「120t級をトラッククレーンで吊れるのか」「ユニック車の延長で考えてよいのか」は、据付計画や大型設備の搬入前に起きやすい疑問です。特に初期段階では「何トン吊れる機械か」という数字だけが先に進み、作業半径・揚程・地盤・搬入路・設置スペースの確認が後回しになりがちです。
結論:ユニック車やクレーン付きトラックでは120t級の吊り作業には対応できません。120t級は大型移動式クレーンの領域として、現場条件を含めて判断する必要があります。
ここでいう120t級は、単に「120tの荷物を吊れる」という意味ではありません。実際の選定では、吊り荷本体に加えて、シャックル・スリング・吊りビームなどの吊り具を含めた総重量、作業半径、ブーム長、カウンターウェイト、アウトリガー張り出し、地盤条件、風や障害物の影響まで確認します。
この記事では、120t級の大型クレーンを検討する際に確認すべき条件を、運搬・設置・道路条件・分解組立・安全体制まで含めて整理します。大型クラス全体の位置づけから確認したい場合は、大型トラッククレーンとは何かを整理した記事もあわせて確認してください。
トラッククレーン120tとは何を指すのか

検索語としての「トラッククレーン120t」は意味が広い
現場では「トラッククレーン」という言葉が、クレーン付きトラックやユニック車を指す場合もあれば、大型の移動式クレーンを広く指す場合もあります。そのため「トラッククレーン120t」と検索している人の中には、ユニック車で対応できるかを知りたい人と、120t級の大型クレーンを手配したい人が混在します。
この記事では、ユニック車・クレーン付きトラックでは対応できないことを先に線引きしたうえで、120t級の大型移動式クレーンを検討する場合に、何を確認すべきかを中心に整理します。ユニック車との用語の違いを先に確認したい場合は、トラッククレーンとユニック車の違いも参考になります。
120t級は「最大能力」だけで判断できない
120t級と聞くと「120tの荷物をどこでも吊れる機械」と考えがちですが、実際にはそうではありません。クレーンの能力は、ブーム長、作業半径、カウンターウェイト、アウトリガー張り出し、地盤条件などによって変わります。
作業半径が伸びるほど吊れる重量は下がり、障害物を避けるためにブーム姿勢が不利になると、同じ荷重でもより大きなクラスが必要になることがあります。120t級の選定では、荷重の数字だけでなく「どこに置いて、どの半径で、どの高さまで吊るのか」を先に整理する必要があります。
120t級はユニック車では対応できない大型クレーン領域
ユニック車・クレーン付きトラックの範囲ではない
ユニック車やクレーン付きトラックは、資材の積み下ろしや小〜中重量物の荷役を、運搬とセットで行いやすい車両です。荷台に積んだ資材を現場で降ろす、狭い現場で短い作業半径の荷役を行う、といった用途に向いています。
一方、120t級の吊り作業は、超重量物の据付や大規模な揚重計画に該当します。吊り荷の重量だけでなく、地盤反力、アウトリガー設置、敷鉄板、立入規制、交通規制、合図・玉掛・誘導体制まで含めて計画する必要があり、ユニック車の延長では成立しません。
| 種別 | 主な用途 | 120t級への適性 | 設置条件 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ユニック車・クレーン付きトラック | 資材の積み下ろし、短距離の荷役、搬入補助 | 対象外 | 作業半径、アウトリガー、積載との両立に注意 | 120t級を扱う前提の機械ではない |
| ラフテレーンクレーン | 現場内移動を伴う中〜大型の揚重 | 条件確認が必要 | アウトリガー設置、地盤、作業スペースが重要 | 同じ120t級でも半径や揚程で可否が変わる |
| オールテレーンクレーン | 広域移動と高能力を両立する大型揚重 | 中心候補になりやすい | 搬入路、設置スペース、カウンターウェイト搬入が重要 | 機種ごとの性能表と現場条件の照合が必要 |
| ラチスジブ型・大型専用機 | 大型構造物、長い作業半径、特殊用途 | 現場条件により候補 | 分解・組立、部材搬入、広い設置ヤードが必要になりやすい | 詳細はラチスジブ型トラッククレーンの記事で確認 |
資格区分の面でも小型移動式クレーンとは別領域
小型移動式クレーンは、一般につり上げ荷重1t以上5t未満の範囲で技能講習の対象として整理されます。これに対して、120t級は5tを大きく超えるため、小型移動式クレーンの範囲ではありません。
つり上げ荷重5t以上の移動式クレーンでは、移動式クレーン運転士免許など、作業条件に応じた資格・体制の確認が必要になります。実際の適用は作業内容や機械の種類で変わるため、手配前に専門業者や安全担当者へ確認してください。
120t級で最初に確認すべき5つの条件
1. 吊り荷の重量と吊り具込みの総重量
最初に確認するのは、吊り荷本体の重量だけではありません。シャックル、スリング、吊りビーム、治具、フックブロックなどを含めた総重量で確認します。重量が不明確なまま相談すると、選定機種や見積り条件がずれやすくなります。
2. 作業半径
120t級で最も重要なのが作業半径です。クレーンの能力は、機械の中心から吊り荷までの距離が伸びるほど低下します。吊りたい重量が同じでも、近くで吊る場合と遠くへ振る場合では必要な機種が変わります。
3. 揚程と障害物
建屋、架台、電線、足場、既設設備を越える必要がある場合、ブーム長や角度が変わります。高さ方向の条件が厳しいほど、能力表上の余裕が小さくなることがあります。
4. 地盤とアウトリガー設置
大型クレーンでは、吊り荷の重さだけでなく、アウトリガーにかかる反力が重要です。地盤が弱い場合、敷鉄板や地盤養生が必要になります。舗装面でも、地下ピット、埋設物、側溝、マンホール付近では注意が必要です。
5. 搬入経路と設置スペース
120t級は、クレーン本体だけでなく、カウンターウェイトや補助部材の搬入も考える必要があります。進入路の幅、曲がり角、段差、勾配、高さ制限、待機場所、組立スペースまで確認してください。道路条件の見方は、トラッククレーンの運搬方法で詳しく整理しています。
100t・120t・200t級の違いと選び分け
100t、120t、200t級の違いは、最大能力の数字だけではありません。能力余裕が増えるほど、車両サイズ、カウンターウェイト、設置スペース、搬入条件、費用、手配調整も大きくなります。
120t級で足りるか、100t級でよいか、200t級まで必要かは、吊り荷重量だけでなく、作業半径・揚程・障害物・地盤・搬入条件で判断します。
| クラス | 向きやすい場面 | 確認すべき条件 | 内部リンク先 |
|---|---|---|---|
| 100t級 | 大型設備の据付、重量物の搬入、100t前後の検討 | 半径・揚程・設置スペースに余裕があるか | トラッククレーン100tとは |
| 120t級 | 100t級では余裕が不足する可能性がある現場 | 吊り具込み総重量、作業半径、地盤、搬入経路 | 大型トラッククレーンとは |
| 200t級 | より重い荷、遠い作業半径、高い揚程、大型構造物 | 分解組立、部材搬入、広い設置ヤード、交通規制 | トラッククレーン200tとは |
搬入・設置で問題になりやすい道路条件とスペース

一般的制限値を超える可能性を早めに確認する
大型クレーンやカウンターウェイト搬入車両では、道路の一般的制限値を超える可能性があります。一般的な目安として、幅2.5m、長さ12.0m、高さ3.8m、総重量20.0tなどが確認対象になります。高さ指定道路では、高さ4.1mまで扱われる場合もあります。
ただし、実際に通行できるかどうかは道路、車両構造、軸重、経路、時間帯、許可条件によって変わります。道路条件や特殊車両通行制度の確認は、早い段階で運搬会社や専門業者へ相談してください。
| 確認項目 | 一般的な目安 | 120t級での注意点 |
|---|---|---|
| 幅 | 2.5m | 車幅2.7m前後の機種例もあり、経路確認が必要 |
| 長さ | 12.0m | 全長14m超の機種例もあり、交差点や旋回に注意 |
| 高さ | 3.8m | 高さ指定道路では4.1mまで扱われる場合があるが、経路ごとの確認が必要 |
| 総重量 | 20.0t | クレーン本体や部材搬入車が超過する場合、通行条件の確認が必要 |
120t級機のサイズ感は機種で大きく変わる
120t級に相当するオールテレーンクレーンの機種例では、主ブームが60m級、全長が14mを超えるもの、車幅が2.7m前後になるもの、カウンターウェイト構成が複数用意されるものがあります。ただし、これはあくまで機種例です。実際の寸法、能力、ブーム長、カウンターウェイト、通行条件はメーカー・型式・仕様で異なります。
分解・組立やカウンターウェイト搬入が必要になるケース
120t級では「クレーン1台が来れば終わり」と考えない
120t級では、クレーン本体の回送だけでなく、カウンターウェイト、敷鉄板、補助部材、場合によっては組立用の補助クレーンや運搬車両が必要になることがあります。現場によっては、クレーン作業そのものよりも、搬入・組立・設置準備のほうが大きな制約になります。
分解搬入や現地組立が必要になるかどうかは、機種、道路条件、現場進入路、設置ヤードの広さで変わります。詳しい判断軸は、トラッククレーンの分解・組立で補完してください。
ラチスジブ型が候補になる場合もある
長い作業半径や大型構造物の揚重では、ラチスジブ型など大型・特殊用途のクレーンが候補になることがあります。ただし、ラチスジブの構造や用途の詳細はこの記事では深掘りしません。大型用途での役割を確認したい場合は、ラチスジブ型トラッククレーンとはを確認してください。
120t級を手配する前のチェックリスト
120t級の手配で重要なのは、見積り前に条件をそろえることです。条件が曖昧なまま「120t級でお願いします」と伝えると、各社の前提がずれて比較できなくなります。
以下の項目を事前に整理し、不明な部分は「最大側」「厳しい側」で仮置きして相談すると、選定ミスを減らしやすくなります。
| 確認項目 | 見るポイント | 不明な場合の対応 |
|---|---|---|
| 吊り荷重量 | 本体重量、内容物、重心位置 | 図面・仕様書・メーカー資料で確認する |
| 吊り具込み総重量 | スリング、シャックル、吊りビーム、治具を含める | 吊り具重量を見込んで安全側で相談する |
| 作業半径 | クレーン中心から吊り荷までの最大距離 | 最大側の半径で仮置きする |
| 揚程 | 吊り上げ高さ、越えるべき構造物 | 現場写真や断面図を用意する |
| 障害物 | 電線、建屋、足場、配管、既設設備 | 上空写真・現地写真を共有する |
| 地盤 | 舗装、土間、埋設物、地下ピット、傾斜 | 地耐力資料や現地確認を依頼する |
| アウトリガー設置 | 張り出し幅、障害物、設置面の水平 | 設置候補位置を複数用意する |
| 敷鉄板・養生 | 地盤保護、沈下防止、荷重分散 | 必要枚数や搬入方法も相談する |
| 搬入経路 | 幅、曲がり角、段差、勾配、待機場所 | 経路図と写真を用意する |
| 道路幅・高さ制限 | 一般的制限値、橋梁、架空線、ゲート | 運搬会社へ事前確認する |
| 交通規制 | 片側通行、夜間作業、第三者動線 | 道路管理者・警備体制の確認を行う |
| 作業時間帯 | 日中・夜間、搬入時間、作業可能時間 | 近隣条件や規制時間を確認する |
| 玉掛・合図・誘導体制 | 資格、役割分担、指揮系統、無線連絡 | 作業計画時点で担当者を決める |
費用感は「機械代」より現場条件で変わる
120t級は購入より手配最適化で考える
120t級は、一般的に「車両を買えば使える」というより、現場ごとの条件に合わせて専門業者へ手配する領域です。クレーン本体だけでなく、回送、カウンターウェイト搬入、敷鉄板、組立解体、誘導員、交通規制、夜間作業などが費用に影響します。
同じ120t級でも、作業半径が短く地盤条件がよい現場と、搬入路が狭く夜間規制が必要な現場では、手配内容が大きく変わります。オールテレーンクレーンとの違いを整理したい場合は、オールテレーンクレーンとの違いも確認してください。
費用を左右する主な要因
- クレーンのクラスと機種
- 作業時間と拘束時間
- 回送距離と搬入回数
- カウンターウェイトや部材搬入の有無
- 敷鉄板・地盤養生の規模
- 交通規制・警備員・誘導員の要否
- 夜間作業、休日作業、近隣対応の有無
- 分解・組立や補助クレーンの要否
安全・資格・法規で確認すべきこと

当日調整で対応できる領域ではない
120t級の揚重は、現場で「少し位置を変えれば何とかなる」と考えると危険です。設置位置、アウトリガー、地盤、作業半径、立入範囲が変わると、能力表上の成立条件も変わります。
作業計画では、吊り荷の総重量、最大作業半径、揚程、地盤条件、搬入経路、周辺障害物を整理し、専門業者に機種選定を依頼してください。
資格・役割分担・立入規制を事前に決める
大型クレーン作業では、オペレーターだけでなく、玉掛者、合図者、誘導員、監視員、作業指揮者の役割分担が重要です。資格の要否は、機械の種類、つり上げ荷重、作業内容によって変わります。
つり上げ荷重5t以上の移動式クレーンでは、移動式クレーン運転士免許などの確認が必要になります。また、玉掛作業についても吊り荷重量に応じた資格確認が必要です。法令や社内規程の適用は現場条件で変わるため、安全担当者や専門業者と事前に確認してください。
確認の流れ
| 手順 | 確認する内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 荷重、作業半径、揚程、障害物を整理する | 能力表で確認できる前提をそろえる |
| 2 | 地盤、アウトリガー、敷鉄板の条件を確認する | 設置時の安定性を確認する |
| 3 | 搬入経路、道路条件、通行規制を確認する | 現場に入れるか、部材を運べるかを確認する |
| 4 | 資格、玉掛、合図、誘導、立入規制を決める | 作業当日の事故リスクを下げる |
| 5 | 専門業者に機種選定と施工条件を確認する | 現場条件に合う計画へ落とし込む |
トラッククレーン120tのよくある質問
トラッククレーンで120tは吊れますか?
ユニック車やクレーン付きトラックでは120t級の吊り作業には対応できません。120t級は大型移動式クレーンの領域として、作業半径、揚程、地盤、アウトリガー設置、搬入条件を含めて判断します。
120tクレーンなら120tの荷物をどこでも吊れますか?
いいえ。定格能力は条件付きで、作業半径が伸びるほど吊れる重量は下がります。吊り具込みの総重量、ブーム長、カウンターウェイト、アウトリガー条件、地盤条件を性能表と現場条件で確認する必要があります。
100tと120tは何が違いますか?
能力余裕だけでなく、車両サイズ、カウンターウェイト、設置スペース、搬入条件が変わります。100t級で足りるか迷う場合は、トラッククレーン100tとはも確認してください。
120tと200tはどちらを選ぶべきですか?
荷重だけでなく、作業半径、高さ、地盤、障害物、搬入条件で決めます。より大きな能力や長い作業半径が必要な場合は、トラッククレーン200tとはも参考にしてください。
運搬や道路条件の確認は必要ですか?
必要です。一般的制限値を超える車両や部材搬入では、道路条件や特殊車両通行制度の確認が必要になる場合があります。搬入計画を整理する場合は、トラッククレーンの運搬方法を確認してください。
まとめ:120t級は能力表だけでなく現場成立条件で判断する
トラッククレーン120t級を検討するときの要点は、次の3つです。
- ユニック車やクレーン付きトラックでは120t級の吊り作業には対応できない
- 120t級は大型移動式クレーン領域として、作業半径・揚程・地盤・搬入経路まで含めて判断する
- 能力表だけでなく、道路条件、分解組立、カウンターウェイト搬入、安全体制を事前に確認する
120t級は「当日調整」で対応できる領域ではありません。実際の選定では、車両の仕様、クレーンの性能表、作業半径、地盤条件、搬入経路、法規制を必ず確認し、必要に応じてメーカー・整備工場・専門業者へ相談してください。


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