クレーンの種類が多いと、オールテレーンクレーンを手配すべきか判断が難しくなります。ラフテレーンクレーンやトラッククレーンとの違い、公道移動の前提、現場内の不整地対応の範囲が曖昧だと、当日の搬入・設置で詰まりやすくなります。特に「走れる=すぐ作業できる」と誤解すると、進入ができても設置条件(アウトリガー展開や地盤)で止まるケースが起きます。
結論はシンプルです。公道も現場も1台で走れる、高機動型の大型クレーン。ただし「1台で走れる」は万能の意味ではなく、移動と設置の条件が噛み合うと強い、という位置づけで捉えると判断がブレにくくなります。
性能紹介だけで終わらせず、「向く/向かない」を現場条件で線引きします。ラフテレーンクレーン・トラッククレーンとの違いを判断軸で整理し、ユニック車(クレーン付きトラック)と役割が重ならない理由も含めてまとめます。小型揚重の延長で考えると、必要能力が足りても現場条件や段取りが合わず、過不足が出やすい点も押さえます。
吊上能力のイメージを先に掴みたい場合は、オールテレーンクレーンの種類(クラス別:100t〜大型)の違いを確認すると、現場規模と必要能力の線引きがしやすくなります。あわせて「最大能力」だけではなく、作業半径・揚程・設置条件で実力が変わる前提で見ると、手配のズレを減らせます。
✅ この記事で判断できること:
・自社現場でオールテレーンクレーンを検討すべきか
・別のクレーン種別で代替できるか
・現場確認の優先順位(進入路・地耐力・設置スペース)
著者情報・監修条件
ユニック車ガイド編集部(現場・安全配慮):結論だけで終わらせず、「この条件なら適する/この条件だと難しい」を先に線引きし、確認手順(進入路→設置→作業条件)へ落とし込みます。現場で詰まりやすいのは「能力」より「段取り条件」の不足なので、前提条件を揃える順番を重視します。
監修は必須ではないテーマですが、安全・法規・資格に関わる内容は断定を避け、現場の運用ルールや有資格者の判断に従えるよう「確認手順」を中心に記載します。資格・許可・道路条件は地域や運用形態で変わり得るため、一般論で決め切らず、事前確認に落とし込む方針です。
オールテレーンクレーンで何が解決できる?(課題の全体像)

結論:オールテレーンクレーンは「必要な理由」と「現場条件」が噛み合うと、手配の迷いを減らし、段取りの確度を上げやすくなります。特に「現場までの移動を含めて、同じ車両で計画したい」ケースでメリットが出やすいです。
理由:公道走行と現場内の不整地対応を両立する設計のため、移動と作業を一体で考える現場で選定判断がしやすくなります。ただし「不整地対応」は万能ではなく、ぬかるみ・急勾配・軟弱地盤などは進入できても設置で止まる可能性があるため、能力以前に現場条件の確認が効きます。
よくある悩み(ペルソナの困りごと)
- ラフテレーンクレーンと何が違うのか分からない
- 公道移動できるのか、現場内の悪路は走れるのかが不安
- 結局、自社の現場に必要か判断できない
迷いやすいポイント(誤解の芽を潰す)
- “万能”の意味の取り違え:万能は「何でもできる」ではなく、「移動と現場の両面に対応しやすい」という意味合いで使われます。現場条件が厳しいほど、万能よりも「条件の線引き」が重要になります。
- 小型(ユニック車)と大型(オールテレーンクレーン)の役割混同:目的が小型揚重・運搬か、大型揚重かで選択肢は分かれます。小型で成立する作業でも、吊り荷が重い・半径が長い・障害物が多い場合は、作業方法が変わり大型が必要になることがあります。
- 現場条件(進入・地盤・設置)の見落とし:進入路幅、地耐力、設置スペースが不足すると性能以前に作業が成立しません。進入ができても、アウトリガー展開や養生が取れず「設置できない」パターンが典型です。
結論と判断軸(最短で判断できるように)
結論:オールテレーンクレーンとは、公道走行性能と不整地走行性能を兼ね備え、都市部から悪路現場まで幅広く対応できる大型移動式クレーンです。移動が絡む現場ほど「どの機種を手配すべきか」を整理しやすい一方、条件を外すと能力があっても成立しません。
理由:移動(公道)と作業(揚重)を同じ車両で成立させる前提で設計され、段取りの組み方が「移動×設置×作業条件」のセットになります。ここで重要なのは、最大吊上能力ではなく「その現場条件で、必要半径・必要揚程を満たせるか」という実務の見方です。
一次判断の軸
公道走行と悪路対応を1台で両立する必要があるかが最初の判断軸です。公道移動がほぼ不要で現場内完結なら別機種が合理的な場合があり、逆に公道移動が必須でも設置条件が厳しい場合は計画の組み直しが必要になります。
二次判断の軸
- 現場規模と必要吊上能力(作業半径・揚程もセットで考える)
- 進入路・設置スペース・地盤条件(養生や水平管理まで含める)
- 他のクレーン種別で代替可能か(段取り・搬入・設置の難易度で比較する)
判断を速くする“3分チェック”
- どこからどこまで移動するのか(公道移動が前提か、搬入ルートが成立するか)
- 現場内の路面状況はどうか(未舗装・傾斜・ぬかるみなど、進入と設置の両面で見る)
- 設置できる場所を確保できるか(アウトリガー展開に加え、養生や水平確保が可能か)
クイック診断(3択)
- ✅ 公道移動と現場内の不整地対応がどちらも必要:オールテレーンクレーンを検討しやすい
- ✅ 現場内の移動中心で、公道移動は限定的:ラフテレーンクレーンを検討しやすい
- ✅ 目的が小型揚重・運搬で、現場規模が小さい:ユニック車(クレーン装置付きトラック)を検討しやすい
迷いが残る場合は、先に「移動条件(公道・ルート)」と「設置条件(地盤・展開)」を確定し、その上で必要能力(半径・揚程)を当てはめると、機種選定のブレが減ります。
特徴・仕組み(なぜ両立できるのかを初心者向けに)
結論:オールテレーンクレーンの本質は、走るための要件と吊るための要件を同居させ、移動と作業を一体で成立させる点にあります。走行性能があっても、設置条件を満たせなければ吊れないため、計画は「移動→設置→作業」の順に組むのが実務的です。
理由:移動式クレーンは、アウトリガーの設置条件や作業半径によって定格荷重(安全に吊れる重量)が変化します。最大吊上能力だけを見ても、実作業で吊れないケースが起こります。特に「長い半径で吊る」「障害物を避けてブーム姿勢が制約される」「設置が片側寄せになる」などは、見込み違いが起きやすい代表例です。
オールテレーンクレーンの基本構造(イメージで理解)
車両として公道を走る前提を持ちつつ、現場ではアウトリガー展開とブーム操作で揚重作業を行います。作業可否は「進入」「設置」「作業条件(吊り荷・作業半径・揚程)」の3点セットで決まります。進入が成立しても、設置場所の地耐力不足や水平確保ができないと作業不可になるため、設置計画(養生・展開スペース・水平管理)まで含めて見ます。
できること(強み)
- 都市部〜現場までの移動を前提にしつつ、現場内の不整地にも一定対応できる
- 1台で複数現場を回す段取りに向く場合がある(条件付き)
- 移動と作業を同一車両で考えやすく、段取りの組み立てが明確になりやすい(条件付き)
ただし「一定対応」は、路面状況と設置条件が揃うことが前提です。例えば進入路が未舗装でも、設置位置が安定していて養生できるなら成立しやすい一方、設置位置が軟弱で沈み込みが懸念される場合は、機種以前に計画の見直しが必要になります。
できないこと(限界・注意点)
- どんな悪路でも走れるわけではない(進入路・勾配・地盤で制約が出る)
- 設置スペースが狭いと能力が活かせない(アウトリガー展開が前提になる)
- 小型運搬・小回り用途はユニック車や小型トラックの領域になりやすい
「可能だが注意が必要」な代表は、狭いヤードでの寄せ設置や、歩道・縁石・地下埋設物が近い場所です。設置の仕方で能力が変わるため、現場図面と設置計画の突合せが必要になります。
重要条件(判断に必要な線引き)
- 主に中〜大規模工事向けの大型クレーンである
- ユニック車や小型トラックの代替用途には適さない
- 進入路幅・地耐力・設置スペースなど現場条件の確認が必須
他機種との違い(比較で迷いを止める)

結論:オールテレーンクレーンは上位互換ではなく、移動と現場条件の前提が異なるため、適材適所で選定します。性能が高いほど段取りが楽になるとは限らず、現場条件に合うかどうかが最優先です。
理由:比較は「現場条件×段取り×移動」の組み合わせで判断します。公道移動の扱い、設置条件、作業半径による定格荷重の変化が選定の中心になります。結果として、同じ吊り荷でも「設置位置を変える」「作業半径を詰める」などの工夫で機種が変わることがあります。
比較表(現場判断用)
| 比較項目 | オールテレーンクレーン | ラフテレーンクレーン | トラッククレーン | ユニック車(補助) |
|---|---|---|---|---|
| 得意な現場 | 公道移動と現場内移動を一体で考えたい中〜大規模工事(条件付き) | 現場内の機動性を重視する工事(条件付き) | 公道移動を含む段取りで運用する工事(条件付き) | 小型揚重・運搬が中心の作業(条件付き) |
| 移動の考え方 | 公道走行と不整地対応の両立が前提 | 現場内移動重視、公道移動は条件で変わる | 公道移動を中心に計画しやすい(条件付き) | 運搬と現場内の短距離移動が中心 |
| 設置の条件 | アウトリガー展開・地耐力・設置スペースの確認が重要 | 設置条件の確認が重要(地盤・展開スペース) | 設置条件の確認が重要(作業半径で定格荷重が変化) | 小型作業でも設置条件の確認は必要 |
| 段取りの特徴 | 移動と作業のセット設計で判断しやすい | 現場の機動性を活かした段取りが組みやすい | ルートと設置の条件確認が段取りの中心 | 運搬と小型揚重の組み合わせで段取りが組みやすい |
| 注意点 | 進入路・地耐力・設置スペース不足で作業不可になりやすい | 現場条件で能力を活かせないケースがある | 最大吊上能力だけで判断すると実作業で吊れないケースがある | 大型揚重の代替にはなりにくい |
失敗例→回避策(現場で起きやすい3パターン)
- 進入路・旋回スペースを見落として当日搬入できない → 事前にルートと搬入条件(幅・高さ・旋回)を確認する(特に仮設物・電線・歩道切下げの有無も現場側で把握する)
- 設置場所の地盤・勾配を見落として作業不可 → 地耐力、養生、設置計画(アウトリガー展開)を確認する(設置位置を変えるだけで成立する場合もあるため、候補位置を複数持つ)
- 必要能力を最大吊上能力だけで判断 → 作業半径・揚程・設置条件を含めて定格荷重を再確認する(吊り荷の重量だけでなく、吊り具や姿勢制約も織り込む)
トラッククレーンで代替できるかの分岐を明確にしたい場合は、オールテレーンクレーンとトラッククレーンの違い(走行・作業性の比較)を確認すると、移動条件と作業性の線引きで判断しやすくなります。比較時は「ルート」「設置」「半径での実力」の3点を揃えて見ると、見積もりの前提が崩れにくくなります。
実務チェックリスト(手配前に整理する項目)
- 現場条件:進入路幅/高さ制限/路面/勾配/地耐力/設置スペース(養生の可否も含む)
- 作業条件:吊り荷/作業半径/揚程/障害物/作業時間帯(吊り具・吊り方の条件も整理する)
- 段取り条件:公道移動の有無/現場移動の頻度/複数現場対応の有無(待機場所や導線も考慮する)
迷ったときのチェック(3つ)
- ✅ 進入路(幅・高さ・旋回)と設置スペース(アウトリガー展開)が確保できる(仮設物や動線も含めて確保できる)
- ✅ 作業半径・揚程に対して、定格荷重が満たせる(吊り具重量や姿勢制約も含めて見込む)
- ✅ 公道移動と現場内移動の両方が段取り上の必須条件になっている(移動を別手段にできない前提がある)
費用感・レンタル/購入/外注の考え方(一般化しすぎない)
結論:大型機は「保有」よりも「手配(レンタル・外注)」から検討すると、現実的に進めやすくなります。稼働の波がある現場ほど、固定費を抱えるよりも条件に合わせて機種を選べる方がリスクを抑えやすいです。
理由:稼働率、保管、整備、運用体制が前提になりやすく、現場条件の変動で最適機種が変わるためです。さらに、公道移動や搬入条件が絡むと、運用側の準備物(許可・誘導・段取り)も増えるため、まずは手配前提で要件を固めた方が進めやすくなります。
まずは「保有」より「手配」で検討する理由
- 稼働率が読めないと固定費が重くなりやすい(稼働が空く期間が長いほど負担が増える)
- 保管場所・整備・運用体制まで含めて準備が必要になりやすい(点検・整備の継続が前提)
- 現場ごとに必要吊上能力や作業半径が変わり、最適機種が変わりやすい(設置条件の違いも影響する)
レンタル/リース/外注(クレーン作業手配)の違い
- 機械を用意したいのか、作業を完了したいのかを分けて考える(必要要件の整理が先)
- 現場条件が確定していないと見積もり条件が揺れやすい(追加対応が出ると段取りが崩れやすい)
見積もり前に準備すべき情報
- 現場住所(搬入ルート検討に必要)
- 進入路(幅・高さ・旋回・路面)(時間帯制限や仮設状況も含める)
- 設置場所(アウトリガー展開・地耐力・障害物)(養生の可否と代替位置の有無も整理)
- 吊り荷情報(重量・形状・吊り方)(吊り具重量や重心の取り方も影響する)
- 作業半径・揚程・作業時間帯(障害物回避で半径が伸びる可能性も見込む)
安全・法規・資格の注意(確認手順に落とす)
結論:安全・法規・資格は「作業内容と体制」で必要要件が変わるため、断定せず、確認手順で進めるのが安全です。公道移動が絡む場合は、ルート条件や運用条件によって追加の確認が必要になることがあります。
理由:移動式クレーンの運用は現場ルール、作業計画、立入管理、気象条件の影響を強く受け、要件は現場の管理体制や運用会社のルールで変動します。法規や資格を「機種名だけ」で決めてしまうと、吊り荷条件や作業方法が変わった瞬間に前提が崩れるため、作業条件から逆算して確認します。
安全面で必ず確認すること(方針)
- 作業計画の有無と、現場のルール(元請・現場管理者の指示)(指揮命令系統を明確にする)
- 立入管理・合図者・周辺障害物・架空線の有無(特に架空線は距離確保が重要)
- 強風・雨雪など気象条件の中止基準(運用会社・現場ルール)(中止判断の基準を事前に共有)
- アウトリガー設置と地耐力、養生、水平管理(沈み込み・傾きのリスクを前提にする)
法規・資格は「条件で変わる」前提で確認する
必要な免許・資格・作業要件は、吊り荷、定格荷重、作業方法、体制で変わります。現場管理者・運用会社・元請のルールに従って確認します。よくある誤認は「大型なら何でも同じ」「小型の延長で同じ要領でよい」と捉えることで、必要配置や作業計画の前提を落とす点です。
確認手順(当日までに揃える)
- 作業条件を確定(吊り荷重量・作業半径・揚程・障害物)(吊り具や吊り方も含める)
- 現場条件を確定(進入路・設置スペース・地耐力・路面)(養生・水平確保の可否も整理)
- 運用会社へ提示し、機種選定と運用条件を擦り合わせ(設置位置候補や作業手順も共有)
- 必要資格・配置・合図体制・立入管理を現場ルールで確定(当日の中止基準も合わせて確認)
FAQ(疑問クラスターを短文回答に)
オールテレーンクレーンはラフテレーンクレーンの上位互換?
上位互換ではありません。移動と現場条件の前提が異なるため、適材適所で選定します。公道移動の扱いと現場内の路面条件、設置条件を軸に判断します。次に確認すべきポイントは、現場までの移動条件(ルート)と設置位置の確保可否を先に揃えることです。
公道を走って現場に行ける?
可能なケースがありますが、ルート条件(幅・高さ・旋回)や運用条件が関係するため事前確認が必要です。運用会社へ現場住所と進入路条件を提示して擦り合わせます。次に確認すべきポイントは、搬入時間帯の制約や仮設物の有無を含めて、ルート条件を具体化することです。
どんな悪路でも走れる?
不整地対応力はありますが限界があります。進入路、地盤、勾配、路面状態で可否が決まります。搬入が成立しても、設置場所の地耐力不足で作業不可になるケースがあります。次に確認すべきポイントは、進入だけでなく設置位置の地盤と養生可否をセットで確認することです。
ユニック車で代替できる?
目的が小型揚重・運搬ならユニック車が適する場合があります。一方で、大型揚重や長い作業半径が必要な作業はオールテレーンクレーンの領域になりやすく、代替関係になりにくいです。次に確認すべきポイントは、吊り荷の重量だけでなく、必要半径・揚程・障害物条件を整理することです。
見積もり依頼で最低限伝えるべき情報は?
進入路、設置場所、吊り荷、作業半径、作業時間帯の5点を優先します。追加で揚程と障害物(架空線・建屋・足場)があると、機種選定の精度が上がります。次に確認すべきポイントは、設置位置の候補(複数)と、吊り方・吊り具条件まで含めて整理することです。
まとめ & CTA(要点→次の行動)
結論:オールテレーンクレーンは、公道走行と不整地対応を両立しやすい大型移動式クレーンです。成否は「進入」「設置」「作業条件」の確認で決まります。能力が十分でも、設置条件や段取りが揃わないと作業が成立しないため、前提条件の確定が最優先です。
- オールテレーンクレーンは「公道+不整地」を両立する大型クレーン
- 万能は条件付きで、進入路・地耐力・設置スペースの確認が成否を分ける
- 迷いは判断軸(移動×現場条件×代替可否)で整理できる
🧭 次の行動:現場条件(進入路・地盤・設置スペース・吊り荷・作業半径)をチェックリストで整理し、手配・相談時にそのまま提示できる形にします。特に「設置位置の候補」と「半径・揚程の条件」を具体化すると、機種選定の精度が上がりやすくなります。


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