【トラックの構造】図解でわかる基本構成と仕組み

トラックの全体像を斜め前方から撮影した写真風イメージ トラック基礎

トラックは、乗員が乗る「キャブ」、走行装置をまとめた「シャーシ」、用途に応じて取り付けられる「ボディ」の3部分を基本に構成されます。

シャーシとフレームは同じものではありません。また、荷台はボディの一種であり、平ボディ、バン、ダンプ、冷凍冷蔵車、クレーン付きトラックなど、用途によって構造が変わります。

トラックの基本構造をキャブ・シャーシ・ボディの3部分に分けて示した図解

この記事では、主要部分の位置、シャーシとフレームの違い、エンジンから駆動輪までのつながり、2軸・3軸や4×2・6×4の見方を図解の考え方で整理します。

    • キャブ・シャーシ・ボディの位置と役割
    • エンジン、ミッション、デフのつながり
    • 足回り、操舵装置、ブレーキの基本構造
  • 架装によって寸法や最大積載量が変わる理由

トラックの定義や種類、主な用途から確認したい場合は、【トラックとは】意味・定義・種類・用途を初心者向けにわかりやすく解説をご覧ください。

著者:ユニック車ガイド編集部

編集方針:公的資料、トラックメーカーの公式諸元表、業界団体の資料を確認し、車種・型式・架装によって変わる数値を全車共通の値として断定しないように編集しています。

トラックの構造は「キャブ・シャーシ・ボディ」の3部分

トラックの基本構造であるキャブ・シャーシ・荷台の3要素を示す図解

トラック全体を理解するときは、最初にキャブ・シャーシ・ボディの3部分へ分けると整理しやすくなります。

掲載画像では「キャブ・シャーシ・荷台」と表記していますが、厳密には荷台はボディの代表例です。バン、ダンプ、タンクなども、シャーシ上に取り付けられる用途別のボディに含まれます。

基本部分 主な役割 含まれる主な装置・構造
キャブ 乗員が乗り、運転や車両操作を行う 運転席、助手席、計器類、ステアリング、ペダル、操作スイッチ
シャーシ 車体を支え、走る・曲がる・止まる機能を担う フレーム、エンジン、駆動系、アクスル、サスペンション、ブレーキ
ボディ 荷物の運搬や用途別の作業を行う 平ボディ、バン、ダンプ、冷凍冷蔵ボディ、タンク、車載クレーン

用語の注意:現場や中古車情報では、フレームだけを「シャーシ」と呼んだり、荷台や架装装置をまとめて「上物」と呼んだりすることがあります。用語だけで判断せず、どの範囲を指しているか確認することが重要です。

図解で確認するトラック主要部の位置

トラック側面からキャブ・エンジン・フレーム・燃料タンク・バッテリー・アクスル・デフの位置を示した図解

一般的なキャブオーバー型トラックを側面から見ると、前方にキャブ、その下または後方にエンジンがあり、前後方向へ延びるフレームの上にボディが取り付けられています。

主な位置 装置・部位 役割
車体前方 キャブ 乗員空間と運転操作をまとめる
キャブ下または前方 エンジン 走行に必要な動力を発生させる
車体中央の前後方向 フレーム キャブ、装置、架装、荷物を支える
フレーム側面 燃料タンク、バッテリーなど 燃料や電力を供給する
車体下部 アクスル、サスペンション、タイヤ 車重を支え、路面へ駆動力や制動力を伝える
後軸付近 デファレンシャル 左右の駆動輪へ力を分配し、旋回時の回転差を調整する
フレーム上部 ボディ・荷台 貨物の運搬や用途別の作業を行う

主要装置を側面図や上面図で確認したい場合は、【トラックの構造図】主要部品の位置関係を整理で詳しく確認できます。

キャブ、鳥居、あおりなど、外観から見える場所や車体部分の名前は、【トラックの部位名称】車体各部の名前一覧で整理しています。

一方、エンジン、ミッション、デフ、サスペンションなど、交換や点検の対象になる機械装置は、【トラックの部品名称一覧】主要パーツまとめをご覧ください。

シャーシとフレームの違い

フレームは車体の骨格であり、シャーシはフレームを含む走行部分全体を指すのが基本です。

用語 指す範囲 主な役割
フレーム 車体中央を前後方向へ延びる骨格 キャブ、架装、荷物などの重量を支える
シャーシ フレーム、動力装置、駆動系、足回りなどを含む走行部分 車体を支え、走る・曲がる・止まる機能を成立させる

ラダーフレームは左右のサイドレールを横材でつなぐ

トラックでは、はしごに似た形のラダーフレームが広く採用されています。前後方向へ延びる2本のサイドレールを、複数のクロスメンバーで横方向につなぐ構造です。

  • サイドレール:車体の前後方向へ延び、主に曲げ荷重を受ける
  • クロスメンバー:左右のサイドレールをつなぎ、ねじれや横方向の力を受ける
  • ブラケット・補強材:キャブ、サスペンション、架装装置などの取付部を支える

フレームには、車両重量、乗員、積載物、架装装置の重量だけでなく、走行時の振動、段差、旋回、制動による力も加わります。

ただし、フレームの厚さ、断面寸法、材質、穴位置、補強方法は車種・型式・ホイールベース・架装条件によって異なります。外観だけで強度や架装の可否を判断することはできません。

ラダーフレーム、クロスメンバー、架装による荷重、腐食や亀裂の確認方法は、【トラックのフレーム】構造と強度の考え方で詳しく解説しています。

エンジンの力が駆動輪へ伝わる仕組み

エンジンの力がクラッチ・ミッション・プロペラシャフト・デフを通って駆動輪へ伝わる流れを示した図解

一般的な後輪駆動のトラックでは、エンジンが発生させた力が、複数の装置を通って後輪へ伝わります。

エンジン

クラッチまたはトルクコンバーターなど

ミッション

プロペラシャフト

デファレンシャル

アクスルシャフト

駆動輪

装置 基本的な役割
エンジン 燃料などのエネルギーを回転力へ変える
クラッチなど エンジンとミッションの力を接続・切断または伝達する
ミッション 走行条件に合わせて回転速度と駆動力を変える
プロペラシャフト ミッションから後方の駆動軸へ回転力を伝える
デファレンシャル 力の向きを変えて左右へ分配し、旋回時の回転差を吸収する
アクスルシャフト デファレンシャルから左右の駆動輪へ力を伝える

トラックには後輪駆動だけでなく、四輪駆動車や全輪駆動車などもあります。エンジンの搭載位置や動力伝達経路が異なる車両もあるため、すべての車両が同じ構造とは限りません。

ディーゼルエンジンの種類、排気量、出力、トルクなどの見方は、【トラックのエンジン】種類・特徴・選び方の基礎知識で確認できます。

足回り・操舵・制動装置の構造

トラックが安全に走るには、動力を発生させる装置だけでなく、重量を支える足回り、進行方向を変える操舵装置、速度を落として停止させる制動装置が必要です。

機能 主な装置 役割
支える アクスル 車輪を保持し、車体や積載物の荷重を受ける
支える・衝撃を緩和する サスペンション 路面からの衝撃を和らげ、タイヤの接地を保つ
路面へ力を伝える タイヤ・ホイール 駆動力、旋回力、制動力を路面へ伝える
曲がる ステアリング・かじ取り装置 操舵輪の向きを変えて進行方向を調整する
止まる 主ブレーキ、駐車ブレーキ、補助ブレーキ 減速、停止、停車状態の保持を行う

サスペンションにはリーフスプリングやエアサスペンションなどがあり、制動装置にも油圧式や空気式などがあります。車格や用途によって採用される方式が異なるため、実車の仕様書で確認してください。

4×2・6×2・6×4と2軸・3軸の見方

2軸4×2・3軸6×2・3軸6×4の車軸数と駆動輪の違いを比較した図解

2軸・3軸は車軸の本数、4×2・6×4などは車輪位置と駆動する車輪位置の構成を示す表記です。

表記 基本的な意味 構成例
2軸車 車軸が合計2本 前軸1本+後軸1本
3軸車 車軸が合計3本 前軸1本+後軸2本、または前軸2本+後軸1本など
4×2 4つの車輪位置のうち2つを駆動 一般的な2軸後輪駆動車など
6×2 6つの車輪位置のうち2つを駆動 3軸のうち1軸を駆動する車両など
6×4 6つの車輪位置のうち4つを駆動 後2軸を駆動する3軸車など

ダブルタイヤの数え方:後輪に左右2本ずつのタイヤが付いていても、4×2や6×4の数字はタイヤの実本数をそのまま数えたものではありません。左右のダブルタイヤをそれぞれ1つの車輪位置として扱うため、表記上の数字と実際のタイヤ本数は一致しない場合があります。

同じ3軸車でも、前2軸か後2軸か、どの軸を駆動するかによって、荷重配分、旋回性、悪路での走行性、架装の自由度が変わります。

ボディ・荷台・架装による構造の違い

平ボディ・バン・ダンプ・冷蔵冷凍車・クレーン付き・タンク車の架装構造を比較した図解

シャーシ上へ取り付けるボディや装置によって、トラックの用途が決まります。ボディの重量や装置の配置が変われば、荷台内寸、車両重量、最大積載量、軸重なども変わります。

種類 主な構造 主な用途 構造上の特徴 確認する数値・条件
平ボディ 床、鳥居、あおりで構成される開放型荷台 一般貨物、建材、機械、資材 側面や上方から積み降ろししやすい 荷台内寸、床面地上高、最大積載量
バン 屋根と側壁を備えた箱型ボディ 宅配貨物、家具、精密品など 雨風から荷物を保護しやすいが、ボディ重量が加わる 荷室内寸、開口寸法、全高、最大積載量
ダンプ 荷台、ヒンジ、油圧昇降装置 土砂、砂利、建設資材など 荷台を傾けて積載物を排出できる 荷台容積、最大積載量、荷台上昇時の高さ
冷蔵・冷凍車 断熱ボディ、冷却装置、電源・駆動装置 食品、生鮮品、温度管理貨物 断熱材と冷却装置の分だけ重量や荷室寸法が変わる 設定温度、荷室内寸、最大積載量、電源方式
クレーン付きトラック 荷台、車載クレーン、アウトリガー、補強部材 資材や機械の運搬と積み降ろし クレーン装置の重量と設置位置が荷台長や重量配分に影響する 最大積載量、荷台内寸、クレーン型式、作業半径別性能
タンク車 タンク、配管、ポンプ、仕切りなど 液体、粉粒体など 積載物の性質に合わせた専用構造が必要 容量、積載物、重心、最大積載量、関連設備

クレーン付きトラックは装置重量と設置位置を確認する

クレーン付きトラックは、一般的にキャブと荷台の間などへ車載クレーンを取り付けます。クレーン本体、アウトリガー、補強材などが加わるため、同じ車格の平ボディと比べて荷台の有効長や完成車の最大積載量が異なる場合があります。

ただし、架装によって減る最大積載量を一律の数値で示すことはできません。ベース車、クレーン型式、ブーム段数、アウトリガー仕様、荷台寸法、補強方法などによって完成車の数値が変わるためです。

「運べる重量」と「吊れる重量」は別の数値です。運搬できる重量は完成車の車検証に記載された最大積載量、吊り上げ能力はクレーンの型式・定格総荷重表・作業半径などで確認します。

小型・中型・大型で確認する数値は何か

「2t車」「3t車」「4t車」などは、最大積載量や市場での区分を基に使われる通称です。同じ呼び方のトラックでも、キャブ幅、ホイールベース、ボディ、架装によって寸法や重量は異なります。

全日本トラック協会では、一般的な事業用トラックについて、積載量が2トン以下を小型、4トンクラスを中型、10トンクラスを大型とする目安を紹介しています。ただし、実際の完成車は荷台の形や装備によって最大積載量に差があります。

確認項目 分かること 主な確認先
車両重量 車両自体や装備を含む空車時の重量 車検証、公式諸元表
最大積載量 完成車に積載できる貨物重量の上限 車検証
車両総重量 車両重量、最大積載量、乗車定員分を合わせた重量 車検証、法令
全長・全幅・全高 車庫、道路、搬入口などへの進入可否を判断する基礎 車検証、公式諸元表、完成車図面
ホイールベース 前後軸間の距離と車体レイアウトの基礎 公式諸元表、架装資料
最小回転半径 狭い道路や構内での取り回しの目安 公式諸元表
車軸数・駆動方式 荷重の受け方や駆動する車輪の構成 公式諸元表、車両資料
荷台内寸 実際に使用できる荷台や荷室の寸法 完成車諸元表、架装図面、実測

車両総重量は車両重量と最大積載量だけではない

道路運送車両法では、車両総重量を次の合計として定義しています。

車両総重量=車両重量+最大積載量+55kg×乗車定員

たとえば、車両重量と最大積載量が同じでも、乗車定員が異なれば車両総重量も変わります。実際の数値は計算だけで確定させず、車検証の記載を優先してください。

公式諸元表の数値例

次の数値は、いすゞ「ギガ」の大型ダンプ6×4について公開されている架装参考例です。同じ大型トラックや同じギガでも、車型・架装・ホイールベースによって数値は変わります。

項目 架装参考例の数値
駆動方式 6×4
車型 2WG-CXZ77DT-KD-M
ホイールベース 4,535mm
全長 7,640mm
全幅 2,490mm
全高 3,400mm
荷台内側 長さ5,100mm×幅2,200mm×高さ520mm
車両重量 10,750kg
乗車定員 2人
最大積載量 9,100kg
車両総重量 19,960kg
最小回転半径 6.6m

※いすゞ自動車「大型車 ダンプ6×4(架装参考例)主要諸元・車両外観図」に掲載された一例です。この数値は同クラス全車に共通する平均値ではありません。

トラックの構造を確認する順番

トラックを調べるときは、個別の部品名から入るよりも、車両全体から順に範囲を絞ると理解しやすくなります。

  1. キャブ・シャーシ・ボディに分ける
    乗員空間、走行部分、用途別部分の3つに整理します。
  2. フレーム上の主要装置を確認する
    エンジン、燃料タンク、バッテリー、アクスルなどの位置を見ます。
  3. エンジンから駆動輪までのつながりを見る
    ミッション、プロペラシャフト、デフを順番に確認します。
  4. 車軸数と駆動方式を確認する
    2軸・3軸、4×2・6×2・6×4などの構成を確認します。
  5. ボディ・架装の種類を確認する
    平ボディ、バン、ダンプ、クレーン付きなど、用途別装置を確認します。
  6. 完成車の数値を確認する
    車検証、メーカー公式諸元表、架装図面、装置銘板を照合します。

特に中古車や架装車では、ベース車のカタログ値と完成車の車検証記載値が同じとは限りません。最終判断では、実際の完成車に対応する書類と型式を確認してください。

FAQ

トラックはどのような部分で構成されていますか

トラックは、乗員が乗るキャブ、走行装置をまとめたシャーシ、用途に応じて取り付けられるボディの3部分を基本に構成されます。

シャーシとフレームは同じですか

同じではありません。フレームは車体や架装を支える骨格で、シャーシはフレーム、エンジン、駆動系、足回り、ブレーキなどを含む走行部分全体を指すのが基本です。

ボディと荷台は同じ意味ですか

完全に同じではありません。荷台は主に荷物を載せる部分で、ボディは平ボディ、バン、ダンプ、タンクなど、シャーシ上へ架装される用途別部分を広く指します。

4×2や6×4は何を表していますか

基本的には、最初の数字が車輪位置の合計、後ろの数字が駆動する車輪位置を表します。4×2は4つの車輪位置のうち2つ、6×4は6つの車輪位置のうち4つを駆動する構成です。

同じ2tトラックでも寸法や最大積載量が違うのはなぜですか

2t車という呼び方だけでは、キャブ幅、ホイールベース、ボディ、架装装置まで決まりません。車型や架装重量が異なるため、全長、荷台内寸、車両重量、最大積載量も車両ごとに変わります。

トラックの構造や寸法はどこで確認できますか

車検証、メーカー公式諸元表、完成車図面、架装メーカーの仕様書、装置銘板、取扱説明書で確認します。中古車や架装車では、資料の型式と実車が一致していることも確認してください。

まとめ

  • トラックは、キャブ・シャーシ・ボディの3部分を基本に構成される
  • フレームは車体の骨格で、シャーシはフレームを含む走行部分全体
  • エンジンの力は、ミッション、プロペラシャフト、デフなどを通って駆動輪へ伝わる
  • 2軸・3軸は車軸数、4×2・6×4などは駆動構成を示す
  • ボディや架装が変わると、荷台寸法、車両重量、最大積載量なども変わる
  • 実車の数値は、車検証と該当するメーカー公式諸元表で確認する

出典・参考情報

出典 確認した内容
e-Gov法令検索「道路運送車両法」 車両総重量の定義を確認
自動車技術総合機構「審査事務規程」 車両総重量、軸重、最小回転半径、走行装置、最大積載量などの検査項目を確認
日野自動車「駆動方式について」 前後の車輪位置と駆動軸を示す表記例を確認
いすゞ自動車「大型車 ダンプ6×4 主要諸元・車両外観図」 6×4大型ダンプの寸法、重量、荷台内寸、最小回転半径、フレーム構造の架装参考例を確認
全日本トラック協会「事業用トラックの種類」 小型・中型・大型の一般的な呼び方と、平ボディ、バン、ダンプ、冷凍冷蔵車、タンク車などの用途を確認

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