【3tユニックの旋回範囲】設置前に必ず確認すべき重要ポイント

3tユニックが狭い現場で旋回できる余裕を確認している据え付けイメージ 3tユニック

3tユニックが現場まで進入できても、アウトリガーを張り、ブームや吊り荷を動かす空間まで確保できるとは限りません。車両後方や側方に壁・足場・車両がある現場、上空に電線・庇・樹木がある現場では、車体寸法だけでなくクレーン作業中に動く範囲を確認する必要があります。

3tユニックの旋回範囲は、一律の「半径○m」では判断できません。実車の作業半径とアウトリガー張出幅を確認し、ブーム・フック・吊り荷の移動経路、上部旋回体との接触危険範囲、障害物、立入管理範囲を現場図面・写真・実測値へ重ねて判断します。

この記事では、代表的な最大作業半径とアウトリガー幅、作業半径と旋回範囲の違い、後方・側方・上空の確認項目、図面を使った確認手順、スペース不足時の見直し方を整理します。3tユニックの特徴、用途、寸法、能力をまとめて確認したい場合は、3tユニック車とはの記事をご覧ください。

設置可否を判断する3条件

  • アウトリガーを必要な幅まで張り出し、車体を支持できる
  • ブーム・フック・吊り荷の移動経路が周囲の障害物と干渉しない
  • 上部旋回体との接触危険箇所や吊り荷の移動範囲への立入りを管理できる

確認時の前提

掲載する数値は代表機種の例です。現場の作業可否は、実車の型式・銘板・クレーン性能表・架装図・寸法図・取扱説明書と現地条件を照合して判断してください。

3tユニックの旋回範囲とは|作業半径との違い

旋回円と障害物と立入禁止範囲を照合して成立可否を線引きする判断軸の図解

3tユニックの設置スペースを考えるときは、「作業半径」「旋回作業範囲」「車両設置範囲」「アウトリガー設置範囲」「立入管理範囲」を分けることが重要です。これらをすべて一つの旋回円として扱うと、何の寸法を確認すべきか分かりにくくなります。

確認する範囲 意味 主な確認対象
車両設置範囲 停止した車体と荷台が占有する固定範囲 車体、荷台、積荷、周囲の通路
アウトリガー設置範囲 左右へ張り出して接地・支持する範囲 張出幅、接地場所、段差、側溝、地盤
作業半径 旋回中心からフック中心を通る鉛直線までの水平距離 積込み位置、荷下ろし位置、定格荷重
旋回作業範囲 ブーム、フック、吊り具、吊り荷が移動する範囲 荷物の外形、傾き、向き、通過経路、上空障害物
上部旋回体の接触危険範囲 旋回するクレーン上部と人・物が接触するおそれのある範囲 車両後方・側方の死角、挟まれ箇所
立入管理範囲 作業計画と現場のリスク評価に基づいて人の進入を管理する範囲 出入口、歩道、共用通路、他車両の動線

作業半径は仕様上の距離であり、吊り荷の長さ・幅、荷振れ、障害物との離隔、立入管理範囲を含みません。フック位置が障害物を避けられても、長尺物の端部や傾いた荷物が壁・足場へ近づくことがあります。

また、車体と荷台は固定された範囲として考え、クレーンと一緒に旋回するものとして扱いません。現場までの進入可否を確認する全長・全幅・全高については、3tユニックの寸法と進入可否で確認できます。

3tユニックの旋回範囲を判断する要素を整理した図解

3tユニックの旋回範囲は何m?代表的な数値

古河ユニックの小型トラック架装用、GVW5~8tクラス向け2.93tクラス製品では、ブーム段数別の最大作業半径と最大地上揚程として、次の数値が示されています。

ブーム段数 最大作業半径の代表例 最大地上揚程の代表例
3段 6.43m 7.9m
4段 8.73m 10.1m
5段 10.63m 12.0m
6段 12.63m 13.9m

同じ2.93tクラスの製品例でも、アウトリガー最大張出幅には3.4m仕様と3.8m仕様があります。車体の全幅だけを見て設置可能と判断せず、使用するクレーン型式の寸法図で左右の張出幅を確認してください。

数値を見るときの注意

  • 最大作業半径は、旋回中心からフック位置までの最大値です。
  • 吊り荷の外形、荷振れ、障害物との離隔、立入管理範囲は含まれません。
  • 実際に使う作業半径は、積込み位置・荷下ろし位置と車両の停止位置で変わります。
  • シャシー、クレーン型式、架装、ブーム段数、年式、アウトリガー仕様によって数値は異なります。
  • 最終判断は実車の型式、銘板、クレーン性能表、架装図・寸法図、取扱説明書で行います。

ブームが長くなるほど遠方や高所へ届きやすくなりますが、段数だけで吊り能力や現場適合性は決まりません。段数別の詳しい選び方は、3tユニックのブーム段数と作業範囲で整理しています。また、同じ荷物でも作業半径が広がると確認すべき吊り能力が変わるため、3tユニックの能力表と作業半径の見方も併せて確認してください。

設置前に確認する3つのスペース

旋回余裕の確認が必要な3tユニックの現場イメージ

車両とアウトリガーを置くスペース

最初に、車両を停止させる範囲とアウトリガーを張り出す範囲を分けて確認します。車体が収まっても、壁、側溝、資材、駐車車両などによりアウトリガーを必要な位置まで張り出せないことがあります。

アウトリガーの接地部については、段差、側溝、傾斜、軟弱な地盤、地下埋設物の有無も確認します。クレーン等安全規則では、作業場所の広さ、地形、地質、荷の重量、使用する移動式クレーンの種類・能力などを考慮して作業方法等を定めることが求められています。また、アウトリガーは原則として最大限に張り出し、最大張出しができない場合は、その張出幅に応じた定格荷重を下回ることが確実に見込まれる条件で使用する規定があります。

したがって、最大張出しができない現場では「少ししか張れないが同じ能力で使える」と判断せず、実際の張出状態に対応する性能表と取扱説明書を確認します。アウトリガーを必要な状態で設置できない場合は、車両位置や作業方法の見直しが必要です。

ブーム・フック・吊り荷が動くスペース

次に、現場図面へ積込み位置と荷下ろし位置を記入し、旋回中心から両地点までの作業半径を測ります。そのうえで、フック位置だけでなく吊り荷の長さ・幅・高さを加えた移動経路を確認します。

  • 長尺物は、旋回中に端部がフック位置より大きく外側へ出る
  • 玉掛け位置によって荷物が傾き、水平時より必要幅や高さが増える
  • 吊り上げ直後、旋回途中、着地直前で荷物の向きが変わる
  • 荷振れをゼロとした線だけでは、実際の動きを表せない
  • ブーム先端、ワイヤー、フック、吊り具も障害物との干渉対象になる

作業半径の円だけを描いて終わらず、荷物の外形を含む通過範囲を平面と高さ方向の両方で確認してください。

人を入れないよう管理するスペース

クレーンの上部旋回体が動く車両後方・側方には、接触や挟まれの危険があります。クレーン等安全規則では、移動式クレーンの上部旋回体と接触して危険が生じるおそれのある箇所への立入りを禁止する措置が定められています。

さらに、吊り荷が通過する範囲に共用通路、建物出入口、歩道、他車両の動線が重なる場合は、作業中に人が入らない状態を実際に維持できるかを確認します。バリケードや表示を置くだけでなく、現場の出入りや作業工程を踏まえて管理できることが必要です。

立入管理範囲は「作業半径と同じ半径」などの一律値ではありません。上部旋回体の動き、吊り荷の経路、荷物の形状、現場動線を基に設定し、管理できない場合は据付位置や作業時間、荷役方法を見直します。

後方・側方・上空で確認する障害物

旋回半径の目安だけで判断して接触や動線リスクが出る失敗分岐と回避策の図解

車両後方・側方

後方・側方では、建物の壁、塀、門扉、フェンス、足場、仮囲い、駐車車両、重機、資材、荷台上の積荷を確認します。障害物ごとに、どの部分が接触するおそれがあるかを分けると見落としを減らせます。

動く部分 主な確認箇所 注意点
上部旋回体・ブーム基部 車両後方、側方、荷台前方付近 死角や挟まれ箇所を含めて人・物との接触を確認する
ブーム 壁、足場、門扉、仮囲い、上空設備 起伏・伸縮・旋回の各姿勢で通過位置が変わる
フック・ワイヤー・吊り具 足場材、看板、設備、荷台上の積荷 ブームが通過しても垂下した部分が干渉する場合がある
吊り荷 壁、車両、資材、通路、荷下ろし先 外形、傾き、向きの変化、振れを含めて確認する

上空

上空では、電線、樹木、庇、屋根、配管、足場材、看板、照明を確認します。平面図だけでは高さが分からないことがあるため、立面図、現場写真、実測値を併用してください。

電線との必要離隔は、電線の種類、電圧、設備管理者の条件、施工計画などにより異なります。本記事では一律の距離を設定せず、設備管理者、メーカー資料、現場の安全基準に基づいて確認する前提とします。不明な状態でブームや吊り荷を近づける計画は避けてください。

吊り荷側

吊り荷については、長さ・幅・高さだけでなく、玉掛け位置による傾き、吊り上げ時と着地時の姿勢、旋回途中の向きの変化を確認します。積込み位置から荷下ろし位置までの経路を連続して追い、途中だけ狭くなる箇所がないかを確認してください。

特に長尺材や幅広の設備機器では、フックが障害物を通過できても荷物の端部が接触することがあります。「フックが通るから荷物も通る」と判断せず、荷物外形を図面へ重ねます。

図面・写真を使った設置可否の確認手順

3tユニックの旋回範囲を確認する手順を示した図解

旋回範囲の確認は、次の順番で進めると、車両寸法、作業半径、障害物、立入管理を混同しにくくなります。

  1. 使用車両の型式とクレーン型式を確定する
    「3tユニック」という呼び方だけでは寸法や能力を確定できないため、実車の型式を確認します。
  2. 車両寸法とアウトリガー張出幅を確認する
    車両諸元表、架装図、寸法図から全長・全幅・アウトリガー幅を読み取ります。
  3. 現場図面へ車両の停止位置と向きを記入する
    荷台、運転席、クレーン位置、アウトリガー接地位置が分かる向きで配置します。
  4. 旋回中心から積込み位置・荷下ろし位置までを測る
    両地点の作業半径を確認し、性能表で荷物重量に対応できるかを照合します。
  5. 吊り荷の外形を加えた移動経路を記入する
    荷物の長さ・幅・姿勢を含め、旋回途中に占有する範囲を描きます。
  6. 障害物との干渉を平面・高さ方向で確認する
    壁、足場、電線、樹木、車両、資材などを図面と写真で照合します。
  7. 人の立入りを管理できるか確認する
    上部旋回体周辺、吊り荷経路、共用通路、出入口を確認します。
  8. 不明点を現地実測し、性能表・取扱説明書と照合する
    図面と現況が異なる場合は実測値を優先し、関係者間で作業条件を共有します。

車両諸元表や架装図で寸法を確認する位置が分からない場合は、3tユニックの寸法図の見方で、アウトリガー幅や各寸法の確認箇所を整理してください。

確認資料 主に確認する内容 注意点
車両諸元表 全長、全幅、全高、ホイールベース 架装後の仕様と一致するか確認する
クレーン性能表 作業半径、ブーム長さ、張出状態別の定格荷重 最大値ではなく実際の作業条件で確認する
架装図・寸法図 クレーン位置、旋回中心、アウトリガー張出幅 型式・仕様・年式が実車と一致するか確認する
取扱説明書 設置条件、禁止事項、操作上の注意 現場判断よりメーカー指定を優先する
現場平面図 停止位置、旋回中心、荷物の移動経路、動線 図面寸法と現況の差を確認する
配置写真 図面にない障害物、上空、死角、出入口 撮影位置と方向を明確にする
荷物の寸法・重量資料 外形、重量、重心、吊り姿勢 付属品や吊り具を含む条件を確認する
現地実測値 通路幅、高さ、障害物位置、接地場所 最狭部と突出部を測る
実車の銘板 クレーン型式、つり上げ荷重など 資料の対象機種と一致するか照合する

旋回スペースが足りない場合の見直し順序

必要な空間を確保できない場合は、無理に旋回させるのではなく、干渉の原因を切り分けて次の順番で見直します。

  1. 車両の停止位置を変更する
    壁や出入口から離す、旋回中心を荷物に近づけるなど、配置を見直します。
  2. 車両の向きを変更する
    後方・側方の障害物とアウトリガー接地場所の両方を確認して向きを決めます。
  3. 積込み位置・荷下ろし位置を変更する
    荷渡し位置を変えることで、必要な作業半径や旋回角度を小さくできる場合があります。
  4. 吊り荷の移動経路や作業順序を変更する
    障害物の少ない経路へ変更し、他作業や車両動線との重なりを避けます。
  5. 障害物や第三者動線を管理できるか確認する
    一時的な車両移動や作業時間の調整が可能かを確認します。ただし、空間不足や能力不足を監視だけで補う考え方は避けます。
  6. 別のブーム仕様・車格・クレーン方式を検討する
    長いブームを持つ別仕様、小型車、別置きクレーンなどを、必要能力と設置面積の両面から比較します。
  7. 条件を満たせない場合は作業方法を変更する
    別の荷役方法や分割搬入などを検討し、成立条件がそろわない計画は採用しません。

上位車格へ変更すれば必ず解決するわけではありません。車格が大きくなると、車体寸法やアウトリガー幅が増える場合があります。一方で、長いブームにより車両を障害物から離して設置できる場合もあります。原因が「届かない」「アウトリガーが張れない」「吊り荷が通らない」「人の動線を管理できない」のどれかを整理し、据付位置、車両の向き、荷渡し位置、機種、車格、工法を比較してください。

3tユニックの旋回範囲でよくある質問

3tユニックの旋回範囲は何mですか?

A:一律ではありません。古河ユニックのGVW5~8tクラス向け2.93tクラス製品では、代表的な最大作業半径はブーム段数により約6.43~12.63mです。ただし、最大作業半径には吊り荷の外形、荷振れ、障害物との離隔、立入管理範囲は含まれません。型式や仕様で異なるため、実車の性能表・寸法図・取扱説明書で確認してください。


旋回範囲と作業半径は何が違いますか?

A:作業半径は、旋回中心からフック中心を通る鉛直線までの水平距離です。旋回範囲は、ブーム、フック、吊り具、吊り荷が動く範囲として確認します。車両設置範囲、アウトリガー設置範囲、立入管理範囲は、それぞれ別に考える必要があります。


アウトリガーを張るにはどれくらいの幅が必要ですか?

A:古河ユニックのGVW5~8tクラス向け2.93tクラス製品には、アウトリガー最大張出幅3.4mまたは3.8mの代表例があります。必要幅は型式、仕様、張出状態で異なり、車体全幅だけでは判断できません。実車の寸法図と張出幅別性能表で確認してください。


車両後方や壁の近くでも旋回できますか?

A:壁までの距離だけでは判断できません。上部旋回体、ブーム、フック、吊り荷の移動経路を平面と高さ方向で確認し、人の立入りを管理できるかも確認します。干渉や立入管理の条件を満たせない場合は、車両位置や向き、荷下ろし位置、作業方法を変更してください。


旋回スペースが足りない場合はどうしますか?

A:据付位置、車両の向き、荷下ろし位置、吊り荷の移動経路、作業順序を先に見直し、その後に機種、車格、クレーン方式、工法を比較します。上位車格への変更だけで解決するとは限らないため、届く距離、アウトリガー幅、吊り荷の通過範囲、立入管理のどこが不足しているかを切り分けてください。

まとめ

  • 代表的な最大作業半径は約6.43~12.63mですが、必要な現場スペースそのものではありません。
  • アウトリガー最大張出幅には3.4mまたは3.8mの代表例があります。
  • 吊り荷の外形・移動経路と、上部旋回体の接触危険範囲を分けて確認します。
  • 最終判断は、実車の性能表、寸法図、取扱説明書、現地実測値を照合して行います。

設置前は、車両の停止位置と向きを仮決めし、アウトリガー範囲、作業半径、吊り荷の外形、障害物、立入管理範囲を同じ図面へ記入してください。図面だけで判断できない箇所は、現場写真と実測値で補完し、実車の仕様と一致する資料で確認します。

出典・参考情報

GVW5~8tクラス向け製品のブーム段数、最大作業半径、最大地上揚程、アウトリガー最大張出幅の代表値を確認できます。
移動式クレーンの作業方法、地盤条件、アウトリガーの張出し、上部旋回体周辺への立入り防止に関する規定を確認できます。

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