ラフテレーンクレーンの性能表を見ても、最大吊上能力だけでは現場で吊れるかどうかは判断できません。実際の作業では、作業半径、ブーム長、アウトリガー張出条件、吊り具を含めた総重量がそろって初めて、性能表の該当行を確認できます。
結論は、最大能力ではなく「条件が一致した定格総荷重」で判断することです。ラフテレーンクレーンの性能表は、現場条件に一致する作業半径・ブーム長・アウトリガー条件の行を確認し、その条件で許される定格総荷重と吊り荷総重量を照合する資料です。
この記事では、性能表で最初に見る項目、定格総荷重の考え方、吊り具重量の含め方、表にない作業半径の読み方、アウトリガー条件が違う場合の注意点を整理します。ラフテレーンクレーン全体の仕組みから確認したい場合は、【ラフテレーンクレーンとは】仕組み・構造と他クレーンとの違いを解説も参考にしてください。
- ✅ 性能表は最大吊上能力ではなく、条件別の定格総荷重を見る
- ✅ 作業半径・ブーム長・アウトリガー条件を一致させて読む
- ✅ 吊り荷本体だけでなく、吊り具・治具・フック等を含めた総重量で判断する
著者情報・監修条件
ユニック車ガイド編集部(現場・安全配慮)
本記事は、ラフテレーンクレーンの性能表を現場条件へ当てはめるための読み方を整理した内容です。機種ごとの定格総荷重、アウトリガー張出区分、ブーム長、フック質量などはメーカー、型式、仕様、年式により異なるため、実作業では必ず該当機種の性能表、取扱説明書、メーカー資料、社内基準を確認してください。
- ✅ 本記事では、性能表の読み方と判断手順を中心に解説します
- 📌 作業可否・安全判断は、現場条件と機種ごとの資料確認を前提にしてください
- 📌 資格や法令条件は作業内容で変わるため、必要に応じて関係先へ確認してください
ラフテレーンクレーンの性能表は何を見る表か

最大吊上能力ではなく定格総荷重を見る
ラフテレーンクレーンの性能表で確認する中心は、カタログ上の最大吊上能力ではなく、作業条件ごとの定格総荷重です。最大吊上能力は、その機械の代表的な能力を示す目安にはなりますが、実際の現場条件と一致しているとは限りません。
たとえば、同じ25tクラスのラフテレーンクレーンでも、作業半径が伸びる、ブームを長く使う、アウトリガーを最大まで張り出せない、といった条件になると、性能表で確認すべき定格総荷重は変わります。そのため、現場での可否判断は「何tクラスか」ではなく、その現場条件で性能表のどの行を使うかから考えます。
- ✅ 最大吊上能力は機械の代表値であり、常に使える能力ではない
- ✅ 実作業では、作業半径・ブーム長・張出条件が一致した定格総荷重を見る
- ⚠️ 最大値だけを見て「吊れる」と判断すると、作業半径や張出条件で不足することがある
作業半径・ブーム長・アウトリガー条件が前提になる
性能表は、作業半径、ブーム長、アウトリガー張出条件などの前提条件ごとに定格総荷重を示す表です。前提条件が変われば、同じクレーンでも使える能力は変わります。
作業半径の定義や測り方を詳しく確認したい場合は、【ラフテレーンクレーンの作業半径】性能表の見方と判断基準を解説で、どこからどこまでを見るかを整理できます。この記事では、性能表を読むために必要な範囲に絞って説明します。
- 🧩 作業半径:クレーン中心から吊り荷までの距離
- 🧩 ブーム長・揚程:届くか、高さを満たせるかを見る条件
- 🧩 アウトリガー条件:最大張出、中間張出、張出制限などの条件
- 🧩 定格総荷重:その条件で許される吊り上げ上限
性能表で確認する主な項目
性能表を見るときは、数値を単独で読むのではなく、確認項目を順番にそろえます。特に、作業半径、ブーム長、アウトリガー張出条件、吊り荷総重量は、どれか1つでも曖昧なままだと参照する行が変わる可能性があります。
| 確認項目 | 見る内容 | 判断のポイント | 補足リンク |
|---|---|---|---|
| 作業半径 | クレーン中心から吊り荷までの距離 | 半径が伸びるほど、一般に吊れる荷重は小さくなる | 作業半径の考え方 |
| ブーム長・揚程 | ブームをどれだけ伸ばすか、必要高さに届くか | 高さだけでなく、半径とセットで確認する | 構造・部位名称 |
| アウトリガー条件 | 最大張出、中間張出、張出制限など | 現場で再現できる張出条件の表を使う | アウトリガーの注意点 |
| 定格総荷重 | その条件で許される吊り上げ上限 | 条件が一致した行の数値だけを使う | 規格・能力の整理 |
| 吊り荷総重量 | 吊り荷本体+吊り具・治具・フック等 | 荷だけでなく付属重量も含めて照合する | 本記事内で数値例を確認 |
| 安全余裕 | 定格総荷重に対する余裕 | ギリギリの成立条件を避ける | 安全対策の詳細 |
作業半径
作業半径は、性能表の中でも最初に確認したい項目です。一般に、作業半径が大きくなるほどクレーンにかかるモーメントが大きくなり、性能表上の定格総荷重は小さくなります。
「近い場所なら吊れるが、数m離れると吊れない」という判断差が出るため、作業半径は感覚ではなく、クレーンの設置位置と吊り位置を決めて確認します。
ブーム長・揚程
ブーム長と揚程は、吊り荷を必要な高さや位置へ届けられるかを確認する項目です。ただし、高さを満たせばよいわけではありません。障害物を避けるためにクレーン位置を変えると、作業半径が伸び、定格総荷重が下がることがあります。
そのため、性能表では「届くか」と「その半径で吊れるか」を分けて確認します。
アウトリガー張出条件
アウトリガー条件は、性能表の前提条件です。現場で最大張出ができない場合、最大張出の定格総荷重表を使って判断することはできません。張出幅や作業領域によって性能が変わるため、実際に再現できる条件の表を確認します。
アウトリガーの張出方法、設置手順、傾斜地での注意点は、【ラフテレーンクレーンのアウトリガー】張出方法・設置手順・安全上の注意で詳しく整理しています。
定格総荷重
定格総荷重は、性能表で示される「その条件で許される吊り上げ上限」です。ここで重要なのは、定格総荷重を単なる吊り荷本体の重さと比べないことです。
資料や機種により表記は異なりますが、現場で照合するときは、吊り荷本体だけでなく、フック、吊り具、治具などの質量も含めて確認します。実際の扱いは、該当機種の性能表や取扱説明書に従ってください。
吊り具を含めた総重量
性能表で照合する重量は、吊り荷本体だけではありません。ワイヤロープ、スリング、シャックル、吊り治具、フックなど、吊り作業に加わる重量を見落とすと、定格総荷重を超える可能性があります。
特に、吊り荷本体が定格総荷重に近い場合は、吊り具を足した時点で条件を満たさなくなることがあります。
性能表の正しい読み方
1. 作業半径を確定する
最初に、クレーンの設置位置と吊り荷の位置を整理し、作業半径を確定します。作業半径が曖昧なまま性能表を見ると、参照する行が決まりません。
- ✅ クレーンの中心位置を明確にする
- ✅ 吊り荷を吊る位置を明確にする
- ✅ 障害物回避や旋回後に半径が増えないか確認する
2. 吊り荷総重量を確認する
次に、吊り荷本体の重量だけでなく、吊り具・治具・フック等を含めた総重量を確認します。吊り荷だけで判断すると、性能表上は足りているように見えても、実際には不足する場合があります。
- ✅ 吊り荷本体の重量
- ✅ ワイヤ、スリング、シャックルなどの吊り具重量
- ✅ フック、治具、アタッチメントなどの付属重量
3. アウトリガー条件を合わせる
性能表を読むときは、現場で再現できるアウトリガー張出条件と、性能表の条件を合わせます。最大張出ができない現場で最大張出の性能を使うと、能力を過大に見てしまいます。
設置スペース、路肩、段差、側溝、周辺障害物などにより張出が制限される場合は、その条件で作業できるかを確認します。転倒防止や地耐力の考え方は、【ラフテレーンクレーンの安全対策】転倒防止・地耐力・現場での注意点で補足してください。
4. ブーム長・揚程を確認する
作業半径と重量だけでなく、必要な高さに届くかも確認します。ブームを伸ばす必要がある場合、同じ作業半径でもブーム長の条件が変わり、参照する表や列が変わることがあります。
ブーム、ジブ、アウトリガーなど各部の名称が分かりにくい場合は、【ラフテレーンクレーンの構造】各部名称と役割を図解で解説で確認できます。
5. 条件一致の定格総荷重で判断する
最後に、作業半径、ブーム長、アウトリガー条件が一致した行の定格総荷重を確認し、吊り荷総重量と照合します。条件が一致しない行の数値は使いません。
性能表で判断できるのは、あくまで条件がそろっている場合です。半径、張出、吊り具、地盤、周辺障害物などに不明点が残る場合は、作業可否を急がず、該当機種の資料や関係先で確認してください。
数値例で見る性能表の判断

ここでは、性能表の読み方を理解するための単純な数値例で説明します。実際の定格総荷重は、機種、ブーム長、作業半径、アウトリガー張出条件、作業領域などで異なります。必ず該当機種の性能表で確認してください。
| 条件 | 数値例 | 判断 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定格総荷重3.0tに対して吊り荷総重量2.7t | 2.7t ÷ 3.0t = 90% | 数値上は3.0t以内 | 90%でも誤差や条件変動を考慮し、ギリギリの判断は避ける |
| 吊り荷2.9tに吊り具0.2tを加算 | 総重量3.1t | 定格総荷重3.0tなら条件を満たさない | 吊り荷本体だけで判断しない |
| 実測作業半径8.3m、表の刻みが8.0m・9.0m | 安全側の9.0mで確認 | 都合のよい8.0mでは判断しない | 機種ごとの性能表・注意書きに従う |
定格総荷重3.0tに対して吊り荷総重量2.7tの場合
例として、吊り荷本体が2.4t、吊り具・治具が0.2t、フック等の付属重量が0.1tの場合、吊り荷総重量は次のようになります。
- 吊り荷:2.4t
- 吊り具・治具:0.2t
- フック等の付属重量:0.1t
- 吊り荷総重量:2.7t
該当条件の定格総荷重が3.0tの場合、2.7t ÷ 3.0t = 90%です。数値上は3.0t以内ですが、作業半径の誤差、吊り具の追加、張出条件の変化、現場の安全基準を考えると、定格総荷重ギリギリの判断は避ける必要があります。
吊り具を足すと判断が変わる例
吊り荷本体だけを見ると、条件を満たしているように見えることがあります。たとえば、吊り荷本体が2.9tで、吊り具・治具が0.2tある場合は次のようになります。
- 吊り荷だけ:2.9t
- 吊り具・治具:0.2t
- 総重量:3.1t
- 該当条件の定格総荷重:3.0t
この場合、吊り荷だけなら3.0t以内に見えても、吊り具込みでは3.1tとなり、条件を満たしません。性能表を読むときは、必ず吊り荷総重量で照合します。
表にない作業半径は安全側で読む
性能表の作業半径が1m刻みなどで示されている場合、実測値が表の数値と一致しないことがあります。たとえば、実測作業半径が8.3mで、性能表の刻みが8.0mと9.0mの場合、都合のよい8.0mではなく、一般的には安全側の9.0mで確認します。
ただし、具体的な扱いはメーカー資料や性能表の注意書きに従います。表にない数値を自己判断で有利な側へ丸めないことが重要です。
アウトリガー張出条件の数値は機種で変わる
アウトリガー張出条件は、最大張出、中間張出、最縮小張出、全格納など、機種や資料によって区分が異なります。たとえば、資料によっては4.3m、3.7m、2.7m、全格納などの張出区分が示される場合があります。
これらの数値は機種固有の条件です。別機種へそのまま当てはめず、必ず該当機種の性能表・メーカー資料で確認してください。クラス別の能力や寸法の整理は、【ラフテレーンクレーンの規格】能力・寸法・性能表の読み方と注意点で補足できます。
性能表でよくある読み間違い
最大吊上能力だけで判断する
最も多い読み間違いは、最大吊上能力だけを見て「このクラスなら吊れる」と考えることです。最大吊上能力は、特定条件下の代表値であり、現場の作業半径やアウトリガー条件と一致しているとは限りません。
回避策は、先に作業半径と張出条件を確定し、その条件の定格総荷重で判断することです。
アウトリガー最大張出を前提にしてしまう
性能表では、最大張出時の能力が目に入りやすいですが、現場で最大張出ができなければ、その条件の数値は使えません。路肩、側溝、建物、仮囲い、資材置き場などにより、張出が制限されることがあります。
張出条件が不明な場合は、最大張出を前提にせず、現場で再現できる条件を確認してから性能表を読みます。
吊り具・フック重量を足していない
吊り荷本体の重量だけを見て判断すると、吊り具やフックの重量を見落とすことがあります。特に、吊り荷が定格総荷重に近い場合は、少しの付属重量でも判断が変わります。
吊り荷総重量は、吊り荷本体、吊り具、治具、フック等を含めて確認します。どこまでを含めるかは、該当機種の性能表や取扱説明書に従ってください。
揚程だけ見て作業半径を見落とす
「高さに届くか」だけを見て、作業半径を見落とすケースもあります。揚程を満たすためにブームを伸ばしたり、障害物を避けるためにクレーン位置を変えたりすると、作業半径が増えることがあります。
性能表では、揚程、ブーム長、作業半径、定格総荷重をセットで確認します。
現場で性能表を使うときの確認チェックリスト
作業前に確認する手順

性能表を現場で使うときは、次の順番で確認します。途中で未確定の項目が出た場合は、性能表で無理に結論を出さず、条件をそろえてから再確認します。
- 作業半径を確認する(設置位置と吊り位置を明確にする)
- 吊り荷総重量を確認する(吊り具・治具・フック等を含める)
- アウトリガー張出条件を確認する(現場で再現できる条件に合わせる)
- ブーム長・揚程を確認する(届くか、干渉がないかを見る)
- 性能表の該当行を確認する(条件が一致した定格総荷重を見る)
- 安全余裕を確認する(定格総荷重ギリギリの判断を避ける)
Yes/Noで確認する項目
- ✅ 作業半径は確定しているか
- ✅ 吊り荷総重量は吊り具込みで確認しているか
- ✅ アウトリガー条件は現場で再現できるか
- ✅ ブーム長・揚程は作業内容に合っているか
- ✅ 性能表の条件と現場条件が一致しているか
- ✅ 定格総荷重に対して余裕があるか
資格・法規は別軸で確認する
性能表で吊れる条件を確認できても、それだけで作業全体の条件がそろうわけではありません。運転、操作、玉掛け、道路走行、現場ルールなどは別軸で確認が必要です。
ラフテレーンクレーンの運転・操作に必要な条件は、【ラフテレーンクレーンの免許・資格】運転・操作に必要な条件まとめで確認してください。
ラフテレーンクレーンの性能表に関するよくある質問
性能表で一番最初に見るのはどこ?
最初に見るのは作業半径と、その条件の定格総荷重です。次に、ブーム長、アウトリガー張出条件、吊り荷総重量を確認し、性能表の条件と現場条件が一致しているかを照合します。
最大吊上能力だけで判断してよい?
最大吊上能力だけでは判断できません。最大吊上能力は参考情報であり、現場での可否判断は、作業半径・ブーム長・アウトリガー条件が一致した定格総荷重で行います。
吊り具の重さは定格総荷重に含める?
性能表と照合する重量には、吊り荷本体だけでなく、吊り具・治具・フック等の重量も含めて考えます。具体的な扱いは機種や資料で異なるため、該当機種の性能表や取扱説明書に従ってください。
表にない作業半径はどう読む?
表にない作業半径は、都合のよい小さい半径ではなく、安全側の大きい半径で確認するのが基本です。ただし、最終的には該当機種の性能表、注意書き、取扱説明書に従って判断します。
アウトリガー条件が分からないときは?
現場で再現できる張出条件を先に確定します。不明な場合は最大張出を前提にせず、設置スペース、路肩、段差、側溝、周辺障害物など、最大張出を妨げる要因を確認してください。
高さ(揚程)だけ見ればいい?
高さだけでは判断できません。揚程は「届くか」を見る条件であり、吊れるかどうかは作業半径、ブーム長、アウトリガー条件、定格総荷重をセットで確認します。
定格総荷重ギリギリなら作業してよい?
定格総荷重ギリギリの判断は避けます。作業半径の誤差、吊り具重量、アウトリガー条件、地盤条件、現場の安全基準によって余裕がなくなるため、該当機種の資料と関係先の確認を前提に、安全余裕を持って判断します。
性能表と実作業がズレるのはなぜ?
現場条件が性能表の前提条件と一致していないことが多いためです。作業半径、ブーム長、アウトリガー条件、吊り荷総重量、設置条件をそろえて照合し、計画時と当日の条件差がないか確認してください。
まとめ
性能表は「条件一致」で読む
- ✅ ラフテレーンクレーンの性能表は、最大能力ではなく条件別の定格総荷重を見る
- ✅ 作業半径・ブーム長・アウトリガー条件が一致した行で判断する
- ✅ 吊り荷本体だけでなく、吊り具・治具・フック等を含めた総重量で照合する
- ✅ 表にない作業半径は安全側で確認し、有利な側へ自己判断で丸めない
- ✅ 定格総荷重ギリギリの判断を避け、メーカー資料・取扱説明書・現場基準で確認する
次に確認する内容
性能表の読み方が分かったら、次は現場条件に応じて関連項目を確認します。
- 作業半径の測り方を確認する:【ラフテレーンクレーンの作業半径】性能表の見方と判断基準を解説
- アウトリガーの設置条件を確認する:【ラフテレーンクレーンのアウトリガー】張出方法・設置手順・安全上の注意
- 安全余裕や転倒防止を確認する:【ラフテレーンクレーンの安全対策】転倒防止・地耐力・現場での注意点
- クラス別の能力や寸法を確認する:【ラフテレーンクレーンの規格】能力・寸法・性能表の読み方と注意点


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