トラックの分割休息について、「何時間必要なのか」「何回まで分けられるのか」「荷待ちや仮眠を休息として扱えるのか」と迷う運行管理者や運転者は少なくありません。
2024年4月1日から適用されている改善基準告示では、通常の休息期間は継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとされています。業務上の必要から継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合は、一定の条件を満たすことで分割休息を利用できます。
この記事では、1回3時間以上、2分割は合計10時間以上、3分割は合計12時間以上という時間条件をはじめ、利用回数、24時間の数え方、成立例、荷待ち・仮眠との違い、記録の確認手順を整理します。
結論|分割休息は通常の休息期間を確保できない場合の特例
分割休息の主な条件
- 1回の休息期間は継続3時間以上
- 2分割の場合は合計10時間以上
- 3分割の場合は合計12時間以上
- 分割回数は2回または3回で、4分割以上は不可
- 始業時刻から起算した24時間以内に必要な合計時間を確保
- 一定期間は1か月を限度とし、所定勤務回数の2分の1まで
- 3分割の日が連続しないよう努める
分割休息は、休息時間を自由に細切れにできる制度ではありません。通常の休息期間を確保することが難しい場合に限って利用する特例であり、時間、回数、利用頻度、休息の実態をすべて確認する必要があります。
また、分割休息が成立しても、拘束時間、運転時間、連続運転時間に関する基準が自動的に緩和されるわけではありません。それぞれを別に確認してください。

| 確認項目 | 基準 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常の休息期間 | 継続11時間以上が基本 | 継続9時間を下回らない |
| 分割した1回の休息期間 | 継続3時間以上 | 3時間未満の時間は、分割休息の1回として扱えない |
| 2分割の合計 | 10時間以上 | 各休息はそれぞれ継続3時間以上必要 |
| 3分割の合計 | 12時間以上 | 合計10時間では不足する |
| 分割できる回数 | 2回または3回 | 4分割以上は認められない |
| 合計時間を確保する範囲 | 始業から24時間以内 | 暦日ではなく、始業時刻から起算する |
| 利用できる勤務回数 | 一定期間の所定勤務回数の2分の1まで | 一定期間は1か月を限度とする |
| 3分割の日 | 連続しないよう努める | 3分割の常態化を避ける |
※上表は2024年4月1日適用の改善基準告示と厚生労働省の公表資料を基に整理しています。個別の勤務への当てはめは、始業・終業時刻や作業実態なども含めて確認してください。
トラックの分割休息とは
分割休息とは、業務上の必要から勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合に、休息期間を2回または3回に分けて与える取扱いです。
分割された休息期間は、拘束時間の途中や拘束時間の経過直後に与えることができます。ただし、単に運行予定へ仮眠時間を入れただけでは成立せず、所定の時間数、分割回数、利用頻度を満たす必要があります。
通常の休息期間との違い
通常の休息期間は、勤務終了後に継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないようにします。
これに対して分割休息は、継続9時間以上の休息期間を確保することが業務上困難な場合に限り、複数回の休息を合計して必要時間を確保する特例です。通常休息より管理項目が多いため、初めから常用するのではなく、通常の休息期間を確保できる運行計画を優先します。
| 観点 | 通常の休息期間 | 分割休息 |
|---|---|---|
| 基本的な時間 | 継続11時間以上が基本で、継続9時間を下回らない | 1回3時間以上。2分割は合計10時間以上、3分割は合計12時間以上 |
| 利用できる前提 | 原則として各勤務の終了後に確保する | 継続9時間以上の休息を与えることが業務上困難な場合 |
| 分割回数 | 分割しない | 2回または3回。4回以上は不可 |
| 必要な合計時間 | 連続した休息時間で確認 | 2分割は10時間以上、3分割は12時間以上 |
| 利用頻度 | 毎勤務後の原則的な休息 | 一定期間の所定勤務回数の2分の1まで |
| 管理上の注意 | 勤務終了から次の始業までの連続時間を確認 | 各回の時間、合計、回数、24時間以内、利用頻度を確認 |
| 記録で確認する項目 | 終業時刻、次の始業時刻、休息の実態 | 各休息の開始・終了、実態、合計時間、勤務回数との関係 |
長距離貨物運送の別特例に注意
宿泊を伴う一定の長距離貨物運送には、週2回まで継続8時間以上とできる別の特例があります。適用条件や運行終了後の休息条件があるため、通常の分割休息と混同しないでください。
休息・休憩・仮眠は同じではない
改善基準告示上の休息期間とは、使用者の拘束を受けず、時間の使い方が運転者の自由な判断に委ねられている期間です。勤務と次の勤務の間に置かれ、疲労回復や睡眠を含む生活時間として確保されます。
一方、拘束時間内の休憩や仮眠は、名称にかかわらず休息期間とは区別されます。電話や無線への対応、荷役の指示、車両移動の指示などへ応じる必要がある時間は、自由に利用できる休息期間とはいえない可能性があります。
分割休息の条件|1回3時間・合計10時間または12時間
1回当たり継続3時間以上
分割した休息期間は、1回当たり継続3時間以上必要です。2時間の仮眠や、1時間ずつ複数回休んだ時間を分割休息として合計することはできません。
各休息について、開始時刻と終了時刻だけでなく、その間に作業や指示対応が入っていないかも確認します。途中で休息が中断された場合は、その時間全体を継続した休息として扱えるか再判定が必要です。
2分割は合計10時間以上
2分割の場合は、始業時刻から起算した24時間以内に合計10時間以上の休息期間を確保します。各休息は継続3時間以上であるため、3時間と7時間、4時間と6時間などの組み合わせが考えられます。
一方、3時間と6時間では合計9時間のため、2分割の合計10時間以上という条件を満たしません。
3分割は合計12時間以上
3分割の場合は、始業時刻から起算した24時間以内に合計12時間以上必要です。各休息は継続3時間以上でなければなりません。
3時間、4時間、5時間の合計12時間や、3時間、3時間、6時間の合計12時間は、時間と回数の条件を満たす例です。ただし、3分割の日が連続しないよう努める必要があります。
4分割以上は認められない
合計時間が12時間以上あっても、4回以上に分ける方法は認められません。たとえば3時間の休息を4回取ると合計12時間になりますが、4分割となるため分割回数の条件を満たしません。
利用回数と24時間の数え方
1か月程度の所定勤務回数の2分の1まで
分割休息を利用できるのは、一定期間における全勤務回数の2分の1までです。厚生労働省のQ&Aでは、一定期間は1か月を限度とし、実際に勤務した回数ではなく所定勤務回数を基準に計算すると示されています。
たとえば、1か月の所定勤務回数が20回であれば、分割休息を利用できる上限は10回です。実際の勤務回数が欠勤などで少なくなった場合も、原則として所定勤務回数を基に確認します。
始業時刻から24時間以内に合計時間を確保する
改善基準告示における「1日」は、午前0時から午後12時までの暦日ではなく、始業時刻から起算した24時間です。
午前6時に始業した場合は、翌日の午前6時までが確認対象になります。この24時間以内に、2分割なら合計10時間以上、3分割なら合計12時間以上の休息期間を確保します。
確認の順番
- 始業時刻を確認する
- 始業から24時間後の時刻を確認する
- その範囲内にある各休息の開始・終了を整理する
- 各休息が継続3時間以上か確認する
- 2分割なら10時間以上、3分割なら12時間以上か合計する
3分割の日を連続させない
3分割は2分割より休息が細かくなり、まとまった睡眠時間を確保しにくくなる可能性があります。そのため、改善基準告示では3分割の日が連続しないよう努めることとされています。
時間数だけを満たす運行計画ではなく、疲労回復に必要なまとまった休息を確保できるかも確認してください。
分割休息の成立例・成立しない例
| 休息の取り方 | 時間・回数の判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 3時間+7時間 | 基準を満たす例 | 各回3時間以上で、2分割の合計が10時間 |
| 3時間+3時間+6時間 | 基準を満たす例 | 各回3時間以上で、3分割の合計が12時間 |
| 3時間+3時間+4時間 | 基準を満たさない例 | 3分割なのに合計が10時間で、必要な12時間に不足 |
| 3時間+3時間+3時間+3時間 | 基準を満たさない例 | 合計12時間でも4分割になるため不可 |
上表は、時間と分割回数に限った判定例です。実際に分割休息として扱うには、始業から24時間以内であること、所定勤務回数の2分の1以内であること、使用者の拘束を受けない休息の実態があることなど、ほかの条件も満たす必要があります。
3時間+7時間の2分割
1回目が継続3時間、2回目が継続7時間であれば、各回が3時間以上で、合計も10時間となります。始業から24時間以内に確保し、利用頻度などの条件も満たせば、時間と回数の基準を満たす例です。
3時間+3時間+6時間の3分割
3時間、3時間、6時間の3回であれば、各回が継続3時間以上で、合計12時間となります。3分割の日が連続しないよう配車計画を調整することも必要です。
3時間+3時間+4時間では不足
各回は継続3時間以上ですが、合計は10時間です。3分割の場合は合計12時間以上必要なため、この組み合わせでは基準を満たしません。
3時間を4回に分ける方法は不可
3時間を4回取れば合計12時間になりますが、分割回数が4回になるため認められません。合計時間だけで判断せず、2分割または3分割になっているかも確認してください。
荷待ち・待機・仮眠は休息期間になる?
荷待ちや手待ちは原則として労働時間側で考える
荷待ちや手待ちの時間は、荷役開始の指示を待つ、呼び出しに応じる、車両を移動させるなど、使用者や荷主からの指示に対応する必要がある場合、原則として労働時間側で整理します。
運転していない時間であっても、自由にその場を離れられず、いつでも作業を始められる状態で待つ時間を、分割休息へ安易に算入しないでください。
仮眠という名称だけでは休息期間にならない
車内や休憩施設で実際に眠ったとしても、「仮眠」と記録しただけで分割休息になるわけではありません。拘束時間中の仮眠や、指示があれば対応しなければならない仮眠は、改善基準告示上の休息期間とは区別して判断する必要があります。
仮眠場所の安全性や利用時の注意点は、【トラックの寝る場所】仮眠できる場所と注意点で確認できます。ただし、休める場所が確保されていることだけで、分割休息の成立条件を満たすわけではありません。
使用者の拘束を受けない状態か確認する
休息期間として扱えるかは、時間の長さだけでなく、運転者が使用者の拘束から離れているかで判断します。
- 荷役や車両移動の指示に応じる必要がないか
- 電話、無線、呼び出しへの即時対応を求められていないか
- 時間の使い方が運転者の自由な判断に委ねられているか
- 実際の状態と日報やデジタコの記録が一致しているか
形式上は休息と記録されていても、実際には作業や待機をしていた場合、記録だけを根拠に休息期間として扱うことは適切ではありません。
運行計画と記録で確認する手順

運行前に確認する項目
分割休息を利用する運行では、予定の段階で次の順番に確認します。
- 各休息の開始予定時刻と終了予定時刻を確認する
- 各休息が継続3時間以上か確認する
- 2分割か3分割かを確認する
- 2分割なら合計10時間以上、3分割なら合計12時間以上か確認する
- 始業時刻から起算した24時間以内に収まるか確認する
- 一定期間の所定勤務回数の2分の1を超えないか確認する
- 3分割の日が連続する計画になっていないか確認する
- 休息中に作業や指示対応が入らない場所と体制を確保する
遅延や荷待ちが発生した場合の再判定
運行前の計画で条件を満たしていても、渋滞、荷待ち、荷役時間の延長、到着時刻の変更などにより、休息の開始時刻や長さが変わることがあります。
予定が崩れた場合は、当初の予定どおり分割休息が成立したものとして処理せず、次の点を再確認します。
- 各休息が実績でも継続3時間以上あるか
- 休息中に作業、連絡、指示待ちが入っていないか
- 2分割または3分割の合計時間を満たすか
- 始業から24時間以内に必要な時間を確保できるか
- 拘束時間や連続運転時間など、ほかの基準に影響していないか
条件を満たせない見込みになった場合は、通常の休息期間を含めて運行を再設計し、安全側で判断してください。
デジタコ・運転日報・点呼記録の整合
デジタコへ「休息」と入力しただけで、改善基準告示上の休息期間が成立するわけではありません。先に休息の実態があり、その実態を複数の記録から確認できる状態にすることが重要です。
| 記録 | 主に確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| デジタコ | 走行、停止、休憩・休息などの時刻 | 入力区分と実際の勤務状態が一致しているか確認する |
| 運転日報 | 始業・終業、荷待ち、荷役、休息の実績 | 荷待ちを休息として記録していないか確認する |
| 点呼記録 | 運行前の計画、実績との差、疲労状態 | 予定変更の事実と対応内容を確認できるようにする |
| 配車・運行計画 | 休息予定、分割回数、合計時間 | 計画だけでなく実績による再判定が必要 |
分割休息で間違えやすいポイント
合計時間だけで判断する
2分割と3分割では必要な合計時間が異なります。2分割は10時間以上ですが、3分割は12時間以上必要です。分割回数と合計時間をセットで確認してください。
3時間未満の休息を合計に入れる
分割した休息は、1回ごとに継続3時間以上必要です。2時間の休息を複数回積み上げても、分割休息の要件を満たしません。
荷待ちや指示待ちを休息として扱う
荷待ちや手待ちは、作業開始の指示に備える必要がある場合、原則として労働時間側で整理します。運転していないという理由だけで休息期間へ算入しないでください。
利用回数を実勤務回数だけで計算する
一定期間の全勤務回数の2分の1は、原則として所定勤務回数を基準に計算します。欠勤などにより実際の勤務回数が少なくても、計算方法を独自に変更しないでください。
分割休息を使えばほかの上限も緩むと考える
分割休息は休息期間の特例です。1日の拘束時間、運転時間、連続運転時間などの基準は別に確認する必要があります。
個別の運行は一次資料と実態で確認
分割休息の成立は、始業・終業時刻、荷待ちや作業の実態、所定勤務回数などによって変わります。判断に迷う場合は、最新の厚生労働省資料を確認し、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家へ相談してください。
よくある質問
トラックの分割休息は何時間必要ですか?
1回当たり継続3時間以上が必要です。2分割なら合計10時間以上、3分割なら合計12時間以上を確保します。
分割休息は何回まで分けられますか?
2分割または3分割です。4分割以上は認められません。
3回に分けても合計10時間あればよいですか?
いいえ。3分割の場合は合計12時間以上が必要です。各休息も継続3時間以上でなければなりません。
分割休息は毎日使えますか?
常用を前提とする制度ではありません。一定期間を1か月程度とし、その期間の所定勤務回数の2分の1までが限度です。3分割の日が連続しないよう努める必要もあります。
分割した休息はいつまでに取る必要がありますか?
始業時刻から起算した24時間以内に、2分割なら合計10時間以上、3分割なら合計12時間以上を確保します。
荷待ち時間は分割休息に含められますか?
荷待ちや手待ちは原則として労働時間側で整理します。使用者の拘束を受けず、時間の使い方が運転者の自由に委ねられている休息期間とは区別してください。
車内で仮眠すれば分割休息になりますか?
仮眠したという事実だけでは決まりません。使用者の拘束を受けない状態であり、時間、回数、利用頻度などの条件も満たしている必要があります。
通常の休息期間は何時間ですか?
継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないようにします。
まとめ|時間・回数・実態の3点を確認する
- 分割休息は、通常の継続9時間以上の休息を確保することが業務上困難な場合の特例
- 1回の休息は継続3時間以上必要
- 2分割は合計10時間以上、3分割は合計12時間以上
- 4分割以上は認められない
- 始業から24時間以内に必要な合計時間を確保する
- 一定期間の所定勤務回数の2分の1までに抑える
- 荷待ちや手待ちを休息期間と安易に混同しない
- 休息の実態とデジタコ、日報、点呼記録を一致させる
運行計画を作成する際は、「時間と回数を満たすか」「使用者の拘束を受けない休息の実態があるか」「計画と実績を記録から確認できるか」の順に確認してください。
関連するトラック用語・運行情報
横持ち、荷待ち、構内移動など、運送現場で使われる用語の意味を確認したい場合は、【トラックの横持ちとは】運搬用語の意味をご覧ください。


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