トラックで道路を通行するときは、車両だけでなく、乗員や積載物を含む通行時の状態で、幅・長さ・高さ・総重量・軸重などを確認します。車両制限令の一般的制限値を1項目でも超える場合は、原則として特殊車両通行確認制度による回答または特殊車両通行許可が必要かを確認しなければなりません。
ただし、一般的制限値に収まっていても、道路標識、橋・トンネル、高架、工事規制、狭い道路、現場や倉庫の入構条件によって通行できない場合があります。「2t車」「3t車」「4t車」といった通称だけでは、車両制限令への適合や通行の可否を判断できません。

この記事では、車両制限令の具体的な数値、高さ指定道路・重さ指定道路、2つの特殊車両通行制度、ユニック車で確認する項目、違反時の措置まで順番に整理します。小型・中型・大型トラックの代表的な車両寸法を先に把握したい場合は、【トラックの大きさ】乗用車との比較で感覚がつかめる寸法ガイドも確認してください。
トラックやユニック車を使用する現場で、車両諸元の確認、通行条件の判断、許可・回答内容の共有を進めやすいように、実務の確認順序に沿って情報を整理しています。
法令、制度、指定道路、通行条件は改正される場合があります。実際の通行可否は、使用する車両、積載物、通行経路を特定したうえで、道路管理者、申請窓口、最新の公的案内で確認してください。
車両制限令とは|道路を守るための寸法・重量制限

道路は、一定の大きさや重量の車両が安全に通行できる構造を前提として整備されています。道路法と車両制限令では、道路構造の保全と交通の危険防止を目的として、通行できる車両の寸法・重量に最高限度を設けています。この最高限度が「一般的制限値」です。
車両制限令でいう車両は、空車状態の車体だけを指すものではありません。人が乗車している場合や貨物を積載している場合はその状態で判断し、ほかの車両をけん引している場合は被けん引車も含めて確認します。
車両制限令と過積載は確認する基準が異なる
車両制限令と過積載は、どちらも重量に関係しますが、同じ違反ではありません。最大積載量を超えていない場合でも、通行時の総重量や軸重が道路法上の制限値を超えることがあります。
| 区分 | 主に確認する内容 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 車両制限令 | 幅・長さ・高さ・総重量・軸重・輪荷重・最小回転半径など | 一般的制限値と通行経路を確認し、必要に応じて通行確認または通行許可を受ける |
| 過積載 | 車検証に記載された最大積載量や積載方法 | 積荷を減らし、適正な積載状態に是正する |
一般的制限値を超えれば自動的に許可されるわけではない
一般的制限値を超える車両は、原則としてそのまま通行できません。車両の構造や積載する貨物が特殊であり、道路管理者が必要性を認めた場合に、道路の保全や交通安全に必要な条件を付けて通行できる制度が設けられています。分割できる貨物の積み過ぎなどは、許可申請ではなく積載状態の是正が必要になる場合があります。
車両制限令の一般的制限値一覧

道路法に基づく主な一般的制限値は次のとおりです。寸法または重量のいずれか1項目でも超える場合は、通行可能経路の確認回答または通行許可が必要かを確認します。
| 確認項目 | 一般的制限値 | 確認時の注意点 |
|---|---|---|
| 幅 | 2.5m | 車両と積載物を含む通行時の状態を確認する |
| 長さ | 12.0m | けん引時は被けん引車を含む条件も確認する |
| 高さ | 3.8m | 高さ指定道路では4.1mとなるが、指定区間に限られる |
| 最小回転半径 | 12.0m | 車両寸法だけでなく旋回性能も制限対象となる |
| 総重量 | 20.0t | 高速自動車国道や重さ指定道路では、条件により最大25.0tとなる |
| 軸重 | 10.0t | 前軸・後軸など、1つの車軸にかかる重量を確認する |
| 輪荷重 | 5.0t | 左右どちらかに荷重が偏っていないかも確認する |
| 隣接軸重 | 18.0~20.0t | 隣り合う車軸の軸距と各軸重によって変わる |
隣接軸重は軸距によって限度が変わる
| 隣り合う車軸の条件 | 隣接軸重の限度 |
|---|---|
| 軸距が1.8m未満 | 18.0t |
| 軸距が1.3m以上で、隣り合う車軸の軸重がいずれも9.5t以下 | 19.0t |
| 軸距が1.8m以上 | 20.0t |
総重量が20t以下でも適合とは限りません。クレーン装置や積荷の位置によって特定の車軸に重量が集中すると、軸重10t、輪荷重5tまたは隣接軸重の限度を超える可能性があります。
一般的制限値の12mと、実際の小型・中型・大型トラックの全長を比較する場合は、【トラックの長さ】全長の目安と進入可否の判断方法で確認できます。
車検証上の幅と、狭い道路や門扉を通過するために必要な余裕幅は、【トラックの幅】狭い道・駐車場で注意すべき車幅の考え方で詳しく整理しています。
高さ指定道路・重さ指定道路では制限値が変わる
道路管理者が道路構造の保全や交通安全上の支障がないと認めて指定した道路では、高さまたは総重量の一般的制限値が引き上げられます。ただし、指定されていない道路や接続区間まで同じ制限値になるわけではありません。
高さ指定道路は4.1m
| 道路の区分 | 高さの最高限度 |
|---|---|
| 通常の道路 | 3.8m |
| 高さ指定道路 | 4.1m |
高さ4.1mまでの車両が全国の道路を無条件で通行できるという意味ではありません。出発地から目的地までの経路に、高さ指定道路ではない区間や、標識でさらに低い制限が設けられた高架・トンネルが含まれていないか確認が必要です。
高架やゲートを通過するときの実際の最高部の確認方法は、【トラックの高さ】高さ制限に引っかからないための確認ポイントも参考にしてください。
重さ指定道路は条件により最大25t
重さ指定道路では、車両の最遠軸距と、貨物を積載していない状態の車両長に応じて、総重量の制限値が20t・22t・25tに分かれます。
| 最遠軸距 | 車両長の条件 | 総重量の最高限度 |
|---|---|---|
| 5.5m未満 | 車両長を問わない | 20t |
| 5.5m以上7m未満 | 貨物を積載していない状態で車両長9m以上 | 22t 9m未満は20t |
| 7m以上 | 貨物を積載していない状態で車両長11m以上 | 25t 9m未満は20t、9m以上11m未満は22t |
「重さ指定道路なら一律25tまで」ではありません。また、総重量の限度が引き上げられても、軸重10t、輪荷重5t、隣接軸重などは別に確認します。トレーラ連結車などには別の特例があるため、該当する車両は車種と最遠軸距を特定して公的資料を確認してください。
車両制限令はどの数値で確認するか
法令や申請上の確認に使う数値と、狭い道路や現場へ実際に進入できるかを確認する数値は、目的を分けて整理すると判断しやすくなります。
法令・申請の確認に使う資料
- 自動車検査証と自動車検査証記録事項
- 車両諸元表
- 車両外観図・車両図面
- 特殊車両通行許可証または特殊車両通行確認制度の回答書
- 積載物の寸法・重量を示す資料
- 軸重計や台貫などによる重量情報
車検証や諸元表は、登録された全長・全幅・全高、車両重量、車両総重量などを確認する基礎資料です。積載物や通行経路が変わる場合は、許可または回答を受けた条件と一致しているかも確認します。
現場への進入確認では実際の通過寸法も測る
- ミラーや突出部を含む実際の通過幅
- 積載物を含む最高部
- ブーム、フック、鳥居、工具箱、シート、資材などの突出
- 門扉、高架、トンネル、倉庫入口との余裕
- 右左折や旋回に必要な空間
車両制限令や申請上の判定では、車検証、諸元表、申請上の車両諸元を基礎にします。一方、狭い道路や門扉への進入では、格納状態のミラーや外側へ出ている装備も含め、接触せずに通過できる実寸と余裕を確認してください。
ユニック車で注意する寸法・重量
荷台付クレーンを装備したトラックであっても、それだけで一律に特殊車両になるわけではありません。架装後に登録された車両寸法と重量、積載物を含む通行時の状態が一般的制限値を超えるかによって、通行確認または通行許可の要否を判断します。
ユニック車で優先して確認する項目
- 車両総重量
- 前軸重・後軸重
- クレーンを格納した走行状態の全高
- ブームとフックの格納状態
- 積載物を含む最高部
- 荷台後方・側方への積載物の突出
- 工具箱、敷板、資材、付属品を積んだ運行時の重量
「2tユニック」「4tユニック」だけでは判断できない
2t車や4t車という呼び方は、最大積載量や車両クラスを表す通称として使われます。同じ通称でも、キャブ幅、ボディ長、クレーン仕様、軸数、装備、積載物によって全長・全幅・全高・総重量・軸重は異なります。実車の車検証記録事項と積載条件を確認してください。
アウトリガー展開幅は道路走行時の車幅と分ける
クレーン作業時にアウトリガーを展開した幅は、格納して道路を走行するときの車幅とは別の確認項目です。道路走行時はすべての装置を所定の位置へ格納し、作業時は現場の設置スペース、道路使用、交通誘導、第三者の立入防止などを別途確認します。
特殊車両通行確認制度と通行許可制度の違い
一般的制限値を超える特殊車両を通行させる制度には、「特殊車両通行確認制度」と「特殊車両通行許可制度」があります。どちらを利用するかは、車両、積載物、通行経路、道路情報の電子化状況によって異なります。
| 比較項目 | 特殊車両通行確認制度 | 特殊車両通行許可制度 |
|---|---|---|
| 車両の準備 | あらかじめ車両を登録する | 申請する車両情報と経路を用意する |
| 対象道路 | 道路情報が電子化された道路 | 指定した申請経路を道路管理者が審査する |
| 経路の確認 | 出発地・目的地などを入力し、複数の通行可能経路をオンラインで確認する | 通行したい経路を指定して申請する |
| 通行時の根拠書類 | 回答書と関連書類 | 許可証、条件書、経路表など |
| 主な使い分け | システム上で確認できる車両・道路・経路に適する | 確認制度で対応できない道路や条件を含む場合などに確認する |
手続き前に揃える情報
- 自動車検査証と自動車検査証記録事項
- 車両諸元表、外観図、車両内訳
- 積載物の種類、寸法、重量
- 出発地・目的地・通行予定経路
- 通行予定日や運行条件
許可・回答を受けた後に守ること
- 許可または回答された期間内に通行する
- 許可または回答された経路から外れない
- 指定された通行時間を守る
- 徐行、誘導車、夜間通行などの条件に従う
- 許可証一式または回答書一式を車両に備え付ける
- 出発前に道路状況、通行止め、工事規制などを確認する
許可証や回答書は、紙だけでなく、ノートパソコンやタブレットなどの電子機器に入れて携帯できる場合があります。ただし、取締り時に速やかに表示できなければ不携帯として扱われる可能性があるため、電池切れや端末故障にも備えてください。
一般的制限値内でも通行できないケース
車両制限令の一般的制限値は、すべての道路を通行できることを保証する数値ではありません。次のような個別条件も確認します。
| 確認する条件 | 主な例 |
|---|---|
| 道路標識による制限 | 重量制限、高さ制限、幅制限、大型貨物自動車等通行止め |
| 道路構造物の条件 | 橋、トンネル、高架、踏切、急カーブ |
| 一時的な交通規制 | 工事、事故、災害、積雪、強風による規制 |
| 現場・施設の独自条件 | 入構可能な車両寸法、総重量、進入時間、誘導員の配置 |
| 別の許可・手続き | 道路上で荷役や作業を行う場合の道路使用許可、道路占用に関する手続きなど |
車両制限令、道路標識による交通規制、施設の入構条件はそれぞれ異なる確認項目です。「積3t」「重量8t」などの標識を見て進入できるか判断する方法は、【トラックの通行禁止標識】違反にならない判断基準で確認できます。
車両制限令違反の措置・罰則
無許可通行、許可条件違反、許可証・回答書の不携帯などが確認された場合は、道路管理者による警告や措置命令、罰則の対象になることがあります。
取締り時に命じられる可能性がある措置
- 警告
- 総重量の軽減や積荷の減載
- 徐行
- 通行の中止
- 高速道路からの退出
- 分割できない車両の留め置き
主な違反と罰則の例
| 主な違反例 | 主な罰則 |
|---|---|
| 道路標識で通行を禁止・制限している橋、トンネル、高架などを、表示された制限値を超えて無許可で通行した場合 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 道路管理者や道路監理員による通行中止などの命令に違反した場合 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 幅、長さ、高さ、重量、最小回転半径などの制限を超える車両を無許可で通行させた場合、または許可条件に違反した場合 | 100万円以下の罰金 |
| 特殊車両を通行させる際に、許可証または回答書を車両へ備え付けていなかった場合 | 100万円以下の罰金 |
これらの罰則は、違反した運転者だけでなく、業務として車両を通行させた法人や事業主にも適用される場合があります。
繰り返し違反や悪質な違反による事業への影響
- 是正指導
- 事業者名や是正指導内容の公表
- 通行許可または回答の取消し
- 悪質な重量超過違反に対する告発
- 元請けや施設管理者による入構停止・搬入中止
運転者の違反、道路管理者による措置、運送事業者に対する行政処分は同じものではありません。処分日車数、累積点数、事業停止などの違いは、【トラックの行政処分】違反点数と処分内容で整理しています。
運行前の確認手順

配車担当、車両管理担当、運転者が同じ順序で確認できるように、次の7段階で整理すると見落としを減らせます。
- 車検証と車両諸元表を確認する
全長・全幅・全高、車両重量、車両総重量、軸数などを確認します。 - 積載物を含む寸法・重量を確認する
積載物の長さ、幅、高さ、重量、積載位置、突出の有無を確認します。 - 総重量と軸重を確認する
総重量だけでなく、前軸・後軸への重量配分や輪荷重も確認します。 - 一般的制限値と比較する
幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tなどと比較します。 - 指定道路と個別規制を確認する
高さ指定道路、重さ指定道路、道路標識、橋・トンネル、工事規制を確認します。 - 必要な回答または許可を取得する
一般的制限値を超える場合は、通行確認制度または通行許可制度の対象を確認します。 - 経路・条件・書類を共有する
運転者へ通行経路、通行時間、徐行、誘導車などの条件を伝え、許可証または回答書を備え付けます。
社内で残しておきたい確認記録
- 車両番号、車名、型式
- 車検証記録事項と車両諸元表
- 積載物の種類、寸法、重量
- 総重量、軸重、計測方法
- 出発地、目的地、通行経路
- 許可番号または回答番号
- 通行条件を運転者へ共有した日時
FAQ
車両制限令の一般的制限値はいくつですか?
主な一般的制限値は、幅2.5m、長さ12.0m、高さ3.8m、総重量20.0t、軸重10.0t、輪荷重5.0t、最小回転半径12.0mです。隣接軸重は軸距などの条件により18.0~20.0tとなります。
高さは必ず3.8mまでですか?
通常の一般的制限値は3.8mですが、道路管理者が指定した高さ指定道路では4.1mです。ただし、経路上に高さ指定道路ではない区間や、標識でより低い制限が設けられた場所がないか確認が必要です。
車両総重量は必ず20tまでですか?
通常の一般的制限値は20tですが、高速自動車国道や重さ指定道路では、最遠軸距や車両長などの条件により最大25tとなる場合があります。総重量の条件を満たしても、軸重、輪荷重、隣接軸重は別に確認します。
2tトラックや4tトラックなら特殊車両通行許可は不要ですか?
通称だけでは判断できません。同じ2t車や4t車でも、架装、軸数、車体寸法、積載物によって通行時の寸法・重量は異なります。実車の諸元を確認し、一般的制限値を超える場合は通行確認制度または通行許可制度の要否を確認してください。
特殊車両通行確認制度と特殊車両通行許可制度の違いは何ですか?
通行確認制度は、あらかじめ登録した車両について、道路情報が電子化された道路の通行可能経路をオンラインで確認する制度です。通行許可制度は、通行する経路を指定して道路管理者の審査を受け、許可された経路と条件に従って通行する制度です。
車両制限令に違反すると、どのような措置や罰則がありますか?
警告、減載、徐行、通行中止、高速道路からの退出などを命じられる場合があります。主な罰則として、通行中止命令への違反などは6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、無許可通行、許可条件違反、許可証・回答書の不携帯などは100万円以下の罰金となる場合があります。
まとめ
車両制限令への適合は、2t車・4t車などの呼び方ではなく、乗員や積載物を含む通行時の寸法・重量で判断します。
- 一般的制限値は、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tなど
- 総重量内でも、軸重・輪荷重・隣接軸重を超える場合がある
- 高さ指定道路は4.1m、重さ指定道路は条件により最大25t
- 一般的制限値を超える場合は、通行確認制度または通行許可制度を確認する
- 許可・回答後も、経路、期間、通行時間、徐行、誘導車などの条件を守る
- 一般的制限値内でも、道路標識や施設独自の条件によって通行できない場合がある
運行前に、車検証・諸元表、積載物の寸法と重量、総重量・軸重、通行経路の4点を揃え、一般的制限値と個別規制の両方を確認してください。
出典・参考情報
| 出典・参考情報名 | 確認できる内容 |
|---|---|
| e-Gov法令検索「車両制限令」 | 車両の定義、一般的制限値、指定道路に関する法令本文 |
| e-Gov法令検索「道路法」 | 特殊車両の通行、措置命令、罰則、許可証・回答書の備え付けに関する規定 |
| 国土交通省「特殊車両通行制度について」 | 特殊車両通行確認制度と特殊車両通行許可制度の概要 |
| 国土交通省 関東地方整備局「道路法に基づく車両の制限とは」 | 幅、長さ、高さ、総重量、軸重、輪荷重、隣接軸重、最小回転半径の一般的制限値 |
| 国土交通省 中部地方整備局「特殊車両通行ハンドブック2025.5月版」 | 指定道路、通行条件、許可証の携帯、違反車両への措置、罰則 |
| 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構「車両制限令違反車両に対する取組」 | 取締り、是正指導、許可証・回答書の備え付け、違反者への対応 |


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