中古車情報や現場で「(あおり付)」という表記を見ても、どの部分を指し、何に使う部品なのか分からないと、車両選びや荷役の段取りを判断しにくくなります。
トラックのあおりとは、平ボディなどの荷台の左右や後部に設けられた、開閉できる囲い板です。閉じた状態では荷物の落下を防ぐ補助となり、開いた状態では側面や後方から荷役するための動線を確保できます。
ただし、あおりを閉じるだけで荷物を固定したことにはなりません。荷物の形状・重量・重心に応じたロープやラッシングベルト、角当て、滑り止めなどの対策と、最大積載量の確認が別に必要です。
この記事では、側あおりと後あおりの違い、一方開・三方開・分割式の特徴、代表的な寸法例、開閉時の安全確認、中古車・レンタル車で見るべき項目を整理します。読後は、「荷台に積めるか」「あおりを閉じられるか」「安全に固定できるか」「重量や積載方法に問題がないか」を分けて判断できるようになります。

ユニック車ガイド編集部:商用車・小型トラックの構造用語を、購入・レンタル・現場作業の判断に結び付けて解説します。
安全・法規に関わる内容は、車両の取扱説明書、会社の安全手順、架装業者、整備事業者、公的機関の案内と照合してください。
トラックのあおりとは|荷台の左右と後部にある囲い板

トラックのあおりは、主に平ボディの荷台周囲に取り付けられた開閉式の板です。荷台の左右にあるものを側あおり、後部にあるものを後あおりと呼びます。
あおりは、閉じると荷台周囲の囲いとなり、荷物が外へ動いたり落下したりするのを抑える補助になります。開けば横や後方から荷物を積み降ろししやすくなります。ただし、荷物を完全に固定する器具ではないため、荷締めや養生、重量確認を別に行う必要があります。
平ボディは、屋根や側壁を持たず、あおりを開いて複数方向から荷役しやすい荷台形式です。構造や向いている荷物を確認する場合は、【トラックの平ボディとは】特徴と用途も参考になります。
側あおりと後あおりの位置
側あおりは荷台の左右、後あおりは荷台後端にあります。荷台前方に立つ鳥居、荷物を載せる床板、ロープを掛けるために設けられたロープフックなどとは、位置も役割も異なります。
| 部品 | 主な位置 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 側あおり | 荷台の左右 | 側面の囲い、横からの荷役動線の確保 |
| 後あおり | 荷台の後部 | 後部の囲い、後方からの荷役動線の確保 |
| 鳥居 | 荷台の前方 | キャブ後方の保護や荷物の前方移動を抑える補助 |
| 床板 | 荷台の床面 | 荷物を載せる面 |
| ロープフック | 荷台側面や床周辺など | 車両仕様に従ってロープなどを掛ける固定箇所 |
荷台床、あおり、鳥居、ロープフック、スタンションなどの位置をまとめて確認したい場合は、【トラックの荷台名称】各部位の名前一覧で整理できます。
後あおり・リヤゲート・テールゲートの呼び方
荷台後部の囲い板は、後あおり、リヤゲート、テールゲートなどと呼ばれることがあります。資料、販売店、架装メーカー、現場によって用語が異なるため、名称だけで判断せず、実際の構造と機能を確認してください。
また、単純な後あおりと、荷物を昇降させるテールゲートリフターは同じものではありません。後部装置の種類や用途は、【トラックのテールゲート】役割と種類で確認できます。
あおりの種類|一方開・三方開・分割式の違い
一方開
一方開は、特定の1面を開閉する仕様です。後部だけを開閉する例がありますが、一方開という名称だけで開く位置を決めつけることはできません。仕様表と現車で、どの面が開くのかを確認してください。
荷役方向が限定される一方、作業方法が一定している現場では、必要な動線を満たせる場合があります。
三方開
三方開は、一般的には左右の側あおりと後あおりの3面を開閉できる仕様です。側面と後方の両方から荷物へアクセスしやすく、フォークリフトによる横付けや手積みなど、現場に合わせて荷役方向を選びやすくなります。
ただし、車両の横にあおりを開くスペースがなければ、側面を開けても十分に活用できません。開閉方向だけでなく、搬入場所の幅や障害物も確認します。
分割あおり・高あおり
長い側あおりを途中で分けた分割式では、必要な区間だけを開けられる場合があります。また、かさのある荷物に合わせて、通常より高いあおりを備えた高あおり仕様もあります。
材質には木製やアルミ製などの例があり、重量、耐食性、補修方法、開閉時の扱いやすさが異なります。車種、年式、架装メーカー、用途によって構造が変わるため、寸法、材質、開閉方法、ロック位置を個別に確認してください。
| 仕様 | 開閉できる面の考え方 | 荷役動線 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 一方開 | 特定の1面を開閉 | 開閉面からの荷役が中心 | 実際に開く位置、ロック、周囲の作業スペース |
| 三方開 | 一般的には左右と後部の3面 | 横と後方を選びやすい | 各面の開閉状態、横付けスペース、ヒンジとロック |
| 分割式 | 側あおりなどを複数区間に分割 | 必要な区間だけ開けられる場合がある | 分割数、各ロック位置、支柱の脱着方法 |
あおりの高さと荷台寸法の目安
あおりの高さや荷台寸法は、車種、年式、キャブ幅、ボディ長、床面仕様、架装によって異なります。すべての2tトラックに共通する標準寸法があるわけではありません。
メーカー公式資料に掲載された特定車型の例として、いすゞの小型2t標準キャブ・平ボディ・標準ボディには、次の寸法例があります。
| 確認項目 | 小型2t平ボディの公表例 | 確認時の注意 |
|---|---|---|
| 最大積載量 | 2t | 同じ2tクラスでも仕様により車検証の記載値が異なるため、実車で確認する |
| 荷台内長 | 3,120mm | 標準、ロング、超ロングなどで異なる |
| 荷台内幅 | 1,620mm | 標準幅、ワイド幅、架装で異なる |
| 荷台内高 | 380mm | 実車のあおり高さを確認する目安になる場合があるが、全車共通ではない |
| 床面地上高 | 855mm | 低床、高床、タイヤやサスペンションの仕様で異なる |
数値の読み方:荷台内高380mmは、荷物を380mmの高さまでしか積めないという意味ではありません。荷物があおりより高い場合は、荷物の寸法、重心、固定方法、はみ出し、積載制限を別々に確認してください。最終的な寸法は、対象車両の諸元表と実測値で確認します。
あおりでできること・できないこと
あおりでできること
あおりは、荷台周囲を囲うことで荷物が外へ動くのを抑え、小物や資材の落下を防ぐ補助になります。また、側面や後部を開けば、横や後方から荷物へアクセスしやすくなります。
- 荷台周囲を囲う
- 荷物の移動や落下を抑える補助になる
- 側面や後方の荷役動線を確保する
- 荷物と荷台周辺の接触を抑える養生を補助する
ただし、荷物の形状や走行中の振動によっては、あおりがあっても荷物が動いたり飛散したりする可能性があります。
あおりだけではできないこと
あおりは、荷物を完全に固定する器具ではありません。閉じたあおりだけを頼りに走行可否を判断せず、荷物に合った固定を行ってください。
- 荷物の転倒や前後左右への移動を確実に止めること
- ロープやラッシングベルトの代わりになること
- 最大積載量を増やすこと
- 通常のあおりで荷物の重量を直接支えること
- 人が乗る足場として無条件に使用すること
- あおりの任意の位置を固定箇所として使用すること
積載物は、落下や飛散を防ぐため、荷物の形状、重量、重心に応じてロープやベルトなどで固定する必要があります。ロープの選び方と固定手順は、【トラックの荷締めロープ】太さ選びと安全な固定手順で確認できます。
あおりと荷締め・養生の役割は別

あおり、荷締め、養生、重量確認は、似た目的に見えても役割が異なります。どれか1つを行えば他が不要になるわけではありません。
| 確認対象 | 主な役割 | 代わりにならないもの |
|---|---|---|
| あおり | 荷台周囲の囲いと落下防止の補助 | 荷締め、重量確認 |
| 荷締めロープ・ベルト | 荷物の移動や転倒を抑える固定 | 最大積載量の確認、養生 |
| 角当て・毛布 | 荷物やロープ・ベルトの損傷防止 | 荷物固定、重量確認 |
| 滑り止め | 荷物の横滑りを抑える補助 | ロープやベルトによる固定 |
| 最大積載量の確認 | 重量超過を防ぐ判断 | 荷締め、養生、荷物配置 |
積載準備は、次の順番で進めると確認漏れを減らせます。
- 荷物の寸法と重量を確認する
- 荷物を荷台へ適切に配置する
- 車両側で使用を想定された固定箇所を確認する
- 荷物をロープやベルトで固定する
- 必要な角当て、毛布、滑り止めを使用する
- あおりを閉じてロックする
- 最大積載量と積載状態を最終確認する
あおり本体の任意の位置へロープを掛けるのではなく、ロープフック、荷掛けフック、床フックなど、車両側で使用を想定された固定箇所を取扱説明書や現車で確認してください。荷物へロープを掛ける順番と締め付け後の確認は、【トラックのロープ結び方】荷物固定の基本で整理できます。
角当て、毛布、滑り止めは、荷物やロープの損傷、横滑りを抑えるために使います。荷物とあおりが接触する部分の保護を含め、具体的な使い分けは、【トラックの養生】角当て・毛布・滑り止めの使い分けを確認してください。
あおりを開閉するときの安全な確認手順
あおりを下ろす前
あおりを下ろす前は、荷台上の荷物が落下する危険がないことを確認します。荷物があおりへ寄り掛かっている状態でロックを外すと、あおりや荷物が急に動くおそれがあります。
- 車両を安定した場所に停車させる
- 駐車ブレーキなどの逸走防止措置を確認する
- 荷物があおりへ寄り掛かっていないか確認する
- 荷崩れや荷物落下の危険がないか確認する
- あおりが動く範囲に人や障害物がないか確認する
- ロックを外した瞬間にあおりが急に動かないよう支え方と立ち位置に注意する
荷役中
- あおりの回転範囲に手足を入れない
- 開いたあおりへ荷物の重量を預けない
- 鋼管、丸太、ロール状の荷物など、転がる荷物には歯止めなどを使用する
- 荷台への昇降には、車両のステップや設置された昇降設備を使用する
- 荷台上で後ずさりせず、足元と荷物の位置を確認する
- 現場の作業手順と責任者の指示を優先する
特殊なあおり、補助装置、テールゲートリフターを使用する場合は、車両・架装メーカーの取扱説明書と使用条件に従ってください。
走行前
- 左右と後部のあおりを閉じる
- すべてのロックが最後まで掛かっているか確認する
- ヒンジ、支柱、ロックに曲がりや破損がないか確認する
- ロープやベルトの緩みを確認する
- 荷物のはみ出し、偏り、荷崩れの兆候を確認する
- 走行途中も必要に応じて固定状態を再確認する
数値で確認|最大積載量2t以上の荷役安全対策
事業者が労働者に貨物自動車で荷物の積み卸し作業を行わせる場合は、最大積載量や作業箇所の高さなどに応じて安全対策が必要になります。
| 数値・対象 | 主な安全対策の考え方 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 最大積載量2t以上 | 対象となる荷物の積み卸し作業で、昇降設備を設ける義務の対象 | 作業内容、設備の構造、会社の安全手順を確認する |
| 最大積載量2t以上5t未満 | 平ボディ車やウイング車など、荷台側面が開放または開閉できる車両では、対象となる荷役作業で墜落時保護用の保護帽が必要になる場合がある | すべての作業で一律ではなく、車両構造と作業条件を確認する |
| 最大積載量5t以上 | 対象となる荷物の積み卸し作業で、保護帽着用義務の対象 | 型式検定に合格した墜落時保護用の保護帽など、必要な仕様を確認する |
| 高さ1.5mを超える作業箇所 | 原則として安全に昇降するための設備が必要 | 貨物自動車の規定とは別に、作業箇所の高さに関する一般規定も確認する |
| 高さ2m以上の作業箇所 | 墜落による危険を防止する措置が必要 | 作業床、囲い、手すり、墜落制止用器具など、作業条件に応じた措置を確認する |
適用条件に注意:最大積載量2t以上5t未満のすべての作業で、同じ保護帽要件が適用されるわけではありません。車両構造、作業内容、テールゲートリフターの使用状況などによって条件が異なります。
これらは主に労働者を使用する事業者向けの安全衛生上の規定です。個別の適用は、最新の労働安全衛生規則、所轄の労働基準監督署、会社の安全管理者へ確認し、この記事だけで法的判断を完結させないでください。
中古車・レンタル車で確認する7項目

中古車情報やレンタル車の説明に「あおり付」と書かれていても、開閉方向、寸法、状態までは分かりません。次の7項目を仕様表と現車で確認してください。
| No. | 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 1 | 左右・後部のどの面が開くか | 現場の荷役方向と合うか判断するため |
| 2 | 一方開・三方開・分割式のどれか | 開閉できる範囲と作業動線を確認するため |
| 3 | あおりの高さと荷台内寸法 | 荷物の寸法と荷台の有効寸法を照合するため |
| 4 | ロックが確実に掛かるか | 走行中の開放やガタつきを防ぐため |
| 5 | ヒンジ、支柱、板面の曲がり・亀裂・腐食 | 開閉不良や強度低下の兆候を確認するため |
| 6 | 引っ掛かり、異音、過度な重さ | ヒンジやロックの不具合を見落とさないため |
| 7 | ロープフックなどの固定箇所 | 荷物に合った固定方法を実施できるか確認するため |
確認は、仕様表で開閉方向と寸法を確認し、現車で各面を開閉し、ロックと固定箇所の状態を見たうえで、取扱説明書と照合する順番が分かりやすいです。不明点は販売店、レンタル会社、架装業者、整備事業者へ確認してください。
歪み、亀裂、腐食、ロック不良がある場合は、修理や交換の見積もりを取ります。固定できない状態で自己判断による使用を続けず、補修範囲と使用可否を専門業者へ確認してください。
あおりを確認した後の積載判断
あおりの仕様を確認しただけでは、荷物を安全に運べるとは判断できません。荷台形式、重量、配置、固定、養生を次の順番で確認します。
- 荷台形式を確認する
- あおり、鳥居、床板、固定箇所を確認する
- 荷物の寸法、重量、数量を確認する
- 荷物を荷台へ配置する
- ロープやラッシングベルトを選ぶ
- 荷物を固定する
- 角当て、毛布、滑り止めなどで養生する
- あおりを閉じてロックする
- 最大積載量と積載状態を最終確認する
ロープやベルトで荷物を固定できても、車検証の最大積載量を超えてよいわけではありません。重量確認と過積載を防ぐ考え方は、【トラックの過積載とは】罰則・リスク・見積もりで避ける手順で確認してください。
判断を分ける:「荷台に積める」「あおりを閉じられる」「荷物を固定できる」「最大積載量や積載方法に問題がない」は、それぞれ別の判断です。1つを満たしても、他の条件を満たしたことにはなりません。
FAQ(よくある質問)
トラックのあおりとはどの部分ですか?
トラックのあおりは、主に平ボディの荷台の左右や後部にある開閉式の囲い板です。左右の板を側あおり、後部の板を後あおりと呼びます。
側あおりと後あおりの違いは何ですか?
側あおりは荷台の左右にあり、開くと横から荷役しやすくなります。後あおりは荷台の後部にあり、開くと後方から荷役しやすくなります。
あおりがあればロープを掛けなくてもよいですか?
いいえ。あおりは荷物を固定する器具ではありません。荷物の形状、重量、重心に応じて、車両側で使用を想定された固定箇所へロープやベルトを掛け、必要な養生も行います。
2tトラックのあおりの高さは何mmですか?
小型2t平ボディの特定車型には、荷台内高380mmの公表例があります。ただし全車共通ではなく、車種、年式、ボディ、架装で異なるため、対象車の諸元表と実測値を確認してください。
あおりを下ろす前に何を確認しますか?
荷物があおりへ寄り掛かっていないこと、荷崩れや落下の危険がないこと、人や障害物が開閉範囲にないことを確認します。ロックを外した際にあおりが急に動かないよう、立ち位置にも注意してください。
まとめ
- あおりは、荷台の左右や後部にある開閉式の囲い板
- 側あおりと後あおりでは、位置と荷役できる方向が異なる
- 一方開、三方開、分割式などがあり、仕様表と現車確認が必要
- あおりは落下防止の補助であり、荷締めの代わりではない
- 車両側で使用を想定された固定箇所を確認し、ロープやベルトで荷物を固定する
- 角当てや滑り止めで養生しても、最大積載量は増えない
- あおりを開く前に、荷崩れと荷物落下の危険を確認する
- 中古車やレンタル車では、ロック、ヒンジ、歪み、亀裂、腐食を確認する
車両を選ぶときや荷役前には、開閉方向と荷台寸法だけでなく、固定箇所、荷物重量、ロックの状態まで順番に確認してください。判断に迷う場合は、取扱説明書と会社の安全手順を照合し、販売店、架装業者、整備事業者、管理者へ確認します。
出典・参考情報
| 出典・参考情報 | 記事内で確認した内容 |
|---|---|
| 厚生労働省「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」 | 最大積載量2t以上の貨物自動車における昇降設備、保護帽、荷役作業時の安全対策 |
| 国土交通省 北陸信越運輸局「陸上貨物運送事業者の皆様へ|荷役作業での労働災害を防止しましょう」 | あおりを下ろす前の荷物落下確認、荷崩れ防止、歯止め、荷役作業の安全手順 |
| 大阪府警察「落下物にご注意!110番もしくは#9910への通報を!」 | 積載物を落下・飛散させないためのロープなどによる固定 |
| いすゞ自動車「小型車 2t標準キャブ 平ボディ 標準ボディ|主要諸元」 | 最大積載量2t、荷台内寸法3,120×1,620×380mm、床面地上高855mmの特定車型例 |
| いすゞ自動車「エルフ|平ボディ」 | 木製あおり、アルミあおり、ボディ長、床面仕様、ロープフックなどの仕様例 |


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