トラックの前面上部にある3連ランプは、古い大型貨物自動車で使われてきた「速度表示灯」の可能性がある。速度表示灯はメーター内の警告灯ではなく、車外へ走行速度の区分を示す装置であり、速度抑制装置(スピードリミッター)とも別の装置である。
旧式の3連速度表示灯では、40km/h以下で1灯、40km/h超〜60km/h以下で2灯、60km/h超で3灯が点灯する。現在は大型貨物自動車への装備義務付けは廃止されているが、古い車両に装備されている場合や、不点灯・撤去・修理を検討する場合は、車両の製作時期・適用基準・装置状態を確認する必要がある。
最初に確認したい3つのポイント
- ✅ 速度表示灯は、メーター内の警告灯ではなく車外へ速度区分を示す装置
- ✅ 旧式の3連速度表示灯は、40km/h以下で1灯、40km/h超〜60km/h以下で2灯、60km/h超で3灯
- ✅ 現在は大型貨物車への装備義務ではないが、装備されている車両では適用基準と装置状態を確認する
見かけたランプが速度表示灯なのか、メーター内の警告灯・表示灯なのか分からない場合は、【トラックの警告灯・表示灯一覧】色・マーク別の意味と確認方法で表示位置や役割を先に確認すると切り分けやすい。
著者情報(ユニック車ガイド編集部)
ユニック車(クレーン付きトラック)・2t/3tトラックを中心に、点検・中古車確認・車検前の確認観点を「現場で迷わない判断手順」に落とし込む方針で編集している。歴史説明だけで終わらせず、現行の扱いと確認手順を重視する。改造・車検・安全に関わる点は断定を避け、車両ごとの製作時期・適用基準・整備実務へ接続する。
本記事の扱い方針:速度表示灯は旧制度に関係する装置のため、装備の有無だけで判断せず、車両の製作時期・適用保安基準・装置状態を確認する流れで整理する。
何km/hで何個点く?速度表示灯の読み方
旧基準では40km/h・60km/hが区切りになる
古い大型トラックで見られる3連速度表示灯では、点灯数が速度区分を示す。平成18年12月31日以前に製作された自動車に関する従前規定では、40km/h以下、40km/h超〜60km/h以下、60km/h超の3段階で点灯数が定められている。
| 速度区分 | 点灯数 | 点灯位置 | 読者向けの意味 |
|---|---|---|---|
| 40km/h以下 | 1灯 | 左側 | 低速域を示す |
| 40km/h超〜60km/h以下 | 2灯 | 左側+右側 | 中速域を示す |
| 60km/h超 | 3灯 | 左側+右側+中央 | 高速域を示す |
NALTECの審査事務規程では、この従前規定の確認において、左側の速度表示灯の点灯開始速度は技術的に可能な限り低い速度とし、20km/hを超えないこととされている。そのため、「40km/h以下なら停止中から必ず1灯が点いている」と単純に考えないことが重要である。
具体的な検査上の取扱いは、自動車技術総合機構(NALTEC)|審査事務規程で確認できる。
点灯順は「左→右→中央」|2灯時は左右が点灯する
3連ランプは、単純に左から順番に3個点灯するわけではない。旧式の速度表示灯の点灯順は、車両を前方から見た配置で左側の灯火→右側の灯火→中間の灯火と定められている。
- ✅ 1灯時:左側のみ
- ✅ 2灯時:左側+右側
- ✅ 3灯時:左側+右側+中央
特に2灯時は「左と中央」ではなく、両端の左側・右側が点灯する点に注意したい。見かけた3連ランプを確認するときは、点灯数だけでなく配置も確認すると速度表示灯かどうかを判断しやすい。
速度表示灯の色・視認距離・取付基準
旧式の速度表示灯には、点灯数だけでなく、灯光色・視認性・取付位置などの基準もある。平成18年12月31日以前に製作された自動車に関する従前規定とNALTECの審査事務規程を確認すると、主な内容は次のとおりである。
| 項目 | 基準・確認値 | 確認の意味 |
|---|---|---|
| 灯光色 | 黄緑色 | 他の灯火との混同を避ける |
| 視認性 | 前方100mから点灯個数を確認できること | レンズ劣化・不点灯などを確認する |
| 取付位置 | 前面ガラス上方 | 後付け・撤去跡の確認材料になる |
| 取付高さ | 地上1.8m以上 | 照明部中心の位置で確認する |
| 配列 | 3灯をほぼ水平・等間隔に配列 | 3連ランプの構成を確認する |
| 灯火間隔 | 300mm±50mm | 中間灯火は車両中心線付近に配置する |
| 表示部面積 | 40cm²以上 | 表示部の大きさを確認する |
平成18年12月31日以前に製作された自動車の従前規定では、平坦な舗装路面で速度35km/h以上の場合、速度表示灯の表示の誤差は正15%・負10%以下とされている。この誤差要件を、製作時期を確認せず現在のすべての車両へ一律に当てはめないことが重要である。
旧年式車に関する具体的な規定は、国土交通省|適用関係告示 第57条(速度表示装置)で確認できる。
速度表示灯とは|古い大型トラックの3連ランプの正体

速度表示灯はメーター警告灯ではなく車外への速度区分表示
速度表示灯は、車両の走行速度を外部から分かるように示すための表示装置である。古い大型トラックでは、前面上部にある黄緑色の3連ランプとして認識されることが多い。
運転席のメーターパネルに点灯して故障や車両状態を知らせる「警告灯」とは役割が異なる。速度表示灯は車両前方から見える位置に設けられ、他の交通に速度を表示するための車外表示装置である。
旧制度の対象は車両総重量8t以上または最大積載量5t以上
旧制度では、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の貨物自動車に速度表示装置を備えることが求められていた。現在の読者向けには、「昔の大型貨物自動車で使われた速度区分表示」と理解すると分かりやすい。
ただし、この重量条件は旧制度で装備義務があった車両を説明するための条件であり、現在の新規装備義務を示す条件ではない。
2t・3t・4tトラックやユニック車は通称だけで判断しない
速度表示灯の話題は、旧年式の中古トラックや架装車を扱う場面で出てくることがある。ユニック車はクレーン装置を架装したトラックだが、速度表示灯の扱いはクレーン装置ではなく、ベース車両側の条件で確認する。
そのため、2t・3t・4tといった運用上の呼び方だけで対象かどうかを判断しない。車検証の初度登録年月に加えて、必要に応じて製作時期、車両総重量、最大積載量、現在の装備状態を確認し、判断しにくい場合は整備工場へ相談する流れが安全である。
今も義務?対象車と現行車での考え方

大型貨物車への装備義務付けは廃止されている
大型貨物自動車への速度表示装置の装備義務付けは、2001年8月31日の道路運送車両の保安基準改正で廃止された。国土交通省の「自動車安全基準改正の概要」でも、速度抑制装置の装備義務化とあわせて、速度表示装置の大型貨物自動車への装備義務付けを廃止したことが確認できる。
したがって、現在販売されている大型トラックに旧式の3連速度表示灯が付いていないこと自体は不自然ではない。
改正の経緯は、国土交通省|自動車安全基準改正の概要で確認できる。
現在は「備えることができる」装置
装備義務が廃止されたことと、速度表示装置に関する基準そのものがなくなったことは同じではない。現在の道路運送車両の保安基準第48条の3では、自動車には速度表示装置を備えることができるとされている。
実際に速度表示装置を備える場合は、表示方法・灯光の色・明るさ・精度・取付位置・取付方法など、適用される基準に適合させる必要がある。
そのため、「今は義務ではないから、付いている装置を自由に撤去・変更してよい」と単純に判断しない。古い車両に残っている装置を修理・撤去・変更する場合は、製作時期と適用基準を確認する。
古い車両では製作時期と適用規定を確認する
速度表示装置には、車両の製作時期によって従前規定が適用される場合がある。たとえば平成18年12月31日以前に製作された自動車には、3連速度表示灯の点灯方法や、速度35km/h以上での表示誤差などを定めた従前規定がある。
車検証の初度登録年月だけで製作年月日そのものを断定できない場合もあるため、適用基準まで確認する必要があるときは、車台番号・型式・製作時期を確認できる資料をそろえて整備工場や検査関係機関へ確認すると確実である。
速度表示灯と似たランプ・速度制限との違い

速度表示灯・速度抑制装置・速度制限は別物
速度表示灯は、他のランプ類や速度制限、速度抑制装置と混同されやすい。読者が判断を誤りやすいのは、「ランプが点いている=速度違反」「3連ランプ=警告灯」「速度表示灯=速度抑制装置」といった短絡である。
| 名称 | 役割 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 速度表示灯 | 外部へ速度を示す表示装置 | 点灯数だけで違反や警告と誤解されやすい |
| 速度抑制装置 | 対象となる大型貨物車の速度を制御する装置 | 速度表示灯と同じ装置だと誤解されやすい |
| 速度制限 | 道路交通上の最高速度などのルール | 速度表示灯の40km/h・60km/h区分と混ざりやすい |
| 警告灯 | 車両異常や状態を主に運転者へ知らせる表示 | 車外表示灯とメーター内警告灯を混同しやすい |
| その他の灯火 | 前照灯、車幅灯、尾灯、制動灯など目的が異なる | 色や位置だけで速度表示灯と決めつけやすい |
速度表示灯の40km/h・60km/hという区分は、道路上の最高速度そのものではない。一般道・高速道路でのトラックの最高速度を確認したい場合は、【トラックの速度制限】一般道・高速道路の違いで確認してほしい。
また、一定の大型貨物車で車速を制御する速度抑制装置は速度表示灯とは別の装置である。対象条件や装置の仕組みを確認したい場合は、【トラックの速度抑制装置とは】仕組みと安全面での注意点へ進むと切り分けやすい。
メーター内の警告灯・表示灯をまとめて照合したい場合は、【トラックの警告灯・表示灯一覧】色・マーク別の意味と確認方法で確認できる。
中古トラック・旧年式ユニック車で確認するチェックリスト

車検証・製作時期・装置状態・整備記録を確認
中古トラックや旧年式ユニック車では、速度表示灯が付いているか、点灯するか、過去に撤去・修理されたかが分からない場合がある。現車確認では、見た目だけで判断せず、確認項目を表にして整理するとよい。
| 確認項目 | 見る場所 | 判断の目的 |
|---|---|---|
| 初度登録年月 | 車検証 | 車両の年代を確認する |
| 製作時期・適用基準 | 車両資料・整備工場等 | 適用される規定を確認する |
| 車両総重量・最大積載量 | 車検証 | 旧制度の対象条件との関係を確認する |
| 速度表示灯の有無 | 車両前面上部 | 装備状態を確認する |
| 点灯状態 | 点検時・整備時 | 不点灯・誤点灯を切り分ける |
| 配線・レンズ状態 | 外観点検 | 破損・後付け・撤去跡を確認する |
| 整備記録 | 記録簿・販売店資料 | 過去の修理・交換・撤去歴を確認する |
特に中古車では、販売店の説明だけで完結せず、現車・整備記録・車両資料を組み合わせて確認すると判断しやすい。
中古ユニック車はベース車両側で確認する
中古ユニック車を確認するときは、クレーンの能力や作動状態だけでなく、ベース車両の製作時期・灯火類・整備記録も確認する。速度表示灯の扱いは架装装置ではなく、車両側の条件に依存するためである。
とくに旧年式車では、販売時点で速度表示灯が付いている場合、点灯しない場合、撤去跡がある場合がある。購入後に車検前整備で慌てないよう、契約前に「この速度表示装置の適用基準と現在の状態を確認したい」と販売店または整備工場へ伝えておくと安全である。
車検で問題になる?点灯しない・撤去・後付けの考え方
装備している速度表示装置は基準への適合を確認する
現在は大型貨物自動車への速度表示装置の装備義務付けは廃止されている。一方で、速度表示装置を備えている車両については、適用される保安基準や審査事務規程に照らして装置の状態を確認する必要がある。
そのため、速度表示灯が点灯していない場合でも、「昔の装置だから何もしなくてよい」「付いているから不点灯なら必ず車検不適合」と装備状態だけで直ちに断定するのは避けたい。
製作時期、適用基準、現在の装置状態を確認し、判断しにくい場合は車検前に整備工場へ確認するのが確実である。
不点灯・修理・撤去前に確認する項目
速度表示灯が点灯しない場合や、撤去・修理・交換を検討する場合は、作業前に必要な対応を切り分ける。点検だけで済むのか、配線確認や部品交換が必要なのかで作業範囲と費用が変わるため、一律の金額だけで判断しにくい。
- ✅ 車検証の初度登録年月
- ✅ 必要に応じて車両の製作時期・適用基準
- ✅ 車両総重量・最大積載量
- ✅ 速度表示灯の有無と3灯の配置
- ✅ 点灯状態・レンズ割れ・配線の露出
- ✅ 過去の修理・撤去・交換履歴
整備工場へは、「この車両の製作時期・適用基準で速度表示装置をどう扱うべきか」「現状の不点灯や破損が検査上問題になるか」「修理・撤去・変更のどこまで必要か」をまとめて確認すると判断が進めやすい。
よくある誤判断と回避策
| よくある判断 | リスク | 安全な回避策 |
|---|---|---|
| 点灯=スピード違反と決めつける | 速度区分を示す装置の役割を誤解する | 点灯数と速度表示灯の役割を確認する |
| 不点灯=即交換と判断する | 適用基準を確認しないまま作業する可能性がある | 製作時期・適用基準・装置状態を先に確認する |
| 義務廃止=自由に撤去できると考える | 装備されている装置の基準や車両状態を見落とす | 作業前に整備工場へ適用基準と作業可否を確認する |
| 速度表示灯=速度抑制装置と考える | 表示装置と速度制御装置を混同する | 表示と速度制御を別の装置として確認する |
通常の車外灯火は灯火類点検の記事で確認する
速度表示灯とは別に、前照灯・車幅灯・尾灯・制動灯・方向指示器・後退灯・番号灯などの通常の車外灯火を車検前や日常点検で確認したい場合は、【トラックの灯火類点検】車検で落ちやすい項目と日常点検のコツで確認できる。
FAQ
Q:速度表示灯は今も付けなければいけない?
A:現在、大型貨物自動車への速度表示装置の装備義務付けは廃止されている。ただし、速度表示装置を備える場合は、適用される表示方法・灯光の色・明るさ・精度・取付位置などの基準に適合させる必要がある。旧年式車では製作時期や適用基準も確認する。
Q:3連ランプは何km/hで何個点く?
A:旧式の3連速度表示灯では、40km/h以下で1灯、40km/h超〜60km/h以下で2灯、60km/h超で3灯が点灯する。点灯順は左側、右側、中央なので、2灯時は左右の2灯が点灯する。
Q:点灯していないと違反?
A:不点灯だけで直ちに違反や車検不適合と断定しない。現在は大型貨物車への装備義務ではない一方、装備されている装置には適用基準が関係するため、車両の製作時期・適用基準・装置状態を確認する。
Q:ユニック車にも速度表示灯は付く?
A:旧年式のベース車両であれば装備されている場合がある。速度表示灯の扱いはクレーン架装ではなく、ベース車両の製作時期・車両条件・適用基準を起点に確認する。
Q:撤去や後付けをしてもいい?
A:装備義務が廃止されていることと、既存装置を条件確認なしで自由に変更できることは別である。撤去・修理・交換・後付けを行う前に、車両の製作時期と適用基準を確認し、必要に応じて整備工場へ相談する。
Q:速度表示灯と速度抑制装置は同じ?
A:同じではない。速度表示灯は車外へ速度を示す表示装置で、速度抑制装置は対象となる大型貨物車の速度を制御する装置である。
まとめ & CTA
要点
- ✅ 速度表示灯は、車外へ速度を示す表示装置であり、メーター内の警告灯ではない
- ✅ 旧式の3連速度表示灯では、40km/h以下で1灯、40km/h超〜60km/h以下で2灯、60km/h超で3灯が点灯する
- ✅ 点灯順は左側→右側→中央で、2灯時は左右の灯火が点灯する
- ✅ 旧式の3連速度表示灯には、黄緑色、前方100mから点灯数を確認できることなどの基準がある
- ✅ 大型貨物車への装備義務付けは2001年8月31日の保安基準改正で廃止された
- ✅ 現在も速度表示装置を備えることはでき、装備する場合は適用される基準への適合を確認する
- ✅ 旧年式車の不点灯・撤去・修理は、製作時期・適用基準・装置状態を確認して判断する
迷ったときのチェック
- ✅ 車検証で初度登録年月・車両総重量・最大積載量を確認した
- ✅ 必要に応じて製作時期と適用基準を確認できる資料をそろえた
- ✅ 速度表示灯の有無・点灯状態・レンズ・配線状態を確認した
- ✅ 1灯・2灯・3灯の点灯位置を確認した
- ✅ 撤去・修理・交換の前に、必要に応じて整備工場へ確認できる状態にした
次に取る行動(CTA)
🧭 自車に3連の速度表示灯が付いていて、不点灯・破損・撤去跡などが気になる場合は、車検証と現車状態を確認し、「この車両の製作時期・適用基準で速度表示装置をどう扱うべきか」を整備工場へ確認する。


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