点検は実施しているのに、整備記録簿の「書き方が正しいか」「保管期間はどれくらいか」「提出が必要な場面があるのか」が曖昧だと、不安が残ります。
整備記録簿は義務。正しく書き、定められた期間保管し、求められたら提示できる状態にしておく必要があります。
整備記録簿は、単に記入例を真似るだけでは不十分です。監査・車検・事故対応・売却など「提出・提示が必要な場面」から逆算して、どの水準まで記録しておくべきかを判断できると、現場が迷いません。
この「逆算」の視点を持つと、整備記録簿に何を書けばよいかが整理しやすくなります。たとえば、監査や問い合わせでは「継続して点検しているか」「担当や外注先が追えるか」を見られやすく、事故やトラブルでは「直近の整備が具体的に説明できるか」が問われやすい傾向があります。つまり、提出先が第三者であるほど、説明に必要な情報(根拠)が不足すると困るため、記録を「証明力」で設計するのが現場に合います。
法定点検(3ヶ月点検・12ヶ月点検)の位置づけを整理してから整備記録簿の記載に落とし込むと、点検区分ごとの書き分けが明確になります。【トラックの法定点検とは】3ヶ月点検・12ヶ月点検の違いと注意点で、点検の違いと注意点を確認しておくと判断が安定します。
特に小型(2t〜4t)では、台数が少ないほど「記録の粒度が人によってブレる」「点検はしたが記録が薄い」状態が起きやすく、台数が増えるほど「拠点・担当・外注先が増えて分散する」状態が起きやすい点に注意が必要です。記録簿は帳票の問題というより、運用(誰が・いつまでに・どこへ)を固定しないと崩れるため、最初に「提出時に困らない最小セット」を決めてから整えると無駄が減ります。
この記事で判断できること
- ✅ 手元の整備記録簿が「証明力として足りるか」を判定できる
- ✅ 点検区分ごとの「記載の要点」が分かる
- ✅ 保存・保管・提示の運用設計ができる(監査/車検/事故/売却)
著者情報
ユニック車ガイド編集部(小型トラック整備・運用管理担当)。2t〜4tクラスの小型トラック運用と点検管理を、現場判断に落とし込む編集を行っています。
監修・確認について(YMYL配慮)
法令や制度は運用形態により扱いが変わる場合があります。断定が危険な部分は「確認手順」を併記し、最終確認は整備事業者・運輸支局・行政窓口への確認を前提に整理します。
整備記録簿でつまずく理由(現場の課題の全体像)

結論:整備記録簿の不安は「記録の内容」よりも、記録が分散し、薄くなり、提示できない状態で起きます。
理由:点検の実施が事実でも、第三者が追えない記録は「説明材料」として弱くなり、監査・車検・事故対応・売却で困りやすくなります。
補足:整備記録簿の価値は、日常の安心よりも「提出・提示が必要な場面」で一気に表面化します。
現場で起きやすいのは、「点検は確かにやっている」ことと、「第三者が納得できる形で説明できる」ことが一致しないケースです。たとえば、口頭や担当者の記憶に依存した状態は、担当交代や拠点移動のタイミングで崩れやすく、提出が必要になった瞬間に証明が難しくなります。記録が薄い・所在が不明・履歴が飛ぶという問題は、点検そのものより、運用設計の弱さとして出やすい点を押さえると改善が早くなります。
「点検したのに不安」が残る3つの典型パターン
- ✅ 記録がバラバラ(人・拠点・外注先で形式が違う)
- ✅ 記載が浅い(実施の事実はあるが、内容が追えない)
- ✅ 保管が弱い(所在不明/提示できない/散逸)
困る場面は「提出・提示」が絡むとき
- ✅ 監査・指摘・問い合わせが来たとき
- ✅ 事故・トラブルで整備状況の説明が必要なとき
- ✅ 売却・入替で車両価値の説明材料が必要なとき
「提出・提示」が絡む場面では、記録の読み手が運転者や整備担当ではないことが多く、前提知識がない第三者でも追える形式になっているかが重要になります。具体的には、日付や走行距離があっても「どこを、どう確認し、結果がどうだったか」が見えないと、追加説明が必要になりやすくなります。逆に、記録の粒度が揃っていれば、運行管理・整備管理の説明が短時間で通りやすく、現場の負担が減ります。
結論:整備記録簿は「証明力」で作る(判断軸の提示)
結論:整備記録簿は「第三者に対して点検実施を証明できるか」で作ると、迷いが消えます。
理由:形式(手書き/電子)よりも、記録の整合性と提示性が整っているほど、監査・事故・売却で説明が通りやすくなります。
補足:証明力が高い記録は、点検内容と整備(交換・修理)が紐づき、履歴が連続しています。
「証明力」を高めるときは、難しい専門用語を増やすよりも、追跡可能性(誰が・どこで・何を)と、根拠の残し方(なぜ交換したか)を揃えるほうが効果的です。たとえば、交換や修理が発生した場合に「症状」「点検結果」「実施した処置」がつながっていると、第三者が流れを追いやすくなります。逆に「交換した」だけの記録は、なぜ必要だったかが説明しづらく、提出時の追加資料が増えやすい点に注意が必要です。
最優先の判断軸:第三者に点検実施を証明できるか
「誰が見ても追える」状態は、日付・走行距離・点検内容・実施者が揃っている状態です。
この4つが揃っていても、実務では「点検内容」が抽象的だと追跡が止まりやすいため、項目名だけでなく「結果(良否・要整備・交換)」や、必要に応じて「所見(にじみ・ガタ・摩耗など)」を短く添えると説明が通りやすくなります。
証明力チェックの最短リスト(現状診断)
- ✅ 直近の点検履歴が連続している(抜け・飛びがない)
- ✅ 実施者が追跡できる(社内/外注先/担当者)
- ✅ 点検内容が具体(確認箇所と結果が分かる)
- ✅ 修理・交換が紐づく(部品/作業内容/日付が追える)
「形式」より「説明できる状態」を優先する理由
手書きでも電子でも問題は起き得ます。重要なのは、改ざんを疑われにくい運用と、必要なときに提示できる運用が整っていることです。
改ざんを疑われにくくするためには、個人の自由記入に任せるより、必須項目を固定し、記入のタイミング(締め日・入力期限)や承認方法(署名・押印・ログ)を揃えるほうが現実的です。提示性についても、提出の場面で「出力できない」「権限がなく見られない」が起きると意味がないため、バックアップやアクセス設計まで含めて運用として整える必要があります。
整備記録簿の基本:何を書くべきか(書き方の骨格)
結論:整備記録簿は「最低限の4要素」を外さず、点検区分と整備内容を追える形にすると証明力が上がります。
理由:点検の実施だけでは説明にならず、記録の粒度が不足すると提出時に追加説明が必要になります。
補足:事業用トラックの運用では、3ヶ月点検・12ヶ月点検など区分ごとの記録が混在すると、履歴が追えなくなりやすい傾向があります。
書き方で迷うのは、点検項目が多く「どこまで書けば足りるのか」が見えにくいからです。実務では、すべてを長文にする必要はなく、提出時に説明が止まるポイントにだけ粒度を足すと効率が上がります。たとえば、「要整備」「交換」など判断が分かれる項目は、結果だけでなく短い所見(摩耗・にじみ・ガタなど)を残しておくと、後から整備内容とつながりやすくなります。逆に「良好」項目まで過剰に書くと運用が重くなり、継続できずに記録が途切れる原因になりやすい点に注意が必要です。
最低限そろえる「4要素」
- ✅ 実施日(点検日・整備日)
- ✅ 走行距離(または使用状況の指標)
- ✅ 点検・整備の内容(項目と結果)
- ✅ 実施者(自社/外注、担当者・事業者が分かる形)
点検区分ごとの考え方(3ヶ月・12ヶ月をどう分けて記録するか)
- ✅ 点検区分を混在させず、記録上で識別できるようにする
- ✅ 「点検」と「整備(交換・修理)」を分けて追える形にする
- ✅ 点検結果から整備に繋がった理由が追えるようにする
点検区分の混在は、提出時に「いつの点検か」「どの区分の点検か」が追えなくなる原因になります。たとえば、3ヶ月点検と12ヶ月点検は、同じ項目があっても確認の深さや扱いが異なる場合があるため、記録上で区分が判別できないと説明が難しくなります。さらに、外注整備が絡む場合は、外注先の作業明細と記録簿の内容が一致しているかも見られやすいため、点検結果と整備内容がつながる形で残しておくと、提出時の負担が減ります。
書き方でやりがちなNG(証明力が落ちる例)
- ⚠️ 「点検実施」だけで項目・結果が不明
- ⚠️ 実施者欄が空欄、または略称だけで追跡できない
- ⚠️ 交換・修理の根拠(症状/測定/判定)が残っていない
これらのNGは、提出の場面で「追加資料が必要」「当時の担当がいないと説明できない」状態を生みやすい点が共通しています。特に実施者欄は、社内では通じる略称でも第三者には伝わらない場合があるため、外注先名や担当の追跡が可能な形(担当者・事業者が分かる形)に揃えておくと安全側です。また、交換・修理の根拠がないと「なぜその時点で必要だったか」が説明しづらくなるため、所見を短く残す運用が現実的です。
保管期間と保管方法:提示できる運用にする

結論:保管期間は「法令」「社内ルール」「取引・保険」を分け、保管方法は「探せる・提示できる・疑われにくい」の3条件で設計すると安全側になります。
理由:保存年数の最低ラインだけを満たしても、事故・トラブル・売却の場面で必要な期間が不足する場合があります。
補足:保管期間や提出要件は運用形態により扱いが変わる場合があるため、迷う場合は整備事業者や運輸支局などに確認する前提が安全です。
保管期間を考えるときは、「最低限のライン」を満たすだけでなく、実際に困る場面で何年分が必要になるかを別に考えるのがポイントです。たとえば、入替や売却の場面では、直近だけでなく一定期間の履歴が連続しているほうが説明材料として強くなります。一方で、すべてを永久に残すと管理が破綻しやすいため、社内の台数規模や担当交代の頻度に合わせて、現実的に維持できる期間と保管方式を決める必要があります。
保管期間は「法令」「社内ルール」「取引・保険」を分けて考える
- ✅ 法令:最低限の保存ライン(運用形態で異なる場合がある)
- ✅ 社内ルール:担当交代や拠点運用でも崩れない管理期間
- ✅ 取引・保険:事故やトラブル時の説明に耐える期間
保管の基本設計(紙・電子のどちらでも共通)
- ✅ 「探せる」保管:車両単位で紐づく(車台番号・管理番号で一元化)
- ✅ 「提示できる」保管:いつでも出力・閲覧できる(アクセス権・バックアップ)
- ✅ 「疑われにくい」運用:更新履歴・署名・押印・ログを社内で統一
「探せる」保管を実現するには、車両単位に紐づくだけでなく、誰が探しても同じルートで辿れる状態が必要です。紙なら「車両番号×年月」の索引がないと探す負担が増え、電子ならフォルダ構造や命名規則が統一されていないと検索性が落ちます。「提示できる」保管では、提出の場面で急に必要になることが多いため、担当者不在でも出力できる権限設計と、バックアップの更新ルールが重要になります。
手書き vs デジタル:現場で迷わない選び方
- 🔍 手書き向き:台数が少ない/現場で即記入したい/運用が単純
- 🔍 デジタル向き:複数台・複数拠点/担当交代が多い/検索・集計が必要
手書きとデジタルの選択は「便利さ」だけでなく、提出時に崩れないかで判断するのが現実的です。台数が少ない場合でも、外注整備の明細が紙で来るならスキャンの併用が必要になることがあります。逆にデジタル化しても、入力ルールが統一されていないと記録が薄くなり、証明力が上がらないまま運用負担だけ増えることがあります。現場のリソースに合わせて、継続できる方式を選ぶことが重要です。
移行時の落とし穴と回避策
- ⚠️ 過去記録の欠落 → 回避:最低限の履歴だけ車両単位で集約する
- ⚠️ 入力ルール不統一 → 回避:必須項目を固定し、入力例を用意する
移行時は「全部を完璧に移す」ことより、提出時に必要な期間と、履歴の連続性を確保することを優先すると失敗しにくくなります。過去記録を無理に全部入力しようとすると途中で止まり、結果として「新旧が混在して追えない」状態になりがちです。最低限の履歴を車両単位で集約し、今後の記録が同じルールで積み上がる状態を先に作ると、証明力が早く安定します。
提出・提示が必要な場面(逆算で「足りる記録」を決める)
結論:整備記録簿は「提出・提示される場面」を基準に、必要な記録の深さを決めると無駄なく強くなります。
理由:提出の場面ごとに見られる観点が違うため、目的に合わない記録は不足や過剰が起きます。
補足:提出の形式(原本・コピー・データ)は、提出先の指示や社内ルールに従う設計が安全です。
提出・提示の場面を逆算すると、整備記録簿の「足りない」ポイントが具体化します。たとえば監査では、個別の整備よりも「継続して点検していること」「記録が連続していること」を示す必要があるため、履歴の抜けが致命的になりやすいです。一方、事故やトラブルでは、直近の点検・整備の内容が薄いと説明責任が重くなるため、要整備・交換が発生した箇所の所見や根拠が重要になります。
提出・提示を求められやすい代表場面
- ✅ 監査・指導・照会(運行・整備管理の確認)
- ✅ 車検・定期点検の説明(整備履歴の確認)
- ✅ 事故・トラブル時(整備状況の説明責任)
場面別に「何を示せれば足りるか」
- ✅ 監査:継続実施・担当・記録の整合性(抜けがない)
- ✅ 車検:点検区分と整備内容が追えること
- ✅ 事故:直近の点検・整備の履歴が具体であること
場面別の整理をすると、すべての項目を均等に厚くする必要がないことが分かります。監査は「抜けなく続いているか」が軸になるため、点検の実施履歴が飛ばない運用が重要です。車検や定期点検では、点検区分と整備内容のつながりが見られやすいため、点検結果から整備に至った理由が追える形が強くなります。事故やトラブルは、直近の整備が薄いほど説明が難しくなるため、要整備・交換に関する根拠を短く残すことが安全側です。
提出要求が来たときの社内手順(テンプレ運用)
- ✅ 対象車両・対象期間・提出形式を最初に確定する
- ✅ 車両単位の保管場所から必要期間を抜き出す
- ✅ コピー・持ち出しルールを適用する(個人情報・取引情報の扱い)
- ✅ 不足が見つかった場合は根拠資料(作業明細・担当メモ)をセットで揃える
提出手順で重要なのは、最初に「対象期間」と「提出形式」を確定しないと、作業が無限に広がる点です。特に不足が見つかった場合、記録簿だけを埋めようとすると根拠が弱くなるため、作業明細や担当メモなど、当時の根拠資料をセットで揃える運用が現実的です。再発防止としては、「不足が起きた理由(外注明細が回収できない、担当交代で記入が止まったなど)」を特定し、入力期限や回収ルールを固定すると、同じ抜けが起きにくくなります。
比較・実践:チェックリスト/比較表/失敗例→回避策
結論:整備記録簿の改善は、現状診断→方式選択→失敗例の潰し込みの順に進めると、最短で安定します。
理由:いきなり電子化や書式統一を始めると、入力ルールが崩れてやり直しが増えます。
補足:目的はシステム導入ではなく、提出時に説明できる状態の継続です。
改善の順番を間違えると、「形式だけ整ったが中身が薄い」「入力が続かず記録が途切れた」という状態になりやすいです。まずは現状診断で「どこが弱いか」を明確にし、次に方式(紙・電子・併用)を決め、最後に失敗例を潰すことで、運用が現実に合った形で安定します。特に小型トラックの現場では、担当が複数の業務を兼務していることが多いため、続けられる粒度とルールを優先するのが安全側です。
現状診断チェックリスト(Yes/Noで判定)
- ✅ 車両ごとに記録が1か所に集約されている
- ✅ 直近の点検履歴が連続している
- ✅ 実施者(社内/外注)が追跡できる
- ✅ 点検項目と結果が具体的に残っている
- ✅ 交換・修理の記録が点検記録と紐づいている
- ✅ いつでも提示できる(所在・アクセス・出力)
チェックリストは、すべてを一度に満たす必要はありません。まずは「提示できない」「探せない」のように提出時に致命的になりやすい項目から優先して埋めると、最短で効果が出ます。次に「点検内容が具体」「交換・修理が紐づく」のように証明力を上げる項目を整えると、提出時の追加説明や追加資料が減りやすくなります。
| 方式 | 向いている条件 | 注意点(運用で補うポイント) |
|---|---|---|
| 紙 | 台数が少ない/現場で即記入したい/運用が単純 | 索引(車両番号×年月)と保管場所固定が必須 |
| 電子 | 複数台・複数拠点/担当交代が多い/検索・集計が必要 | 必須項目固定と入力ルール統一、バックアップ設計が必須 |
| ハイブリッド | 紙運用を残しつつ提示性と検索性を上げたい | 紙の原本管理ルールとスキャン更新ルールを分けて運用 |
方式選択で重要なのは、どれが優れているかではなく、提出時の提示性を満たしながら継続できるかです。紙は運用が単純に見えますが、索引や保管場所が固定されないと「探せない」問題が起きやすいです。電子は検索性が高い反面、入力ルールが統一されないと「内容が薄い」問題が起きやすいです。ハイブリッドは現場で採用しやすい一方、原本管理とスキャン更新のルールを分けないと「どれが最新か分からない」問題が起きやすい点に注意が必要です。
失敗例→回避策(現場で起きがち)
- ⚠️ 担当者が変わって記録が途切れる → 回避:必須項目固定+車両単位の保管箱(フォルダ)運用
- ⚠️ 外注整備の情報が残らない → 回避:作業明細の回収ルール化+記録簿への転記項目を定義
- ⚠️ 紙はあるが探せない → 回避:索引(車両番号×年月)+保管場所固定+電子スキャン併用
- ⚠️ 記録はあるが薄くて説明できない → 回避:点検結果の「判断が分かる言葉」を社内で統一
失敗例は、いずれも「ルールが個人依存」になっているときに起きやすいです。回避策としては、必須項目を固定し、入力期限と保管場所を決め、外注明細の回収を仕組みにすることが基本になります。特に外注整備の情報は、作業明細が回収できないと後から復元できない場合があるため、受領・保管・転記の役割分担を決めておくと、提出時の抜けが減ります。
費用感:自社運用・外注・仕組み化の考え方
結論:整備記録簿の費用感は「記録の手間」ではなく、行政指導・事故対応・売却査定のリスク低減として評価すると、判断がぶれません。
理由:運用が継続できない仕組みは、記録が途切れて提出時の負担が増えます。
補足:2t〜4tの小型トラックは台数規模で最適解が変わるため、運用モデルを分けると現実的です。
費用感を考えるときは、「記録にかかる時間」だけでなく、提出時に追加作業が発生するコストも含めて評価するのが現実的です。記録が薄いと、提出のたびに担当者が資料を探し、外注先に問い合わせ、説明文を作る負担が増えます。逆に、必要な情報が整っていれば、提出対応が短時間で終わり、事故やトラブル時の説明も通りやすくなります。つまり、整備記録簿は日常の作業というより、リスク対応の保険として考えると判断が安定します。
小型(2t〜4t)で現実的な運用モデル
- ✅ 台数が少ない:紙+スキャンのハイブリッド運用
- ✅ 台数が増える:電子化+入力ルール統一+バックアップ運用
台数が少ない場合でも、提出や売却の場面で「提示性」を満たすには、紙だけで完結しないことがあります。スキャンを併用して車両単位にまとめると、担当交代や保管場所の変更があっても追いやすくなります。台数が増える場合は、電子化だけで解決するわけではなく、入力ルールと必須項目が揃っていないと証明力が上がらないため、運用設計を先に固めるのが重要です。
外注整備と記録の分担(ズレを作らない)
- ✅ 外注先から受け取るべき情報:作業内容・日付・部品・所見
- ✅ 社内で残すべき情報:運用状況・日常点検の履歴・引継ぎメモ
外注整備の分担でズレが起きやすいのは、「外注先がやった内容は明細にあるはず」という前提で社内の記録が空になるケースです。提出時に必要なのは明細そのものだけでなく、車両の履歴として追える状態なので、作業明細を受け取ったら、最低限「日付・内容・部品・所見」が車両単位で紐づくように整理しておくと安全側です。社内側は、運用状況や日常点検の履歴が途切れると説明が弱くなるため、引継ぎメモを含めた運用で補うと安定します。
安全・法規の注意:断定せず確認手順で示す
結論:安全・法規に関わる部分は、断定よりも「確認手順」をセットにして運用すると安全側になります。
理由:整備記録簿の扱いは、事業用・自家用、運用形態、提出先の指示で実務が変わる場合があります。
補足:迷いが出た場合は、整備事業者・運輸支局・行政窓口への確認が最短ルートです。
安全・法規の注意で誤解されやすいのは、「書類があるから問題ない」「点検したから大丈夫」と考えてしまう点です。実務では、提出先が求める形式や、運用形態によって扱いが変わる場合があるため、断定せず、確認手順を固定しておくほうが安全側になります。特に、提出の場面で原本・コピー・データの指定がある場合、社内ルールとズレると持ち出しや再提出が発生しやすいため、提出形式は最初に確認する運用が重要です。
YMYL配慮:法令・制度は「確認手順」をセットで提示
- ✅ 自社の運用が事業用か自家用かを整理する
- ✅ 点検区分ごとの記録が揃っているかを確認する
- ✅ 保存期間や提出要件に迷う場合は、整備事業者・運輸支局・行政窓口へ確認する
「提出できない」状態が安全管理に与える影響
- ⚠️ 点検の実施そのものが説明しにくくなるリスク
- ⚠️ 事故時の説明責任が重くなるリスク
「提出できない」状態は、点検や整備をしていないことを意味しませんが、提出の場面では「やっていない」と同じように扱われてしまうリスクがあります。事故やトラブル時は特に、直近の点検・整備の説明が弱いほど、追加説明や資料提出が必要になりやすくなるため、普段から提示できる運用を整えておくことが安全管理として重要です。
社内ルール化の最小セット(安全側の運用)
- ✅ 記録の締め日と入力期限
- ✅ 承認の方法(署名・押印・ログ)
- ✅ 保管担当と保管場所(車両単位で一元化)
- ✅ バックアップ頻度(電子・スキャンの更新ルール)
最小セットは「全部やる」より、「これだけは崩さない」を決めることが目的です。締め日と入力期限がないと記録が後回しになり、担当交代で途切れやすくなります。承認方法が揃っていないと、後から確認したときに「誰が確定した記録か」が曖昧になります。保管担当と保管場所、バックアップ頻度を固定すると、提出の場面で探し回る負担が減り、提示性が安定します。
車両の入替や売却を見据えて記録を整える場合は、所有者情報の扱いと手続きの流れを把握しておくと、整備記録の整理範囲を決めやすくなります。【トラックの名義変更】必要書類・費用・流れで、名義変更の全体像を確認してから運用ルールを固めると迷いが減ります。
FAQ
整備記録簿は手書きでも有効?
形式より、第三者が確認できる情報が揃い、提示できる状態が重要です。社内で記入ルールと保管ルールを統一すると運用が安定します。次に確認すべきポイントは、手書きの場合でも車両単位で「いつでも探せる索引」と「提出時にコピーできる運用」が揃っているかです。
点検は実施したが記録が抜けた。どうする?
事後の追記は根拠資料(作業明細・担当メモ)をセットで残し、同じ抜けが再発しない運用に修正します。次に確認すべきポイントは、記録が抜けた原因が「入力期限の未設定」なのか「外注明細の未回収」なのかを切り分け、再発しないルールに落とすことです。
保管場所はどこが良い?
車両単位で一元化が基本です。紙は索引、電子は検索できるフォルダ設計で「探せる状態」を作ります。次に確認すべきポイントは、担当者不在でも取り出せるアクセス権と、最新状態が分かる命名・更新ルールが決まっているかです。
売却時に整備記録簿がないと不利?
不利になる可能性があります。整備履歴を説明できる最小セットを整えると、評価の落ち込みを避けやすくなります。次に確認すべきポイントは、直近だけでなく一定期間の履歴が連続しているかと、交換・修理が根拠とつながっているかです。
提出を求められたら原本提出?コピー?
求められる形式は場面で異なるため、提出先の指示を確認し、社内の持ち出しルールに従います。次に確認すべきポイントは、提出先が指定する提出形式(原本・コピー・データ)と対象期間を最初に確定し、作業範囲を固定することです。
ユニック車(クレーン装置付き)でも同じ?
車両側の整備記録に加え、クレーン装置の点検・整備記録が別管理になる場合があります。管理体系を分けて整理すると混乱を避けられます。次に確認すべきポイントは、車両側と装置側で「どの帳票が正本か」「保管場所はどこか」を先に揃えておくことです。
まとめ & CTA
結論:整備記録簿は「書くこと」より「説明できること」が目的です。
理由:日付・走行距離・点検内容・実施者が揃い、提出が必要な場面で提示できる状態なら、形式(紙/電子)より運用の一貫性が評価されます。
実務では、完璧な帳票よりも「提出の場面で詰まらない運用」が評価されやすいです。まずは車両単位で記録が集約され、履歴が連続し、担当や外注先が追える状態を作ることが優先になります。その上で、要整備・交換が発生した箇所の根拠が短く残っていると、事故やトラブル、売却の場面でも説明が通りやすくなります。
要点の再確認(3行)
- ✅ 整備記録簿は「証明力」が命:日付・走行距離・内容・実施者を揃える
- ✅ 保管は「探せる・提示できる・疑われにくい」運用設計が必要
- ✅ 迷ったら提出場面(監査/車検/事故/売却)から逆算して不足を埋める
次の行動(CTA)
- 🧭 現状診断チェックリストで不足を洗い出す
- 🧭 車両単位の保管ルール(紙/電子/併用)を1つ決める
- 🧭 入力期限・承認・バックアップまで含めて運用を開始する


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