大型クレーンの手配が必要になった場面では、「オールテレーンクレーンにはどんな種類があるのか」「100t級と300t級では何が違うのか」「大型にすれば安心なのか」で判断が止まりやすくなります。
結論として、オールテレーンクレーンの種類は、吊上能力だけでなく、軸数・作業半径・ブーム長・アウトリガー条件・カウンターウエイト・搬入経路・設置条件を合わせて判断する必要があります。
この記事では、100t級・150〜200t級・300t級以上・450〜500t級以上の目安を整理し、現場条件に対してどのクラスを検討しやすいかを解説します。読後には、過剰選定や能力不足を避けるために、レンタル会社や専門業者へ何を伝えればよいかが分かります。
オールテレーンクレーンの基本的な特徴や用途から確認したい場合は、親記事の
【オールテレーンクレーンとは】特徴・用途・仕組みをわかりやすく解説
も参考にしてください。
このページでは、親記事よりも一歩進んで「種類・クラス別の違い」と「現場に合う選び方」に絞って解説します。
著者情報・監修条件
ユニック車ガイド編集部(現場判断担当)は、重機の選定・外注手配の観点で、過剰選定・不足選定の両方を避けるために、断定よりも判断軸と確認手順を重視して解説します。
最大吊上能力だけで決めず、作業半径・設置条件・搬入条件をセットで確認すると、現場に合わないクラス選定を避けやすくなります。
まず結論|オールテレーンクレーンの種類は「吊上能力×軸数×現場条件」で決まる

この記事の結論
オールテレーンクレーンは、主に吊上能力・軸数・ブーム長・作業半径・アウトリガー条件・カウンターウエイト条件によってクラス別に整理できます。
ただし、100t級だから常に100tを吊れるわけではありません。実際の作業可否は、吊り荷重量、作業半径、ブーム長、アウトリガー張出、カウンターウエイト、地盤条件、風などの条件で変わります。そのため、種類を選ぶときは「何t級か」だけでなく、現場条件に合うかを基準に判断することが重要です。
先に押さえる3つの判断軸
- ✅ 吊上能力と作業半径:最大能力ではなく、実際に吊る位置での定格総荷重を見る
- ✅ 軸数と車体サイズ:軸数が増えるほど大型化し、進入路や旋回条件の確認が重要になる
- ✅ 設置条件と搬入条件:アウトリガー張出、地盤、カウンターウエイト搬入、交通規制を確認する
オールテレーンクレーンの種類を分ける主な基準
オールテレーンクレーンの種類は、単純に「小さい・大きい」だけでは分けられません。実務では、吊上能力と軸数を入口にしつつ、作業半径や設置条件まで含めて判断します。
分類で見る主な項目
- 🧩 吊上能力:100t級、150〜200t級、300t級以上などの大まかなクラス
- 🧩 車軸数:4軸、5軸、6軸、7軸、8軸など。車体サイズや荷重分散に関係する
- 🧩 ブーム長:高所作業や長い作業半径が必要な現場で重要
- 🧩 作業半径:吊り荷までの距離。半径が長くなるほど吊れる重量は下がりやすい
- 🧩 アウトリガー張出:設置スペースや地盤養生に関係する
- 🧩 カウンターウエイト:大型クラスほど搬入・組立・設置計画への影響が大きい
- 🧩 搬入経路:道路幅、旋回、勾配、橋梁、電線、交通規制の確認が必要
📌 つまり、オールテレーンクレーンの種類選びでは「100t級か300t級か」だけでなく、その機種が現場に入れるか、アウトリガーを張れるか、指定の作業半径で必要重量を吊れるかを確認する必要があります。
クラス別の違い一覧|100t級・150〜200t級・300t級以上・超大型
ここでは、オールテレーンクレーンをクラス別に整理します。数値は代表機種の仕様例をもとにした目安であり、メーカー、機種、年式、ブーム構成、カウンターウエイト、アウトリガー条件によって変わります。
| クラス目安 | 軸数目安 | 代表的な仕様例 | 向いている現場 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 100t級 | 4軸前後 | ブーム長約59m、アウトリガー張出約8.1m×7.2m、最大作業半径約54mの例 | 中〜大規模建築、土木、設備据付、大型部材の要所作業 | 100tを常に吊れるわけではない。作業半径と定格総荷重の確認が必要 |
| 150〜200t級 | 5軸前後 | 160t級でブーム長約68m、アウトリガー張出約8.1m×7.5m、最大作業半径約66mの例 | 大型建築、重量物据付、広い作業半径が必要な作業 | 進入路、旋回、設置占有、地盤養生の確認がより重要になる |
| 300t級 | 6軸前後 | ブーム長約80m、アウトリガー張出約8.7m×8.5m、最大作業半径約86mの例 | 橋梁、プラント、大型建築、重量物据付、長い作業半径の作業 | カウンターウエイト、分解組立、付帯車両、交通規制が増えやすい |
| 450〜500t級以上 | 7〜8軸級の例あり | 450t級でブーム長約80m、500t級で最大カウンターウエイト約180tの例 | 超大型部材、特殊工程、長期工程、大規模プラント・橋梁工事 | 組立ヤード、搬入計画、地盤対策、補助ブーム、カウンターウエイト搬入が前提になりやすい |
| 超大型クラス | 機種により大きく異なる | 補助ブームや特殊仕様を組み合わせる場合がある | 一般的な建築現場より、特殊な重機計画が必要な工程 | クレーン本体だけでなく、工程計画・道路条件・安全計画と一体で検討する |
📌 上記の数値は代表機種の仕様例です。メーカー、機種、年式、ブーム構成、カウンターウエイト、アウトリガー張出、作業半径、地盤条件によって変わります。
実際の作業可否は、使用予定機種の性能表と現場条件を照合して確認してください。定格総荷重や作業半径の読み方は、【オールテレーンクレーンの性能表】見方・チェックポイントを解説で詳しく整理しています。
100t級の特徴と向いている現場
100t級は、オールテレーンクレーンの中では中〜大規模現場の入口として検討されやすいクラスです。大型部材の据付、建築現場の要所作業、土木工事、設備搬入などで候補になります。
代表機種の一例では、4軸前後、メインブーム長約59m、アウトリガー張出約8.1m×7.2m、最大作業半径約54mの仕様があります。ただし、これはあくまで代表例であり、実際に吊れる重量は作業半径やブーム角度によって大きく変わります。
✅ 100t級を検討するときは、「最大100tまで吊れるか」ではなく、吊り荷の位置で何t吊れるかを確認することが大切です。作業半径が長くなるほど、実際に吊れる重量は下がりやすくなります。
150〜200t級の特徴と向いている現場
150〜200t級は、100t級では余裕が不足する大型建築、重量物据付、広い作業半径が必要な作業で検討されやすいクラスです。5軸前後の機種が候補になり、100t級よりもブーム長やカウンターウエイト条件が重くなる傾向があります。
代表機種の一例では、160t級でメインブーム長約68m、アウトリガー張出約8.1m×7.5m、最大作業半径約66mの仕様があります。作業範囲に余裕を持たせやすい一方で、進入路、旋回、設置占有、地盤養生の確認はより重要になります。
300t級以上の特徴と向いている現場
300t級以上は、大規模建築、橋梁、プラント、重量物据付、長い作業半径が必要な現場で候補になりやすいクラスです。6軸前後の大型機となる例があり、車体サイズ、カウンターウエイト、設置条件の影響が大きくなります。
代表機種の一例では、300t級でメインブーム長約80m、アウトリガー張出約8.7m×8.5m、最大作業半径約86mの仕様があります。現場によっては、クレーン本体だけでなく、カウンターウエイトや補助ブームの搬入、組立ヤード、交通規制、地盤対策を含めた計画が必要です。
450〜500t級以上・超大型クラスの特徴
450〜500t級以上は、一般的な建築現場よりも、特殊工程や超大型部材の据付、大規模プラント、橋梁工事などで検討されるクラスです。7〜8軸級となる例があり、車両本体の進入だけでなく、カウンターウエイト、補助ブーム、輸送車両、組立ヤード、地盤対策まで含めて判断します。
このクラスでは、「吊れる能力が大きいから安心」と考えるより、現場に入れるか、組み立てられるか、設置できるかを先に確認する必要があります。クラスの上限や最大級の機種を詳しく知りたい場合は、補足として 【オールテレーンクレーンの世界最大・日本最大】代表機種と特徴 も参考になります。
大型にすれば安心ではない|クラス選定で失敗しやすいポイント

大型化で起きやすい失敗
オールテレーンクレーンは大型クラスほど高い能力を期待できますが、現場条件に合わなければ手配しても作業できません。特に、進入路、旋回、アウトリガー張出、地盤条件でつまずくことがあります。
- ⚠️ 大きすぎて現場や搬入経路に進入できない
- ⚠️ 車体が長く、交差点や敷地内で旋回できない
- ⚠️ アウトリガーを張り出すスペースが足りない
- ⚠️ 地盤が弱く、敷鉄板や養生計画が不足する
- ⚠️ 吊り荷重量だけを見て、作業半径や揚程を見落とす
- ⚠️ カウンターウエイトや分解組立の搬入計画を見落とす
回避するための考え方
- ✅ 最大吊上能力ではなく、作業半径を含めた定格総荷重で見る
- ✅ クレーン本体の進入路だけでなく、付帯車両の搬入も確認する
- ✅ アウトリガー張出幅と作業時の占有範囲を先に確認する
- ✅ 地盤条件、敷鉄板、沈下対策を元請や専門業者と確認する
- ✅ 大型化するほど、工程計画・交通規制・安全員の要否も確認する
現場条件別の選び方
現場に合うクラスは、吊り荷の重量だけでは決まりません。現場の広さ、搬入経路、作業半径、揚程、地盤、工程条件によって検討しやすいクラスは変わります。
| 現場条件 | 検討しやすいクラス | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 中〜大規模建築 | 100t級〜150t級が候補 | 吊り荷重量、作業半径、揚程、設置スペース |
| 重量物据付 | 150〜200t級以上が候補 | 吊り荷の重心、玉掛け方法、作業半径、地盤反力 |
| 橋梁・プラント | 200〜300t級以上が候補 | 搬入計画、カウンターウエイト、組立ヤード、交通規制 |
| 長い作業半径が必要 | 100t級以上で性能表確認 | 作業半径ごとの定格総荷重、ブーム長、ジブ使用条件 |
| 狭い現場 | 大型化より設置条件を優先 | 進入路、旋回、アウトリガー張出、占有範囲 |
| 超大型・特殊工程 | 450〜500t級以上も候補 | 組立ヤード、補助ブーム、付帯車両、地盤対策、安全計画 |
📌 表の内容は一般的な目安です。実際には、現場図面、吊り荷情報、搬入経路、使用予定機種の性能表をそろえて、レンタル会社や専門業者へ相談してください。
性能表で確認すべき項目
クラス別の違いを理解したら、次に確認すべきなのは性能表です。この記事では詳しい読み方までは広げず、クラス選定時に最低限見るべき項目を整理します。
性能表で見る項目
- ✅ 定格総荷重:指定条件で実際に吊れる重量の目安
- ✅ 作業半径:クレーン中心から吊り荷までの距離
- ✅ ブーム長:揚程や作業範囲に影響する
- ✅ アウトリガー張出条件:最大張出か中間張出かで能力が変わる
- ✅ カウンターウエイト条件:装着重量により能力や搬入条件が変わる
- ✅ 揚程:吊り上げ高さと障害物の有無を確認する
- ✅ 地盤反力:敷鉄板や地盤養生の検討に必要
- ✅ ジブ使用条件:補助ブーム使用時の能力や制限を確認する
- ✅ 風速や停止基準:高所作業や長尺物作業では特に重要
性能表の詳しい読み方は、
【オールテレーンクレーンの性能表】見方・チェックポイントを解説
で、定格総荷重、作業半径、ブーム長、アウトリガー条件を中心に解説しています。
他のクレーンと迷う場合の考え方
オールテレーンクレーンの種類を検討していると、クローラクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーンと迷うことがあります。この記事では詳細比較までは広げず、判断の入口だけ整理します。
比較対象になりやすいクレーン
- ✅ クローラクレーン:大型吊り、不整地、現場常駐、長期工程で比較対象になりやすい
- ✅ トラッククレーン:公道走行性や移動性を重視する場合に比較対象になりやすい
- ✅ ラフテレーンクレーン:現場内移動、取り回し、比較的小規模〜中規模現場で比較対象になりやすい
詳しい比較はこちら
業者へ相談する前のチェックリスト
オールテレーンクレーンのクラスを絞るには、レンタル会社や専門業者へ相談する前に、現場情報と吊り荷情報を整理しておくことが重要です。
そのまま相談に使える確認項目
- ✅ 吊り荷の最大重量
- ✅ 吊り荷の寸法、形状、重心
- ✅ 作業半径
- ✅ 必要揚程
- ✅ 建物、電線、仮設物などの障害物
- ✅ 搬入経路の幅、旋回、勾配、橋梁、電線
- ✅ 設置スペース
- ✅ アウトリガー張出スペース
- ✅ 地盤条件、養生、敷鉄板の要否
- ✅ 作業日数、作業時間帯
- ✅ 夜間作業や交通規制の有無
- ✅ 安全員、誘導員、合図者の要否
- ✅ 分解組立、カウンターウエイト搬入の有無
進入路や公道移動の条件が読みにくい場合は、補足として 進入路や公道走行の制限を確認して手配前の不安を減らす ための確認事項も整理しておくと、見落としを減らしやすくなります。
費用感はクラスだけで決まらない
費用はこの記事の主題ではありませんが、クラス選定と切り離せない要素です。大型クラスになるほど、クレーン本体の手配だけでなく、回送、分解組立、カウンターウエイト搬入、付帯人員、交通規制、安全対策の費用が増えやすくなります。
- ✅ クラスが大きいほど、回送や搬入の条件が重くなりやすい
- ✅ 分解組立やカウンターウエイト搬入があると、工程と人員が増えやすい
- ✅ 単発の大型案件では、購入よりレンタルや外注が現実的になる場合が多い
費用の詳細を確認したい場合は、補足として クラス選定後に新車・中古・レンタル費用の目安を確認する と、手配方法ごとの負担感を比較しやすくなります。
安全・法規・資格の注意点

安全面で必ず押さえる観点
オールテレーンクレーンは大型クラスほど、設置条件と作業条件の確認が重要になります。特に、アウトリガー、地盤、作業半径、立入禁止範囲、合図者、風の影響は事前に整理しておく必要があります。
- ✅ 地盤・設置:アウトリガー、地盤、沈下対策、占有スペース
- ✅ 作業計画:定格総荷重、作業半径、揚程、吊り荷形状、障害物
- ✅ 合図・誘導:合図者、誘導員、立入禁止範囲
- ✅ 天候条件:突風、降雨、視界、作業停止判断
法規・資格は断定せず確認する
法規、資格、免許、通行条件は、車両条件、作業条件、地域、会社の運用ルールによって変わる場合があります。この記事では断定せず、確認手順として整理します。
- レンタル会社・専門業者へ、車両条件、必要な設置条件、分解組立の要否を確認する
- 搬入ルート、通行条件、特殊車両関連、交通規制の有無を確認する
- 現場元請の安全担当へ、現場内ルール、占有計画、安全対策、作業計画書の要否を確認する
- 必要に応じて、関係機関や社内規程を確認する
オールテレーンクレーンの種類に関するよくある質問
Q:オールテレーンクレーンの種類は何で分かれますか?
A:主に吊上能力、軸数、ブーム長、アウトリガー条件、カウンターウエイト条件、搬入・設置条件で分かれます。
Q:100t級と200t級の違いは何ですか?
A:最大吊上能力だけでなく、軸数、作業半径、ブーム長、設置条件、搬入条件が異なります。実際の作業可否は性能表で確認します。
Q:300t級以上はどんな現場で使いますか?
A:大型建築、橋梁、プラント、重量物据付、長い作業半径が必要な現場で候補になります。ただし、搬入計画や地盤条件の確認が前提です。
Q:大きいクラスを選べば安全ですか?
A:大きすぎると進入路、設置スペース、アウトリガー張出、地盤条件で不利になる場合があります。現場条件に合うクラスを選ぶことが重要です。
Q:業者へ相談する前に何を確認すべきですか?
A:吊り荷重量、作業半径、揚程、搬入経路、設置スペース、アウトリガー条件、地盤条件を整理して伝えると相談が具体化します。
まとめ|種類選びは「現場条件に合うクラス」を基準にする
オールテレーンクレーンの種類は、100t級、150〜200t級、300t級以上、450〜500t級以上のように吊上能力で整理できます。ただし、実際の選定では、軸数、作業半径、ブーム長、アウトリガー条件、カウンターウエイト、搬入経路、設置スペース、地盤条件まで含めて判断する必要があります。
- ✅ 100t級は中〜大規模現場の入口として検討しやすい
- ✅ 150〜200t級は大型建築や重量物据付で候補になりやすい
- ✅ 300t級以上は橋梁・プラント・長い作業半径が必要な現場で候補になりやすい
- ✅ 450〜500t級以上は超大型・特殊工程向けで、搬入・組立・地盤対策が前提になりやすい
- ✅ 大型なら安全ではなく、現場条件に合うクラスを選ぶことが重要
🧭 次の行動として、吊り荷重量、作業半径、揚程、搬入経路、設置スペース、地盤条件を整理し、使用予定機種の性能表をもとにレンタル会社や専門業者へ相談しましょう。


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