ラフテレーンクレーン(ラフター)の構造を理解するときは、各部名称を暗記するだけでなく、どの部位が「走行」「旋回」「吊り上げ」「安定確保」を担っているかで整理すると分かりやすくなります。
結論として、ラフテレーンクレーンは下部走行体・上部旋回体・ブーム・ジブ・アウトリガー・巻上装置などで構成され、現場内移動と吊り作業を両立する構造を持つクレーンです。ただし、実際に吊れるか、安全に設置できるかは、構造だけで判断せず、アウトリガー張出、作業半径、性能表、地盤条件、安全対策を確認して判断する必要があります。
この記事では、ラフテレーンクレーンの各部名称と役割を図解的に整理し、構造を理解した後に確認すべきポイントまで解説します。ラフテレーンクレーン全体の仕組みや他のクレーンとの違いから確認したい場合は、先に【ラフテレーンクレーンとは】仕組み・構造と他クレーンとの違いを解説も参考にしてください。
この記事で分かること
- ラフテレーンクレーンの主な各部名称
- 下部走行体・上部旋回体・アウトリガーの役割
- ブーム、ジブ、フック、ワイヤロープ、巻上装置の違い
- 25tクラスを例にした構造とサイズ感
- 構造理解の後に確認すべき作業半径・性能表・安全対策
監修・確認の考え方
- この記事では一般的な構造と名称を整理します。
- 実際の作業可否は、使用する機種の性能表、取扱説明書、現場条件、有資格者の判断を優先してください。
- 安全・資格・法規に関わる内容は、現場ルール、メーカー資料、関係法令を確認してください。
ラフテレーンクレーンの構造は3つに分けると分かりやすい

ラフテレーンクレーンの構造は、大きく分けると下部走行体、上部旋回体、アウトリガーの3つで整理できます。
下部走行体は、現場内を移動するための「走る部分」です。上部旋回体は、ブームや巻上装置を使って吊り作業を行う「吊る部分」です。アウトリガーは、作業時に車体を支えて安定性を確保する「支える部分」です。
ラフテレーンクレーンの基本構造
- 下部走行体:走行、操舵、現場内移動を担う
- 上部旋回体:旋回、ブーム操作、巻上げ、吊り作業を担う
- アウトリガー:作業時に車体を支え、安定性を確保する
名称だけを見ると複雑に感じますが、「走る」「吊る」「支える」の3つに分けると、各部の役割を理解しやすくなります。
ラフテレーンクレーンの各部名称一覧
まずは、ラフテレーンクレーンの主な部位名称と役割を一覧で確認します。
| 部位名称 | 主な役割 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 下部走行体 | 現場内の走行、操舵、移動を担う | 進入路、路面状態、車体寸法を確認する |
| 上部旋回体 | 旋回しながら吊り作業を行う中心部分 | 旋回範囲、周辺障害物、作業位置を確認する |
| ブーム | 伸縮・起伏により高さと届く範囲を作る | 作業半径、ブーム長さ、吊り荷重を確認する |
| ジブ | ブーム先端に取り付け、高所や遠方の作業を補助する | 使用可否、取付条件、性能低下を確認する |
| フック | 吊り荷を掛け、ワイヤロープの力を荷に伝える | フック容量、掛け方、玉掛け方法を確認する |
| ワイヤロープ | 巻上装置とフックをつなぎ、吊り荷を上下させる | 損傷、乱巻き、点検状態を確認する |
| 巻上装置 | ワイヤロープを巻き取り、フックを上下させる | 巻上げ操作、荷の上下動、制動状態を確認する |
| アウトリガー | 作業時に車体を支え、安定性を確保する | 張出幅、設置スペース、地盤状態を確認する |
| カウンターウエイト | 吊り荷とのバランスを取るための重り | 機種ごとの仕様、旋回時の周囲余裕を確認する |
| 運転席・操作装置 | 走行、旋回、ブーム操作、巻上げ操作を行う | 操作資格、視界、合図者との連携を確認する |
この表の中でも、作業可否に直結しやすいのはブーム、アウトリガー、作業半径、性能表です。ブームを伸ばせば届く範囲は広がりますが、作業半径が伸びるほど吊れる荷重は小さくなります。作業半径の考え方は、【ラフテレーンクレーンの作業半径】性能表の見方と判断基準を解説で詳しく確認してください。
下部走行体の構造と役割
下部走行体は、ラフテレーンクレーンの「走る部分」です。キャリアとも呼ばれ、現場内での移動、操舵、車体支持の土台になります。
ラフテレーンクレーンは、舗装路だけでなく、未舗装の工事現場や比較的狭い現場内での移動を想定した構造を持っています。ただし、不整地に強い構造であっても、ぬかるみ、傾斜、段差、軟弱地盤で無条件に安全に作業できるわけではありません。
下部走行体に含まれる主な要素
- フレーム:上部旋回体や作業時の荷重を受ける土台
- タイヤ:現場内走行を支える走行部
- 操舵装置:狭い現場で車体の向きを変えるための装置
- 走行装置:移動時の駆動を担う装置
- エンジン・動力系:走行とクレーン作動の基礎となる動力源
下部走行体を見るときは、「その現場に入れるか」「設置場所まで安全に移動できるか」「地盤が車両重量に耐えられるか」を確認します。特に車両総重量が大きい機種では、進入路や設置場所の地盤状態が重要です。
上部旋回体の構造と役割
上部旋回体は、ラフテレーンクレーンの「吊る部分」です。ブーム、運転席、巻上装置、カウンターウエイトなどが上部旋回体に関係します。
上部旋回体は、下部走行体の上で旋回し、吊り荷の位置を調整します。吊り作業では、ブームの角度、ブーム長さ、旋回方向、フック位置を組み合わせて作業します。
上部旋回体の主な役割
- 旋回:吊り荷の向きを左右に変える
- ブーム操作:高さや届く範囲を調整する
- 巻上げ:フックを上下させ、吊り荷を移動する
- 操作:運転席から走行・旋回・ブーム・巻上げを操作する
- バランス確保:カウンターウエイトで吊り荷とのバランスを取る
旋回中は、ブーム先端やカウンターウエイトの動きにも注意が必要です。周辺の建物、足場、架空線、仮設材、作業員の動線が近い場合は、旋回範囲と立入禁止範囲を事前に確認します。
実際に運転や操作を行うには、作業内容に応じた免許・資格・教育の確認が必要です。必要条件は作業内容で変わるため、【ラフテレーンクレーンの免許・資格】運転・操作に必要な条件まとめも確認してください。
ブーム・ジブ・フック・ワイヤロープの役割
ブーム、ジブ、フック、ワイヤロープは、吊り荷の高さ、位置、届く範囲に関わる重要な部位です。
ブームは、ラフテレーンクレーンの主な腕にあたる部分です。伸縮や起伏によって、吊り荷をどの高さ・どの距離まで運べるかが変わります。ジブは、ブーム先端に取り付けて高所や遠方の作業を補助する装置です。
ブーム周りの役割
- ブーム:吊り荷を高く、遠くへ移動するための主構造
- ジブ:ブームだけでは届きにくい高所・遠方作業を補助する装置
- フック:吊り荷を掛ける部位
- ワイヤロープ:巻上装置の力をフックへ伝える部位
- 巻上装置:フックを上下させる装置
ここで注意したいのは、ブームを伸ばせば必ず大きな荷を吊れるわけではない点です。一般に、作業半径が大きくなるほど吊れる荷重は小さくなります。実際の吊り能力は、ブーム長さ、作業半径、アウトリガー張出幅、作業姿勢などによって変わるため、必ず該当機種の性能表で確認します。
性能表の読み方を確認したい場合は、【ラフテレーンクレーンの性能表】正しい読み方と現場での使い方を参考にしてください。
アウトリガーの役割と構造上の重要性

アウトリガーは、ラフテレーンクレーンの作業時に車体を支え、安定性を確保するための重要な構造です。
ラフテレーンクレーンは現場内移動に強い一方で、吊り作業時には安定した設置条件が必要です。吊り荷を扱うときは、車体の重心、作業半径、吊り荷重、地盤状態が関係します。アウトリガーは、支持幅を広げ、車体を安定させる役割を担います。
アウトリガーで確認するポイント
- アウトリガーを張り出すスペースがあるか
- 張出方向に障害物、段差、側溝、開口部がないか
- 接地する地盤に沈み込みや傾斜の不安がないか
- 最大張出、中間張出、最小張出など、機種ごとの条件を確認しているか
- アウトリガー張出条件に合った性能表を確認しているか
アウトリガーの張出方法、設置手順、片側張出、傾斜地での注意点は、この記事では深掘りしません。実務上の設置条件を確認したい場合は、【ラフテレーンクレーンのアウトリガー】張出方法・設置手順・安全上の注意を確認してください。
地盤、転倒防止、敷鉄板、風、周辺障害物など安全面を横断的に確認したい場合は、【ラフテレーンクレーンの安全対策】転倒防止・地耐力・現場での注意点で詳しく整理しています。
25tクラスを例にした構造のサイズ感
ラフテレーンクレーンの構造を理解するときは、代表的な25tクラスのサイズ感を知っておくと、現場でのイメージがしやすくなります。
以下は25tクラスの一例です。機種、年式、仕様、装備、メーカーによって数値は異なるため、実際の作業では必ず使用機種の性能表と取扱説明書を確認してください。
| 項目 | 25tクラスの一例 | 確認の意味 |
|---|---|---|
| 最大つり上げ能力 | 25,000kg × 3.5m | 近い作業半径での能力例。どの条件でも25t吊れる意味ではない |
| ブーム長さ | 9.35m〜30.5m | 高さや届く範囲に関係する |
| 最大作業半径 | ブーム時27.9m | 設置位置から吊り位置までの距離判断に関係する |
| アウトリガー最大張出幅 | 6.6m | 設置スペースと安定性の確認に関係する |
| 走行時寸法 | 全長約11.5m、全幅約2.62m、全高約3.45m | 進入路、ゲート、架空物、曲がり角の確認に関係する |
| 車両総重量 | 約25.5t | 地盤、養生、進入路の強度確認に関係する |
25tクラスで特に注意したい点
「25tクラス」という表現は、代表的な最大つり上げ能力を示す目安です。作業半径が伸びる、ブームを長くする、アウトリガー張出幅が小さい、地盤条件が悪いなどの条件では、吊れる荷重は小さくなります。実際の作業可否は、使用機種の性能表で確認してください。
25t、50t、70tなど能力クラスごとの違いや、寸法・規格・性能表の見方を整理したい場合は、【ラフテレーンクレーンの規格】能力・寸法・性能表の読み方と注意点も確認してください。
構造から分かる得意な現場・苦手な現場
ラフテレーンクレーンの得意・不得意は、構造から逆算すると整理しやすくなります。
下部走行体は現場内移動に向き、上部旋回体は吊り作業に特化しています。そのため、未舗装の現場内で移動しながら吊り作業を行う場面では強みを発揮しやすい一方、設置スペースや地盤条件が合わない場合は能力を発揮できません。
| 現場条件 | 構造から見た相性 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 未舗装の現場内移動がある | 比較的向きやすい | 路面状態、ぬかるみ、段差、進入経路を確認する |
| 狭い現場で設置する | 条件付きで検討 | アウトリガー張出幅、旋回範囲、障害物を確認する |
| 吊り位置が遠い | 性能表確認が必須 | 作業半径、ブーム長さ、吊り荷重を確認する |
| 地盤が軟弱・傾斜している | 慎重な判断が必要 | 地耐力、敷き材、アウトリガー接地条件を確認する |
| 長距離移動や公道移動が中心 | 主目的にしにくい | 搬入計画、別方式クレーン、手配条件を確認する |
ラフテレーンクレーンは、不整地に強い構造を持つ一方で、「どこでも安全に作業できる万能機」ではありません。構造上の強みを発揮できるかどうかは、現場条件と設置条件の確認で決まります。
構造だけでは判断できない項目

ラフテレーンクレーンの各部名称と役割を理解すると、現場で何を確認すべきかが見えやすくなります。ただし、構造を理解しただけでは、実際に吊れるか、安全に作業できるかまでは判断できません。
構造理解の後に確認する項目
- 作業半径:設置位置から吊り位置までの距離を確認する
- 性能表:ブーム長さ、作業半径、アウトリガー張出条件ごとの定格総荷重を確認する
- アウトリガー:張出スペース、接地状態、地盤条件を確認する
- 安全対策:転倒防止、立入管理、周辺障害物、風の影響を確認する
- 資格・体制:運転、操作、玉掛け、合図、作業指揮の役割を確認する
構造を確認した後は、次の順番で詳細記事へ進むと、現場判断がしやすくなります。
| 確認したい内容 | 補完する記事 |
|---|---|
| アウトリガーの張出方法・設置手順を知りたい | 【ラフテレーンクレーンのアウトリガー】張出方法・設置手順・安全上の注意 |
| 設置位置と吊り位置の距離を判断したい | 【ラフテレーンクレーンの作業半径】性能表の見方と判断基準を解説 |
| 性能表の読み方を確認したい | 【ラフテレーンクレーンの性能表】正しい読み方と現場での使い方 |
| 転倒防止や地盤条件を確認したい | 【ラフテレーンクレーンの安全対策】転倒防止・地耐力・現場での注意点 |
| 運転・操作に必要な条件を知りたい | 【ラフテレーンクレーンの免許・資格】運転・操作に必要な条件まとめ |
| 能力・寸法・規格を整理したい | 【ラフテレーンクレーンの規格】能力・寸法・性能表の読み方と注意点 |
部位名称をクレーン付きトラック側の用語と揃えて確認したい場合は、【ユニック車の部位名称】ブーム・フック・アウトリガーなど各部を図解解説も参考になります。ただし、ラフテレーンクレーンの作業可否は、ラフテレーンクレーン用の性能表と現場条件で確認してください。
ラフテレーンクレーンの構造でよくある質問
ラフテレーンクレーンの主な構造は何ですか?
ラフテレーンクレーンは、下部走行体、上部旋回体、ブーム、ジブ、フック、ワイヤロープ、巻上装置、アウトリガー、カウンターウエイト、運転席・操作装置などで構成されています。大きく見ると、走る部分、吊る部分、支える部分に分けて理解できます。
上部旋回体とは何ですか?
上部旋回体は、ブーム、巻上装置、運転席、カウンターウエイトなどを載せ、旋回しながら吊り作業を行う部分です。吊り荷の位置は、旋回、ブームの起伏・伸縮、巻上げ操作を組み合わせて調整します。
下部走行体とは何ですか?
下部走行体は、ラフテレーンクレーンの走行、操舵、現場内移動を担う部分です。キャリアとも呼ばれ、フレーム、タイヤ、操舵装置、走行装置などが関係します。
ブームとジブの違いは何ですか?
ブームは吊り作業の主な腕にあたる構造で、伸縮や起伏によって高さや届く範囲を作ります。ジブはブーム先端に取り付ける補助装置で、より高所や遠方の作業に使われることがあります。使用条件や吊り能力は機種の性能表で確認します。
アウトリガーはなぜ重要ですか?
アウトリガーは、作業時に車体を支えて安定性を確保するために重要です。吊り荷重、作業半径、地盤条件によって転倒リスクが変わるため、アウトリガーの張出幅、接地状態、地盤の安定性を確認する必要があります。
25tクラスならいつでも25t吊れますか?
いいえ。25tクラスという表現は代表的な最大つり上げ能力の目安であり、どの条件でも25t吊れるという意味ではありません。実際の吊り能力は、作業半径、ブーム長さ、アウトリガー張出幅、作業姿勢、機種仕様によって変わるため、必ず該当機種の性能表で確認します。
構造を理解した後に何を確認すべきですか?
構造を理解した後は、作業半径、性能表、アウトリガー張出条件、地盤状態、安全対策、運転・操作に必要な資格を確認します。構造だけで作業可否を判断せず、使用機種の資料と現場条件を合わせて確認することが重要です。
まとめ
ラフテレーンクレーンの構造は、下部走行体、上部旋回体、アウトリガーの3つに分けると理解しやすくなります。
下部走行体は現場内移動を担い、上部旋回体はブームや巻上装置を使って吊り作業を行います。アウトリガーは作業時に車体を支え、安定性を確保する重要な構造です。
ただし、各部名称を理解しただけでは、実際に吊れるか、安全に作業できるかまでは判断できません。作業半径、性能表、アウトリガー張出幅、地盤条件、資格、安全対策を合わせて確認する必要があります。
次に確認すること
- ラフテレーンクレーン全体の仕組みは、【ラフテレーンクレーンとは】仕組み・構造と他クレーンとの違いを解説で確認する
- アウトリガーの設置条件は、【ラフテレーンクレーンのアウトリガー】張出方法・設置手順・安全上の注意で確認する
- 実際に吊れるかは、【ラフテレーンクレーンの性能表】正しい読み方と現場での使い方で確認する
- 設置位置と吊り位置の距離は、【ラフテレーンクレーンの作業半径】性能表の見方と判断基準を解説で確認する
- 転倒防止や地盤条件は、【ラフテレーンクレーンの安全対策】転倒防止・地耐力・現場での注意点で確認する


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