入) | (記入) | (記入) |
| 必要ブーム長(または構成) | (記入) | (記入) | (記入) |
| アウトリガー張出条件 | (全張出/一部張出など) | (全張出/一部張出など) | (全張出/一部張出など) |
| 余裕の有無(○△×) | (記入) | (記入) | (記入) |
| 確認事項 | (不明点) | (不明点) | (不明点) |
失敗例→回避策(必須)
結論:失敗は「条件の見落とし」で起きます。回避策は「先に条件を確定する」ことです。
理由:性能表は条件付き資料のため、条件がズレると結論もズレます。
失敗例1:作業半径を過小に見積もり、当日ブームが届かない
- ⚠️ 半径の基準が曖昧だと、数mの差が出る
- ✅ 半径は水平距離として確定し、余裕を持つ
失敗例2:アウトリガー全張出が取れず、能力不足になる
- ⚠️ 設置スペース不足で条件が崩れる
- ✅ 張出可否を現場で先に確認し、該当条件の性能表を参照する
失敗例3:構成違い(ジブ有無など)の表を参照して誤判断する
- ✅ ブーム/ジブ条件名を先にチェックし、同一条件の表だけで判断する
クラスや用途の想定が曖昧な場合は、想定するトン数帯や役割を整理してから性能表を照合すると判断が安定するため、【オールテレーンクレーンの種類】クラス別(100t〜大型)の違いでクラスの違いを押さえておくと確認漏れを減らせます。
費用感・レンタル/購入/外注の考え方(条件提示で整理)
レンタルで失敗しない伝え方(性能表に沿って)
結論:レンタル手配は「性能表で必要になる条件」をセットで伝えると失敗しにくくなります。
理由:条件が揃うと、レンタル会社側も該当する能力確認と機種提案がしやすくなるためです。
補足:数値の裏にある条件が曖昧な場合、回答も曖昧になります。
- ✅ 作業半径(水平距離)
- ✅ 吊り荷の総重量(吊具・治具を含む)
- ✅ 必要揚程(高さ)
- ✅ アウトリガー張出可否(設置スペース)
- ✅ 希望構成(ブーム長・ジブ有無)
- ✅ 制約条件(障害物、作業範囲の制限など)
購入検討に寄せる場合の判断材料
結論:購入は「よく使う現場条件」と「運用体制」を、性能表の条件に紐付けて整理すると判断しやすくなります。
理由:性能表の条件が毎回変わる運用だと、購入しても活用しきれない可能性があるためです。
- 🔍 よく出る作業半径と吊り荷条件(頻度)
- 🔍 アウトリガー設置条件が取りやすい現場が多いか
- 🔍 保守・教育・運用の社内体制(属人化しないか)
外注(揚重計画含む)に切り替える判断
結論:条件が不確定、制約が多い、安全余裕が取りにくい場合は、外注も選択肢になります。
理由:現場条件の確定と計画の精度が求められるほど、確認体制の重要性が増すためです。
- ✅ 条件が揃わない部分が多い
- ✅ 余裕が小さく、限界値に近い判断になりやすい
- 🧭 計画・確認を含めた体制で選ぶ
安全・法規・資格の注意(確認手順として)
安全面での最低限の考え方(断定しすぎず)
結論:限界値運用を前提にせず、条件が揃わない場合は判断を保留します。
理由:性能表の限界値は「条件が完全に揃った場合の上限」であり、現場の不確実性を吸収できないためです。
- ✅ 余裕が取れない場合は条件の見直しを優先する
- ⚠️ 不明点が残る状態で結論を出さない
資格・合図・作業ルールは“現場の手順で確認”
結論:資格・配置・作業手順は、現場ルールとレンタル会社の指示で確認します。
理由:作業環境・会社ルール・機種により必要な確認事項が変わるためです。
具体:必要事項は「社内安全担当へ確認→レンタル会社へ照会→当日の配置と手順を確定」の順で整理します。
事前確認の段取り(当日トラブル回避)
結論:図面・写真・制約条件を揃えて照会し、回答を記録します。
理由:条件変更が起きたときに、何が前提だったかが分からなくなるのを防ぐためです。
- 現場図面・配置図・障害物情報を用意する
- 作業半径・総重量・揚程・張出条件を整理する
- レンタル会社へ照会し、回答を記録する
- 当日の条件変更に備え、変更時の再確認ルールを決める
FAQ
性能表はどの数値を見ればいい?
結論:作業半径と構成条件が一致する箇所の吊上荷重を見ます。条件が一致しない数値は比較に使いません。
作業半径はどこからどこまで?
結論:吊り位置と旋回中心の水平距離として、同一基準で確定します。基準が揃わない半径は判断ミスにつながります。
アウトリガー条件が分からないときは?
結論:条件が確定できないなら判断しません。現場確認で張出可否を確定し、該当条件の性能表で判断します。
メーカーが違うと読み方は変わる?
結論:形式は異なる場合がありますが、照合の考え方(条件一致)は同じです。条件名と注記を先に確認します。
性能表ギリギリでも使える?
結論:限界値運用を前提にしません。余裕確保と事前確認が必要です。不明点が残る場合は判断を保留します。
まとめ & CTA(要点→次の行動)
要点:使える/使えないは「性能表×現場条件の一致」で判断します。最重要は作業半径・アウトリガー張出・ブーム/ジブ条件です。条件が揃わない場合は推測せず確認に回します。
- ✅ 条件一致が判断の出発点
- ✅ 半径×吊上荷重は「該当条件」で見る
- ✅ 張出と構成が揃わない判断はしない
🧭 次の行動:現場条件チェックリスト(作業半径・吊り荷総重量・揚程・アウトリガー張出可否・ブーム/ジブ構成)を埋め、レンタル会社/社内へ照会します。


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