【トラックのリミッター】仕組みと役割

高速道路を安定して巡航するトラックの写真風イメージ トラック基礎

トラックの「リミッター」や「スピードリミッター」は、法令上の速度抑制装置を指す通称として使われるのが一般的です。対象となる大型貨物自動車等では、設定速度が90km/h以下の任意の速度となるように設計されます。

装着対象を判断する基本的な数値は、貨物の運送に使う普通自動車について、車両総重量8t以上または最大積載量5t以上です。ただし、最高速度が90km/h以下の自動車や緊急自動車など、適用範囲から除かれる車両もあります。

2t車、3t車、ユニック車という通称や架装の種類だけでは、装着義務の対象かどうかを判断できません。車検証の車両総重量、最大積載量、用途、型式、初度登録年月と、実車の仕様を確認することが重要です。

トラック事故の主な原因や、追突・横転・死角などの場面別対策をまとめて確認したい場合は、【トラックの事故】多い原因と防止策も参考にしてください。

高速道路を安全に走るトラックと設定速度90km/h以下を示したアイキャッチ

この記事の要点
  • 対象の基本:車両総重量8t以上または最大積載量5t以上
  • 設定速度:90km/h以下の任意の速度
  • 確認方法:2t・3tなどの通称ではなく、車検証と実車の仕様で判断する
  • 注意点:リミッターの設定速度と、道路上の最高速度は別のルール
  1. 結論|トラックのリミッターは90km/h以下に設定される速度抑制装置
    1. リミッターと速度抑制装置は何が違う?
    2. 対象は車両総重量8t以上または最大積載量5t以上が基本
    3. 義務化の時期と標識の数値
  2. 2t・3t・ユニック車にもリミッターは付いている?
    1. 2t車・3t車という呼び方だけでは判断できない
    2. ユニック車はクレーンの有無ではなく車両区分で判断する
  3. リミッターはどのように速度を抑える?
    1. 設定速度に達すると、それ以上の加速を抑える
    2. ブレーキや安全運転を代替する装置ではない
  4. リミッターの90km/hと高速道路の最高速度は別
    1. 車両側の設定速度と道路側の上限を比較する
    2. 標識や道路標示による速度指定を優先する
  5. 中古トラックで確認するポイント
    1. 車検証で確認する項目
    2. 「速度抑制装置付」の標識を確認する
    3. 点検・整備履歴と改造歴を確認する
  6. 解除・無効化・異常時はどうする?
    1. 使用者が自由に変更・解除する装置ではない
    2. 解除や取り外しは不正改造に当たるおそれがある
    3. 異常を感じたときの安全な確認手順
  7. FAQ
    1. トラックのリミッターは何km/hで作動しますか?
    2. 2tトラックや3tトラックにもリミッターは付いていますか?
    3. ユニック車はリミッターの対象ですか?
    4. 下り坂でも90km/h以上になりませんか?
    5. リミッターを解除・変更できますか?
    6. 中古トラックではどこを確認しますか?
  8. まとめ
  9. 出典・参考情報

結論|トラックのリミッターは90km/h以下に設定される速度抑制装置

車両総重量8t以上または最大積載量5t以上と設定速度90km/h以下を示した数値比較

トラックのリミッターは、設定速度に達した後、アクセルペダルなどの加速装置を操作しても、それ以上の加速を抑えるための装置です。

対象となる大型貨物自動車等では、設定速度は90km/h以下の任意の速度とされています。必ず90km/hちょうどに固定されているという意味ではありません。

確認項目 基本となる数値 確認時の注意
車両総重量 8t以上 車検証の「車両総重量」欄で確認する
最大積載量 5t以上 車両総重量と最大積載量のどちらか一方が基準を満たす場合が基本
設定速度 90km/h以下 90km/h以下の任意の速度であり、道路の制限速度とは別

リミッターと速度抑制装置は何が違う?

「リミッター」や「スピードリミッター」は、現場や一般の会話で使われる呼び方です。国土交通省の技術基準などでは、主に「速度抑制装置」と表記されています。

本記事では、トラックで使われるリミッターと速度抑制装置を、基本的に同じ装置を指す言葉として扱います。ただし、乗用車のエンジン回転数を制限する装置など、別の機能がリミッターと呼ばれる場合もあります。

装着義務の適用範囲や技術基準を詳しく確認したい場合は、【トラックの速度抑制装置とは】仕組みと安全面での注意点で整理しています。

対象は車両総重量8t以上または最大積載量5t以上が基本

速度抑制装置の技術基準は、貨物の運送に使う普通自動車で、次のいずれかに該当する車両を基本的な対象としています。

  • 車両総重量が8t以上
  • 最大積載量が5t以上
  • 上記に該当する被牽引自動車を牽引する牽引自動車

「8t以上かつ5t以上」ではありません。車両総重量8t以上または最大積載量5t以上という基準が基本です。ただし、車両の製作時期、用途、最高速度、適用除外なども確認する必要があります。

最高速度が90km/h以下の自動車、緊急自動車、被牽引自動車などは、技術基準の適用範囲から除かれています。また、一定の旧年式車や高速自動車国道等を走行しない車両には、装着義務の対象外となる条件があります。

対象かどうかを最終判断するときは、車検証だけでなく、型式、製作時期、用途、メーカー資料も確認し、不明な場合は販売店や認証整備工場などへ相談してください。

義務化の時期と標識の数値

新車への装備義務は、2003年9月1日以降に新規検査等を受ける対象車から適用されました。対象となる使用過程車について設けられていた経過措置は、2006年8月末で終了しています。

項目 数値・時期 意味
新車への適用開始 2003年9月1日 同日以降に新規検査等を受ける対象車から適用
使用過程車の経過措置終了 2006年8月末 対象となる既存車への装着に関する経過措置が終了
車両後面の標識 直径130mm以上 文字の高さは25mm以上
車室内の標識 直径30mm以上 文字の高さは7mm以上

標識は黒色の文字と黄色の地で、「速度抑制装置付」と表示されます。車室内では運転者の見やすい位置、車両後面では後続車から確認できる位置に表示されます。

2t・3t・ユニック車にもリミッターは付いている?

2t車・3t車という呼び方だけでは判断できない

2t車や3t車という呼び方は、一般に最大積載量を基にした通称です。しかし、同じ2t車や3t車でも、ボディー、キャブ、架装、乗車定員などによって車両総重量が異なります。

そのため、「2t車だから対象外」「3t車だからリミッターは付かない」と通称だけで判断するのは適切ではありません。

車検証で確認する順番
  1. 車両総重量が8t以上か確認する
  2. 最大積載量が5t以上か確認する
  3. 用途、型式、初度登録年月を確認する
  4. 適用除外や旧年式車の条件が不明な場合は専門先へ確認する

一般的な小型トラックでは基準に達しない仕様も多くありますが、名称だけで対象外と断定せず、必ず実車の車検証を確認してください。

ユニック車はクレーンの有無ではなく車両区分で判断する

ユニック車は、一般にクレーンを搭載したトラックを指す通称です。クレーンを搭載していること自体は、速度抑制装置の装着基準ではありません。

ただし、クレーン装置、アウトリガー、補強部材などを搭載することで車両重量が増え、車両総重量や最大積載量の数値が平ボディー車と異なる場合があります。

ユニック車については、次の順序で確認します。

  1. 車検証の車両総重量を確認する
  2. 車検証の最大積載量を確認する
  3. 用途、型式、初度登録年月を確認する
  4. メーカー資料や架装仕様書を確認する
  5. 判断できない場合は販売店、メーカー、認証整備工場へ確認する

クレーンの仕様や「2tユニック」「4tユニック」といった販売上の呼び方だけでは、速度抑制装置の対象を確定できません。

リミッターはどのように速度を抑える?

設定速度に達すると、それ以上の加速を抑える

速度抑制装置は、車両が設定速度で走行しているときにアクセルペダルなどを操作しても、それ以上加速しないように制御する装置です。

車種や装置の仕様によって、燃料噴射量やエンジン出力などの制御方法は異なります。具体的な作動条件は、車両の取扱説明書やメーカー資料を確認してください。

  • 設定速度は90km/h以下の任意の速度
  • アクセル操作による設定速度以上への加速を抑える
  • 使用者が自由に設定速度を変更・解除できる構造ではない
  • 車種や装置により具体的な制御方法は異なる

ブレーキや安全運転を代替する装置ではない

速度抑制装置は、車両の主制動装置を作動させる装置ではありません。リミッターが付いていても、車間距離、カーブ手前の減速、雨天時の速度調整、積載状態の確認などは運転者が行う必要があります。

特に下り坂では、勾配や車両重量の影響によって、装置だけで速度を維持できるとは限りません。車両の取扱説明書と道路状況に従い、フットブレーキ、エンジンブレーキ、補助ブレーキなどを適切に使用してください。

リミッターがあるから安全とは限りません。速度抑制装置は運転操作を補助する装置であり、制動、車間距離、積載、路面状況への対応を代替するものではありません。

リミッターの90km/hと高速道路の最高速度は別

車両側の設定速度と道路側の上限を比較する

リミッターの設定速度と道路上の最高速度は、目的も確認方法も異なります。リミッターが90km/h以下に設定されていても、どの道路でもその速度で走行できるわけではありません。

比較項目 リミッター・速度抑制装置 道路上の速度制限
制限するもの 車両側で、それ以上の加速を抑える 道路を走行できる速度の上限を定める
基準となる数値 設定速度は90km/h以下 車種、道路、道路標識、道路標示などで異なる
確認する人 車両使用者、車両管理者、整備事業者など 運転者が走行中に確認する
低い速度が指定された場合 道路標識等の速度に自動変更される装置ではない 指定された低い速度を守る
安全運転の代替 代替しない 運転者が交通状況に応じて速度を調整する

一般道と高速道路の速度ルールをまとめて確認したい場合は、【トラックの速度制限】一般道・高速道路の違いを参考にしてください。

標識や道路標示による速度指定を優先する

道路標識や道路標示による速度指定がない高速自動車国道の本線車道等では、2024年4月1日から、大型貨物自動車と特定中型貨物自動車の法定最高速度が90km/hに引き上げられました。

車種区分 法定最高速度 注意点
大型貨物自動車・特定中型貨物自動車 90km/h 2024年4月1日から引上げ
トレーラ・大型特殊自動車・三輪自動車 80km/h 引上げの対象外
普通乗用車などその他の自動車 100km/h 一部車種や道路を除く

これらは、道路標識や道路標示による速度指定がない高速自動車国道の本線車道等を前提とした数値です。80km/hや70km/hなどの速度が指定されている区間では、その指定速度を守ります。

トラックの車種別の区分や違反リスクを詳しく確認したい場合は、【トラックの高速道路最高速度】一般道との違いと違反リスクを参考にしてください。

中古トラックで確認するポイント

中古トラックのリミッター確認不足や解除前提の運用を避けるための図解

中古トラックでは、黄色い標識の有無だけでなく、車検証、装置の仕様、点検整備記録、改造歴まで確認する必要があります。

車検証で確認する項目

項目 確認する理由
車両総重量 8t以上か確認する
最大積載量 5t以上か確認する
用途 貨物自動車としての登録内容を確認する
型式 メーカー資料や部品情報と照合する
初度登録年月 旧年式車や経過措置との関係を確認する

初度登録年月だけでは製作年月と一致しない場合があります。旧年式車の適用条件を判断するときは、メーカーや整備事業者へ型式と車台番号を伝えて確認してください。

「速度抑制装置付」の標識を確認する

実車では、車両後面と車室内にある黄色い「速度抑制装置付」の標識を確認します。

  • 車両後面の標識が隠れていないか
  • 車室内の標識が運転者から見えるか
  • 標識に剥がれ、汚れ、著しい損傷がないか
  • 後面標識が直径130mm以上か
  • 車室内標識が直径30mm以上か

ただし、標識が貼られていることだけでは、速度抑制装置が正常に作動しているとは判断できません。標識は装着車であることを示すものであり、装置の内部状態や設定を証明するものではないためです。

点検・整備履歴と改造歴を確認する

契約前には、次の資料と実車の状態を確認してください。

  • 点検整備記録簿
  • 速度抑制装置の修理歴や部品交換歴
  • エンジンや制御装置に関する整備履歴
  • 電装品の追加や配線変更の履歴
  • 警告灯や異常表示の有無
  • 装置の仕様が分かる取扱説明書やメーカー資料
  • 販売店や整備事業者による作動確認の記録

公道で速度を上げて作動状態を試す方法は避けてください。装置の確認は、メーカー指定工場、認証整備工場、販売店など、必要な設備と知識を持つ事業者へ依頼します。

解除・無効化・異常時はどうする?

使用者が自由に変更・解除する装置ではない

速度抑制装置の技術基準では、自動車使用者等が設定速度を変更したり、設定を解除したりできる構造であってはならないとされています。

リミッターは外すことを前提にした装置ではありません。設定変更や解除を検討するのではなく、法令に適合した状態で正しく作動しているかを確認することが基本です。

解除や取り外しは不正改造に当たるおそれがある

国土交通省は、速度抑制装置の解除や取り外しを不正改造の具体例として案内しています。車両が保安基準に適合しない状態になれば、整備命令や取締りの対象となるおそれがあります。

また、重量の大きいトラックが高い速度で衝突した場合は、被害が重大になる可能性があります。解除、取り外し、配線変更、制御装置の設定変更などを自己判断で行わないでください。

具体的な法的措置は車両の状態や事案によって異なります。不明な点は運輸支局、メーカー、認証整備工場などへ確認してください。

異常を感じたときの安全な確認手順

「以前より速度が出ない」「速度が不安定」「作動感が変わった」と感じても、原因がリミッターとは限りません。エンジン、変速機、警告制御、積載状態、勾配など、別の要因も考えられます。

  1. 無理な運行を続けず、安全な場所で状況を確認する
  2. 運行管理者や車両管理者へ報告する
  3. 警告灯、発生速度、道路状況、積載状態などを記録する
  4. 点検整備記録や直近の修理内容を確認する
  5. メーカー指定工場または認証整備工場へ相談する
  6. 自己判断で配線、制御装置、設定を変更しない

高速道路で故障や異常により走行の継続が難しい場合は、可能であればサービスエリアやパーキングエリアなどの安全な場所へ移動します。本線車道や路肩に停止せざるを得ない場合は、停止表示器材を設置し、ガードレールの外側などへ避難したうえで通報してください。

FAQ

トラックのリミッターは何km/hで作動しますか?

対象となる速度抑制装置の設定速度は、90km/h以下の任意の速度です。必ず90km/hちょうどに設定されるとは限らないため、実車の取扱説明書やメーカー資料で確認してください。

2tトラックや3tトラックにもリミッターは付いていますか?

2t車、3t車という通称だけでは判断できません。車検証の車両総重量、最大積載量、用途、型式、初度登録年月と、実車の仕様を確認する必要があります。

ユニック車はリミッターの対象ですか?

クレーンを搭載していること自体は判断基準ではありません。車検証上の車両総重量、最大積載量、用途などと、法令上の適用条件で判断します。

下り坂でも90km/h以上になりませんか?

速度抑制装置は主制動装置を作動させる装置ではないため、下り坂では装置だけで速度を維持できるとは限りません。道路状況と車両の取扱説明書に従い、運転者が適切に速度を管理する必要があります。

リミッターを解除・変更できますか?

速度抑制装置は、使用者が自由に設定速度を変更したり、解除したりすることを前提とした装置ではありません。解除や取り外しは不正改造や重大事故につながるおそれがあるため、行わないでください。

中古トラックではどこを確認しますか?

車検証、車両後面と車室内の標識、装置の仕様、点検整備記録、修理歴、部品交換歴、電装系の改造歴を確認します。作動状態は公道で試さず、販売店や認証整備工場へ確認してください。

まとめ

  • トラックのリミッターは、法令上の速度抑制装置を指す通称として使われる
  • 装着対象の基本は、車両総重量8t以上または最大積載量5t以上
  • 速度抑制装置の設定速度は90km/h以下の任意の速度
  • 2t車、3t車、ユニック車という通称だけでは対象を判断できない
  • リミッターの設定速度と道路上の最高速度は別のルール
  • 中古車では車検証、標識、点検整備記録、改造歴を確認する
  • 解除や取り外しを行わず、異常時は認証整備工場などへ相談する

まずは車検証の車両総重量と最大積載量を確認し、装置の対象や作動状態が分からない場合は、メーカー、販売店、認証整備工場などへ相談してください。

著者情報

ユニック車ガイド編集部

安全性と法令順守を優先し、車検証、メーカー資料、公的情報、整備事業者への確認を重視して解説しています。実車の仕様や適用条件が分からない場合は、自己判断せず専門先へ確認してください。

出典・参考情報

対象車両、90km/h以下の設定速度、装置の機能、標識の寸法などを確認できる公的資料。
使用過程車の経過措置終了時期と、旧年式車などの対象外条件を確認できる資料。
2024年4月1日からの大型貨物自動車等の最高速度引上げと、対象外車種を確認できる公的情報。
速度抑制装置の解除・取り外しが不正改造の具体例として案内されていることを確認できるページ。

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