【タダノ製トラッククレーンの特徴】性能と選ばれる理由

タダノ製トラッククレーンの特徴を想起させる現場作業のイメージ トラッククレーン

結論として、タダノのOC-200Nは、トラックシャーシによる現場間の移動性、専用のクレーン操作室、20tクラスのつり上げ能力、安全確認を支援する装置を備え、重量物の搬入・移設・据え付けを行う現場で選定候補になります。ただし、20tをすべての距離で吊れるわけではありません。

タダノ公式の定格総荷重表では、5.7mブーム・作業半径3.0mの条件例で20.0tですが、12.4mブーム・作業半径11.0mでは、アウトリガ最大張出の後方・側方作業で2.5tとなります。荷物本体だけでなく、フックや吊り具の質量も含めて判断することが重要です。

トラッククレーンと作業計画を確認し、作業半径・アウトリガ・必要資格で選ぶ考え方を示す

この記事では、タダノ公式が「トラッククレーン」として掲載しているOC-200Nを代表例に、カーゴクレーンやラフテレーンクレーンとの違い、性能、安全装置、向いている現場、選定前の確認項目、必要資格を整理します。

タダノのカーゴクレーンやラフテレーンクレーンなどを含めた製品種類全体は、【タダノユニックとは】特徴・性能・種類・選び方を総まとめで整理しています。

著者:ユニック車ガイド編集部

タダノ製トラッククレーンとは

タダノ製トラッククレーンを性能・設置条件・安全装置から選ぶ考え方を示す図解

タダノ公式では、トラッククレーンを、普通トラックの荷台を取り外したキャリア上にクレーンを架装した車両と説明しています。走行用の運転室とクレーン用の操作室が別々に設けられ、道路を自走して現場へ移動した後、アウトリガを設置してクレーン作業を行います。

見た目が似た車両でも、カーゴクレーンやラフテレーンクレーンとは構造と得意な用途が異なります。

種類 構造の違い 主な使い方
トラッククレーン 普通トラックの荷台を外したキャリア上に専用クレーンを架装し、走行用とクレーン用の運転室を別々に備える 重量物のつり上げ、機械の搬入・移設・据え付けなど
カーゴクレーン トラックのキャブ後方などに小型クレーンを架装し、荷台を残す 貨物の積載、運搬、積み降ろしを一台で行う
ラフテレーンクレーン 一つの運転席で走行とクレーン操作を行う自走式クレーン 不整地や比較的軟弱な地盤、狭い現場でのクレーン作業

「ユニック車」との違い:「ユニック」は古河ユニックが用いる製品名・愛称に由来する呼び方です。一般には荷台付きのクレーン搭載トラックを指して使われることがありますが、タダノ公式の製品分類では「トラッククレーン」と「カーゴクレーン」が分けられています。本記事では、OC-200Nが属する「トラッククレーン」を扱います。

タダノ製トラッククレーンの代表的な性能

2026年6月確認時点で、タダノ公式の国内向けトラッククレーン一覧には、つり上げ荷重20.0tのOC-200Nが掲載されています。代表的な仕様は次のとおりです。

確認項目 OC-200Nの公式仕様例
クレーン容量 5.7mブーム:20,000kg×3.0m(6本掛)
クレーン容量 9.05mブーム:11,000kg×4.0m(6本掛)
クレーン容量 12.4mブーム:8,000kg×4.5m(6本掛)
最大地上揚程 12.0m
最大作業半径 11.0m
ブーム 箱型3段、長さ5.7~12.4m
ブーム起伏角度 マイナス1度~65度
旋回角度 360度
アウトリガ張出幅 最大5.3m、中間3.6m
アウトリガ形式 フロントH型、リヤX型
車両寸法の図示例 全長9,510mm、全幅2,490mm、全高3,140mm

数値の扱いに注意:上記はトラッククレーン全般の共通値ではなく、タダノOC-200Nの公式仕様例です。車両寸法は架装キャリアによって異なります。年式、型式、架装キャリア、ブーム長、作業方向、アウトリガ張出状態によって条件が変わるため、実車の銘板、性能表、車検証、取扱説明書を照合してください。

最大20tでも作業半径によって吊れる重量は下がる

作業半径が3.0mから11.0mへ伸びると定格総荷重が20.0tから2.5tへ下がる条件例

OC-200Nの「20,000kg×3.0m」は、5.7mブーム、6本掛、作業半径3.0mなどの条件が付いた最大クレーン容量です。最大作業半径11.0mでも20tを吊れるという意味ではありません。

ブーム長・作業条件の例 作業半径 定格総荷重・クレーン容量の例
5.7mブーム・6本掛 3.0m 20.0t
9.05mブーム・6本掛 4.0m 11.0t
12.4mブーム・6本掛 4.5m 8.0t
12.4mブーム・アウトリガ最大張出・後方または側方 11.0m 2.5t

この比較から分かるのは、機種選定では「何トン吊りか」だけでなく、実際の設置位置から荷物の中心まで何mあるかを確認しなければならないことです。障害物を避けるために車両を荷物から離すと、作業半径が伸び、吊れる重量が下がります。

定格総荷重には荷物以外の質量も含まれます。

OC-200Nの公式カタログでは、定格総荷重は水平で堅い地盤上にクレーンを水平設置した状態の値で、吊り具の質量と20tフックの質量180kgを含むとされています。たとえば定格総荷重2.5tの条件で、荷物本体をそのまま2.5tまで吊れるとは限りません。

作業可否は作業方向とアウトリガ張出幅でも変わる

定格総荷重表は、後方・側方・前方の作業方向や、アウトリガの最大張出・中間張出によって欄が分かれています。同じ作業半径でも条件が変われば定格総荷重が異なるため、使用するブーム長と作業方向に対応する欄を確認してください。

また、カタログの作業半径はブームのたわみを含む実際の値を基準としています。車両中心からの見た目の距離や、ブーム長だけで判断せず、現場図面と実測値を使って作業半径を確認する必要があります。

安全装置と操作・設置の特徴

OC-200Nには、荷重状態、作業範囲、旋回、巻き過ぎ、アウトリガの張出状態などを確認・制限する装置が搭載されています。装置名だけでなく、どのようなリスクの確認を支援するのかを理解しておくことが重要です。

装置・構造 確認・支援する内容
過負荷防止装置(AML) ブームの状態や荷重などを監視し、過負荷になる作業を防ぐための判断を支援します。作業範囲制限機能も備えます。
旋回自動停止装置・旋回範囲制限機能 設定した旋回範囲や車両側の制限に応じ、危険な方向への旋回を抑えるために使用します。
巻過防止装置 フックを巻き上げすぎてブーム先端部と接触することを防ぐための装置です。
アウトリガ張出幅検出装置 各アウトリガの張出状態を検出し、その状態に対応した作業条件の確認を支援します。
油圧安全弁・油圧ロック装置 油圧回路の異常な圧力や、伸縮・起伏・巻上げ・ジャッキ系統の意図しない動きを抑えるための装置です。
専用クレーン操作室 走行用運転室とは別の操作室からクレーンを操作します。スライドドアやキャブヒータも公式カタログに掲載されています。
フロントH型・リヤX型アウトリガ 作業時に車体を支持する構造です。最大張出幅5.3mを確保できるか、地盤と周辺スペースを事前に確認します。

安全装置があっても、作業限界を超えて使用することはできません。

  • 定格総荷重表と取扱説明書に従う
  • 車体を水平に設置する
  • アウトリガを条件どおりに張り出す
  • 地盤の支持力を確認し、必要な敷板や養生を行う
  • 旋回範囲と立入禁止範囲を確保する
  • 風、障害物、架空線、周辺作業者の動線を確認する

タダノ製トラッククレーンが選定候補になる理由

OC-200Nの公式仕様からは、次の条件を重視する現場で選定候補になりやすいと考えられます。

20tクラスのつり上げ能力を備える

5.7mブーム、6本掛、作業半径3.0mの条件例で20,000kgのクレーン容量が示されています。工作機械や工場設備などの重量物を近い作業半径で扱う計画では、候補になり得ます。

トラックシャーシで現場間を移動できる

タダノ公式は、トラッククレーンについて、トラックと同様に作業現場まで自走してクレーン作業を開始できると説明しています。OC-200Nのカタログでも、汎用シャーシによる走行性能と現場での機動性が特徴として示されています。

限られた空間を想定した車体構成

OC-200Nのカタログでは、短いブームベース、低い全高、短いテールスイング、リヤX型アウトリガなどが、屋内や限られた空間での作業を想定した特徴として挙げられています。ただし、車体が比較的コンパクトでも、作業時には最大5.3mのアウトリガ張出幅と旋回範囲が必要です。

荷重・旋回・アウトリガ状態の確認を支援する

過負荷防止装置、作業範囲制限、旋回自動停止、アウトリガ張出幅検出などが搭載されています。これらは安全確認を支援しますが、現場条件の調査、作業計画、合図、玉掛け、立入管理の代わりにはなりません。

タダノと古河ユニックの違いを、機種、操作性、整備環境、中古車の状態などから比較したい場合は、【タダノユニック 比較】古河ユニックとの違いと選び方を確認してください。

向いている現場・向いていない現場

トラッククレーンの向き不向きは、メーカー名だけでは決まりません。OC-200Nの性能範囲、進入条件、設置場所、作業半径、地盤を具体的に照合してください。

選定候補になりやすい条件 別の機種・方法も検討する条件
  • 工場設備や工作機械の搬入、移設、据え付け
  • 道路走行による複数現場間の移動を重視する
  • 最大作業半径11.0m以内で作業計画を組める
  • 必要な揚程が最大地上揚程12.0m以内に収まる
  • 最大5.3mのアウトリガ張出幅と旋回範囲を確保できる
  • 車両の進入路と設置場所を事前に調査できる
  • 水平で十分な支持力を持つ地盤を確保できる
  • 荷台に貨物を積んで日常配送することが主目的
  • 不整地や比較的軟弱な地盤での走行性を重視する
  • 11.0mを超える作業半径が必要
  • 12.0mを超える地上揚程が必要
  • 20tの荷物を長い作業半径で吊る必要がある
  • アウトリガを十分に張り出せない
  • 軟弱地盤、傾斜地、地下構造物上などで支持力を確保しにくい
  • 車両の進入、旋回、退場スペースを確保できない

貨物の積載と日常的な配送が中心なら、荷台を残すカーゴクレーンが適する場合があります。不整地走行や小回りを重視する場合は、ラフテレーンクレーンも比較対象になります。必要な作業半径や揚程がOC-200Nの範囲を超える場合は、より大きな機種や専門事業者への外注を検討します。

選ぶ前に確認する10項目

機種を決める前に、次の項目を「最大重量」「最遠点」「最も厳しい作業方向」で確認してください。

No. 確認項目 確認方法
1 荷物本体の重量 銘板、図面、出荷仕様書などで最大重量を確認する
2 フック・吊り具を含めた総重量 フック、ワイヤロープ、スリング、シャックル、つり天秤などを加算する
3 実際の作業半径 クレーン旋回中心から荷物の重心までを測り、障害物による離隔も見込む
4 必要な地上揚程 据え付け高さに、吊り具の長さと障害物を越える余裕を加える
5 必要なブーム長 作業半径・揚程図と定格総荷重表を組み合わせて確認する
6 作業方向 前方・後方・側方のどこで作業するかを図面上で決める
7 アウトリガ張出幅 最大5.3mまたは中間3.6mを張り出せるか、敷板を含めて確認する
8 地盤の支持力 埋設物、地下構造物、側溝、法肩、舗装の状態を確認し、敷板の要否を判断する
9 進入・旋回・退場スペース 車両寸法、道路幅、門扉、曲がり角、高さ制限、架空線を現地確認する
10 免許・資格・作業体制 クレーン操作、玉掛け、公道運転、合図、立入管理の担当者を決める

中古車を選ぶ場合は、同じ名称でも年式や仕様が異なる可能性があります。販売情報の「20t吊り」という表記だけで決めず、実車に備え付けられた性能表、銘板、検査記録、車検証を確認してください。

タダノ製トラッククレーンに必要な資格

トラッククレーンの操作・玉掛け・公道運転に必要な資格を確認する流れを示す図解

クレーン操作に必要な資格は、原則として実際に吊る荷物の重量ではなく、機械のつり上げ荷重で区分されます。OC-200Nはつり上げ荷重20.0tのため、クレーン操作には移動式クレーン運転士免許が必要です。

業務 対象となる条件 必要な資格・教育
移動式クレーンの運転 つり上げ荷重5t以上 移動式クレーン運転士免許
小型移動式クレーンの運転 つり上げ荷重1t以上5t未満 小型移動式クレーン運転技能講習
移動式クレーンの運転 つり上げ荷重1t未満 移動式クレーン運転業務の特別教育
玉掛け つり上げ荷重1t以上のクレーン・移動式クレーンなど 玉掛け技能講習
玉掛け つり上げ荷重1t未満のクレーン・移動式クレーンなど 玉掛け業務の特別教育

公道運転の免許は別に確認します。

移動式クレーン運転士免許は、クレーン装置を操作するための資格です。公道で車両を運転できるかは、架装車両の車両総重量、最大積載量、運転免許の取得時期などを、車検証と運転免許証で照合してください。現場では、操作資格に加えて玉掛け担当者、合図者、立入管理の体制も確認します。

タダノ製トラッククレーンのよくある質問

タダノ製トラッククレーンとユニック車の違いは?

タダノ公式のトラッククレーンは、普通トラックの荷台を外したキャリア上に専用クレーンを架装し、走行用とクレーン用の運転室を別々に備える車両です。一般にユニック車と呼ばれることが多い荷台付きのクレーン搭載トラックは、タダノ公式の分類ではカーゴクレーンに近い構造です。

OC-200Nは20tの荷物をどの距離でも吊れますか?

いいえ。20,000kg×3.0mは、5.7mブーム・6本掛などの条件が付いたクレーン容量です。12.4mブームで作業半径11.0mの場合、アウトリガ最大張出の後方・側方作業における定格総荷重例は2.5tです。

OC-200Nの最大作業半径と最大地上揚程は?

タダノ公式の主要諸元では、最大作業半径は11.0m、最大地上揚程は12.0mです。ただし、両方の最大値と最大つり上げ荷重が同時に成立するわけではありません。

アウトリガはどの程度の幅が必要ですか?

OC-200Nの公式仕様では、アウトリガ張出幅は最大5.3m、中間3.6mです。実際にはフロート、敷板、側溝や障害物との離隔、旋回範囲、立入禁止範囲も含めて作業スペースを確保します。

OC-200Nの操作にはどの資格が必要ですか?

OC-200Nはつり上げ荷重20.0tのため、クレーン操作には移動式クレーン運転士免許が必要です。つり上げ荷重1t以上のクレーンで玉掛けを行う担当者には玉掛け技能講習が必要で、公道運転には車両条件に対応する運転免許を別途確認します。

まとめ

  • タダノ公式のトラッククレーンは、荷台を外したトラックキャリア上に専用クレーンを架装し、走行用とクレーン用の運転室を別々に備えます。
  • OC-200Nは、最大つり上げ荷重20.0t、最大作業半径11.0m、最大地上揚程12.0mのトラッククレーンです。
  • 20.0tは作業半径3.0mなどの条件例であり、作業半径11.0mの定格総荷重例は2.5tです。
  • アウトリガ張出幅は最大5.3m、中間3.6mで、設置地盤と作業スペースの確認が欠かせません。
  • OC-200Nのクレーン操作には移動式クレーン運転士免許が必要です。玉掛けと公道運転の資格も別に確認します。
  • 中古車では、現車の銘板、性能表、検査記録、車検証を照合してから作業可否を判断します。

タダノ製品全体の種類と選び方は、【タダノユニックとは】特徴・性能・種類・選び方を総まとめで確認できます。古河ユニックとの違いを選定条件から整理したい場合は、【タダノユニック 比較】古河ユニックとの違いと選び方を確認してください。

出典・参考情報

出典 確認した内容
タダノ「トラッククレーン」 トラッククレーンの構造、走行用とクレーン用の運転室、現行掲載機種
タダノ「カーゴクレーン」 積載型トラッククレーンの構造と、積載・運搬・荷役を行う用途
タダノ「ラフテレーンクレーン」 一つの運転席で走行とクレーン操作を行う構造、不整地・狭隘地での特徴
タダノ「OC-200N」 クレーン容量、最大地上揚程、最大作業半径、ブーム長、アウトリガ張出幅
タダノ「OC-200N公式カタログ」 定格総荷重表、安全装置、アウトリガ形式、車両寸法例、フック質量、使用上の注意
古河ユニック「ユニックの名前の由来」 「UNIC」という名称・愛称の由来
長崎労働局「労働安全衛生法に定める資格等一覧」 移動式クレーン運転、玉掛けに必要な免許・技能講習・特別教育の区分

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