「20tクラスで足りるのか」「25tに上げるべきか」「10tでは厳しいのか」。ラフテレーンクレーンの選定は、最大吊り荷重だけで決めると失敗しやすい分野です。
結論として、20tクラスは中規模工事で「能力不足にも過剰にもなりにくい」実務向けのラフテレーンクレーンです。ただし判断は、作業半径と現場条件(進入・地耐力・作業スペース)が揃って初めて成立します。
中規模工事でも、同じ「20tで足りそう」に見えて、据付位置が1mずれる/上空障害でブーム角度が変わる/敷板計画が甘いだけで、定格荷重の余裕が一気に消えるケースがあります。逆に、吊り荷が軽くても半径が長い工程や荷の形状が悪い(風・回転・片寄り)工程が混ざると、10tでは段取りが増えて安全余裕が不足しやすくなります。
本記事は、20tが選ばれる理由を「現場での判断軸」に落とし込み、選んでよい条件/避けるべき条件を整理します。5t・10tクラスの立ち位置も同時に整理したい場合は、【中型トラッククレーンとは】5t・10tクラスの性能と主な用途を参照すると、20tとの距離感が判断しやすくなります。
著者情報・監修条件
- ✅ 立場:ユニック車(クレーン付きトラック)ガイド編集部(現場判断に寄せた情報設計)
- ✅ 方針:作業可否・安全・法規に関わる内容は、条件を明示して過度に断定しない
- 📌 注意:資格・法令・運用は現場条件や運用形態で変わるため、最終判断は所轄・教育機関・レンタル会社の案内で確認
- ✅ 追記:能力や要件は「機種・仕様・装備(アウトリガ条件、フック、ワイヤ、補助ジブ等)」で差が出るため、最終的には該当機の能力表と取扱説明で照合する
クイック診断(3択)
- ✅ A:中規模の揚重で、10tでは余裕がなく、25tは過剰になりやすい → 20tが第一候補
- ✅ B:重量物・大規模で、作業半径が長くなりやすい → 25t以上を検討
- ✅ C:小規模・短時間で、進入や段取り優先 → 10tや別機種(ユニック車等)も比較
- 📌 目安:Aでも「半径が長い工程」「上空制約」「地盤が弱い」が混ざる場合は、20tの中でも余裕のある仕様か、段取り変更(据付位置の再設計)を先に検討する
20tクラスが中規模工事で選ばれる理由

結論:ラフテレーンクレーン20tは、機動性と吊り能力のバランスが取りやすく、中規模工事で「過不足」を減らしやすいクラスです。
理由:クレーン選定では、吊り荷の重さだけでなく、作業半径・ブーム角度・設置条件が能力を決めます。20tは、10tより余裕が出やすく、25t以上ほどの過剰コストや段取り増に寄りにくい傾向があります。
実務では「吊り荷は軽いが回数が多い」「現場内移動が多い」「据付位置を何度も変える」など、スペックより段取りと安全余裕が支配する工程が多くなります。20tは、1回の最大吊りよりも、一定の余裕を保ったまま繰り返し作業を回せる点が評価されやすいクラスです。
補足:「20t=常に20t吊れる」ではありません。定格荷重は作業半径が短い条件で最大になり、半径が伸びるほど低下します。
また、同じ20tクラスでも、仕様や装備(補助ジブの有無、アウトリガ条件、フックやワイヤ仕様など)で「得意な工程」が変わります。選定段階では、メーカー名や機種名の印象より、能力表の読み合わせと現場条件の成立を優先します。
具体:中規模工事で多い「複数回の定常揚重」では、20tの余裕が作業効率と安全余裕の両面で効きやすくなります。
たとえば、吊り荷が同じでも、荷の重心がずれていたり、風の影響で荷が振れたりすると、オペレーションは一気に難しくなります。余裕があるクラスほど、合図・誘導・微操作の時間を確保しやすく、結果として手戻りやヒヤリハットを減らしやすくなります。
20tラフテレーンクレーンで「できること/できないこと」
結論:20tは汎用性が高い一方、長い作業半径や大重量物が絡むと能力不足になりやすく、逆に小規模では過剰になる場合があります。
「できる/できない」は単純な吊り荷重量では決まりません。吊り荷が軽くても、半径が伸びる配置、上空障害でブーム角度が制限される配置、地盤が弱くアウトリガ条件が制限される配置では、20tでも成立しない可能性があります。反対に、吊り荷が重めでも、半径が短く、据付が安定し、作業スペースが確保できる場合は成立しやすくなります。
できること(向きやすい)
- ✅ 中規模工事の一般的な揚重(現場での段取り回数が多い作業)
- ✅ 不整地・狭い現場での据付作業(走行・取り回しの要求がある場合)
- ✅ 10tでは安全余裕や作業効率が不足しやすい工程の補完
- ✅ 施工手順上、据付位置を複数回変える必要がある現場(移動と据付のリズムが重要な工程)
できないこと(苦手・注意が必要)
- ⚠️ 作業半径が長い状態での重量物揚重(定格荷重が大きく低下する条件)
- ⚠️ 25t以上を前提に計画された大規模工事の主機としての運用
- ✅ 進入路が確保できない、地耐力が不足するなど、設置条件が成立しない現場
- 📌 可能だが注意:吊り荷が「長尺・偏心・風を受けやすい」場合は、重量が軽くても荷の振れが大きくなりやすく、合図・立入管理・微操作の難易度が上がる
能力確認は「最大吊り荷重」ではなく「作業半径」で行う
結論:20tクラスの選定は、作業半径を前提に定格荷重を確認しないと「足りない/危ない」を見落とします。
理由:クレーンの能力は定格荷重(能力表)で管理され、同じ吊り荷でも半径が伸びるほど条件が厳しくなります。
初心者が誤解しやすいのは「吊り荷が20t未満なら安全」という考え方です。実際は、半径やブーム角度、アウトリガ条件によって、定格荷重が大きく変動します。現場で起きやすいのは、計画時に半径を短く見積もり、当日に据付位置が後退して半径が伸び、結果として能力が足りなくなるパターンです。
補足:現場で必要なのは「吊り荷の重さ」だけでなく、吊り荷までの水平距離(作業半径)、設置位置、アウトリガ張出しの成立可否です。
さらに、吊り荷重量は本体だけでなく、シャックル・ワイヤ・吊り天秤・治具などの吊り具込みで見ます。小さな差に見えても、半径が長い工程では余裕が削られやすいため、工程表と合わせて「どの工程が最も厳しいか」を先に特定します。
作業半径ベースで確認する項目
- ✅ 吊り荷重量(吊り具・治具を含む)
- ✅ 作業半径(据付位置から吊り荷までの水平距離)
- ✅ アウトリガ張出し条件(全張出し/中間張出し等の運用条件)
- ✅ 地盤条件(地耐力・敷板・養生の前提)
- ✅ 上空条件(架空線・樹木・建屋・クレーン干渉など、ブーム角度や旋回を制限する要因)
10t・20t・25tで迷うときの比較ポイント
結論:迷いが出る境界は、作業半径が伸びる工程と安全余裕(余力)の必要度です。
理由:同じ「吊り荷重量」でも、工程や配置で作業半径が変わると、必要クラスが変わります。20tは、10tの「ギリギリ」を回避しつつ、25tの「過剰」を減らす位置づけになりやすいクラスです。
比較で外しやすいのは「数トンの差」だけに注目することです。実務的には、余裕があるクラスほど据付位置の選択肢が増え、合図・誘導・立入管理を丁寧に行う時間を確保しやすくなります。一方で、クラスが上がるほど、現場条件(進入、据付スペース、地盤養生)の要求も上がり、段取りが増えやすくなります。
| 比較軸 | 10t | 20t | 25t |
|---|---|---|---|
| 中規模工事の適合 | 条件次第で不足 | 過不足を減らしやすい | 過剰になりやすい工程も |
| 作業半径が伸びる工程 | 余力不足に注意 | 計画次第で対応幅 | 余力を取りやすい |
| コスト・段取り | 軽いが条件が狭い | 現場バランスが良い | 過剰コストに注意 |
迷いがある場合は、「最も厳しい工程」を基準にします。最も厳しい工程で20tが成立しないなら、部分的に25t以上に上げる、または据付位置の見直し・工程分割で成立させる、という考え方になります。逆に、最も厳しい工程でも余裕が大きいなら、10tや別機種への見直しで、段取りやコストを最適化できる可能性があります。
現場条件で「20tが成立するか」を先に判定する
結論:20tの能力以前に、進入・据付・地耐力が成立しないと作業計画が崩れます。
理由:ラフテレーンクレーンは不整地に強い一方、据付にはアウトリガや作業スペースが必要です。地盤やスペースが不足すると、能力があっても安全に使えません。
「不整地に強い=どこでも置ける」ではありません。地盤が柔らかい、舗装が薄い、埋設物がある、傾斜がある、といった条件では、沈下や傾きが起点になって危険が増えます。先に現場条件を固めることで、「能力は足りるのに据付できない」「据付できたが養生不足で沈下する」といった失敗を避けやすくなります。
迷ったときのチェック(3つ)
- ✅ 進入路:車幅・旋回・高さ制限が成立し、据付位置まで到達できる
- ✅ 地耐力:地盤の状態を把握し、敷板・養生を含めて沈下・転倒リスクを抑えられる
- ✅ 作業スペース:アウトリガ張出しと荷の振れ代を確保できる
- 📌 追加観点:上空障害(架空線・建屋・樹木)がある場合は、旋回とブーム角度が制限され、半径が「想定より伸びる」方向に働きやすい
| 確認項目 | 確認の観点 | 不足時の典型的リスク |
|---|---|---|
| 進入・動線 | 道路幅、旋回、段差、上空障害 | 据付位置に入れず計画変更 |
| 据付スペース | アウトリガ張出し、旋回範囲、退避 | 無理な姿勢で能力低下・危険 |
| 地耐力・養生 | 沈下、傾斜、敷板計画 | 転倒・沈下・損傷リスク |
資格・法規・安全は「条件付き」で必ず確認する
結論:20tラフテレーンクレーンの運用は、運転・合図・玉掛けなどの役割ごとに要件が分かれるため、現場の体制に合わせて確認が必要です。
理由:クレーン作業は複数の役割が絡み、資格や教育が必要になる場合があります。要件は作業内容や運用形態で変わるため、一般論だけで決めるのは危険です。
特に誤認が起きやすいのは、「運転できる人がいる=作業が成立する」という思い込みです。実際は、玉掛け・合図・立入管理など、役割が揃って初めて安全側に成立します。また、道路の通行条件、現場内の搬入経路、作業計画書・施工要領書の扱いなどは、現場の契約形態や管理体制で変わります。判断が必要な場合は、一般論で押し切らず、所轄や教育機関、施工要領、レンタル会社の運用基準で確認します。
安全面で外さない前提
- ✅ 定格荷重(能力表)の範囲内で計画する
- ✅ 合図・立入管理・吊り荷下立入禁止など、作業ルールを事前に統一する
- ⚠️ 地盤と据付が不安定な場合は、能力の話より先に中止・計画変更を検討する
- ✅ 荷の姿勢(偏心・長尺)と風の影響を見込み、必要なら工程の時間帯変更や補助具の検討を行う
レンタルと購入の考え方
結論:20tクラスはレンタル需要が多い一方、継続的に同規模案件がある場合は購入検討の余地があります。判断は稼働頻度と運用負担で分かれます。
理由:購入は保有コストと管理が発生し、レンタルは都度手配と条件提示が重要になります。中規模工事では案件の波が出やすく、レンタルの柔軟性が効きやすい場面があります。
レンタルで失敗しやすいのは、情報提供が「吊り荷重量」だけで終わるケースです。実際は、作業半径・据付条件・上空障害・敷板計画の前提まで共有できるほど、適合機が選びやすくなり、当日の手戻りを減らせます。購入検討でも同様に、稼働の見込みだけでなく、保管・整備・オペレーター確保といった運用面を含めて評価します。
判断の目安(現場監督向け)
- ✅ レンタル向き:案件ごとに条件が変わり、必要クラスが揺れる
- ✅ 購入検討:20tが主力で、稼働が安定し、保管・整備体制を持てる
- 🔍 伝えるべき条件:吊り荷重量、作業半径、設置条件(進入・地耐力・アウトリガ)
- 📌 追加で効く情報:作業時間帯、上空障害、吊り荷の形状(長尺・偏心)、現場内移動の有無(据付替え回数)
失敗しやすい判断ミスと回避策

結論:失敗の多くは「最大吊り荷重だけで判断」「現場条件の見落とし」「半径の読み違い」で発生します。
理由:現場は据付位置や動線の制約が強く、計画時の想定が外れると能力が足りなくなります。
失敗が起きる背景には「工程が進むと据付位置が変わる」「障害物が増える」「養生が想定より必要になる」といった、現場側の変動があります。回避策は、機種選定を早い段階で固定しすぎず、最悪条件で成立するかを先に見ることです。特に、据付候補が1つしかない計画はリスクが高く、段取り変更で半径が伸びやすい傾向があります。
典型例 → 回避策
- ⚠️ 最大吊り荷重だけで20tを選定 → ✅ 作業半径を先に確定し、能力表で判定
- ⚠️ 据付位置が取れず半径が伸びる → ✅ 据付候補を複数出し、最悪条件で評価
- ⚠️ 地盤が弱くアウトリガ条件が成立しない → ✅ 地耐力確認と敷板計画を前提にする
- 📌 起きやすい追加例:吊り具重量を見落とす → ✅ 吊り荷+吊り具+治具を合算し、工程ごとに「一番重い状態」を確定してから照合する
簡易Q&A
Q:20tクラスはどの程度の規模の現場向け?
A:中規模工事で「10tでは余裕が不足しやすいが、25tほどは不要」という条件に合いやすいクラスです。最終判断は作業半径と据付条件で行います。次に確認すべきポイントは、最も厳しい工程の作業半径と据付候補の数です。
Q:狭い現場でも20tは使える?
A:据付スペースとアウトリガ張出しが成立する場合は対応しやすい一方、進入路や上空障害がある場合は別案も含めて検討が必要です。次に確認すべきポイントは、アウトリガ張出し条件と旋回範囲(退避・立入管理を含む)です。
Q:20tで足りるか迷うときの最短チェックは?
A:吊り荷重量(吊り具込み)と作業半径を確定し、地耐力とアウトリガ条件が成立するかを先に確認します。次に確認すべきポイントは、上空障害の有無と据付位置が当日に後退する要因です。
FAQ
20tと25tの差は「数トン」だけではない?
差は数トンの話ではなく、作業半径が伸びる工程での余力、段取り、コストのバランスとして現れます。工程に長い半径が含まれる場合は、25t以上の検討が安全側になります。次に確認すべきポイントは、半径が伸びる工程が「必ず発生するか」と、据付位置の見直しで短縮できるかです。
20tなら中規模工事は必ず対応できる?
対応可否は現場条件次第です。進入・据付・地耐力が成立しない場合は、20tでも作業が成立しません。能力の話より先に現場条件を確定します。次に確認すべきポイントは、進入路の制約と地盤養生の前提(敷板計画)です。
資格は何を確認すべき?
運転、玉掛け、合図など役割ごとに要件が分かれるため、現場体制に合わせて確認します。法令・講習要件は更新される場合があるため、公的情報と教育機関の案内で最終確認します。4tクラスのクレーン付きトラックと選定観点を並べて整理したい場合は、【クレーン付きトラック 4t】主力クラスの特徴と選定基準を確認すると、車両側の制約と運用イメージを合わせて検討できます。次に確認すべきポイントは、現場の役割分担(合図・玉掛けの配置)と、運用形態に合った教育・手順の整備状況です。
まとめ:20tを選ぶべき条件と次の行動
結論:20tラフテレーンクレーンは、中規模工事で能力不足と過剰の両方を避けやすいクラスです。
ただし、20tを「万能の安全策」として選ぶと、据付や養生の要求が満たせず、結果として計画が崩れる可能性があります。20tを活かすコツは、能力だけでなく、現場条件と工程の厳しい点を先に固定し、成立する条件を揃えることです。
要点
- ✅ 判断は最大吊り荷重ではなく、作業半径ベースの定格荷重で行う
- ✅ 進入・据付・地耐力が成立しない現場では能力以前に計画が崩れる
- ✅ 10tは余裕不足、25tは過剰になりやすい工程で20tがハマりやすい
- 📌 追加:吊り具込み重量・上空障害・据付候補の数を押さえるだけで、当日の手戻りを減らしやすい
🧭 次の行動(現場で迷わない手順)
- ✅ 吊り荷重量(吊り具込み)と作業半径を工程ごとに整理する
- ✅ 据付候補位置とアウトリガ条件、地耐力(敷板計画)をセットで確認する
- ✅ 条件をレンタル会社へ提示し、20tで成立するかを能力表前提で詰める
- ✅ 上空障害・旋回制限・立入管理の範囲まで含めて、当日の「止まる要因」を先に潰す


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