5段ブームでは届かない可能性が見えたとき、「6段ブームなら余裕があるはず」と考えたくなる場面があります。たしかに6段ブームは、5段より遠く・高く届きやすい仕様例があり、搬入位置や上空条件によっては有効な選択肢になります。
ただし、6段ブームは「遠くまで届く装備」であって、「遠くでも重い荷を吊れる装備」とは限りません。ブームを伸ばして作業半径が大きくなるほど、能力表上の定格荷重は下がりやすく、停止位置・アウトリガー張り出し・地盤・障害物回避の条件がずれると、当日に能力不足や再手配につながることがあります。

本記事では、ユニック車6段ブームの作業範囲をメーカー公表例の数値で確認しながら、5段ブームとの違い、作業半径と能力表の関係、手配時に伝える条件、安全・資格・点検の注意まで整理します。段数の基本から確認したい場合は、先に【ユニック車のブームとは】役割と構造を解説を読むと、6段ブームの判断軸が整理しやすくなります。
- ✅ 6段ブームの最大作業半径・最大地上揚程の公表例
- ✅ 5段ブームと6段ブームの違い
- ✅ 「2.93tクラス」でも遠くでは吊れる重量が下がる理由
- ✅ 作業半径・能力表・アウトリガー条件を合わせた成立判定
- ✅ レンタル・手配前に伝えるべき条件
ユニック車ガイド編集部(現場手配・仕様確認の観点で編集)。本記事は安全優先・条件明示の方針で、6段ブームの特徴を「到達」と「能力(定格荷重)」の両面から整理します。
作業可否・資格・法規は状況で変わるため、該当機種の能力表、メーカー資料、現場ルール、有資格者、レンタル会社等で最終確認してください。本記事は「能力表を前提に成立判定するための考え方」を中心に解説します。
ユニック車6段ブームとは|届く距離を伸ばす選択

結論は、6段ブームは5段より作業範囲を広げやすい一方で、作業半径が伸びるほど吊れる重量の余裕が減りやすい装備です。6段を選ぶ目的は「遠く・高く届かせること」であり、「重い荷を遠くで吊ること」ではありません。
ユニック車のブームは、段数が増えるほど伸縮できる範囲が広がりやすく、建物越し、資材置き場の奥、車両を荷に寄せにくい現場などで検討されます。ただし、現場では停止位置が想定より離れる、アウトリガーが十分に張り出せない、障害物でブーム姿勢が変わるなどの条件ズレが起きます。
そのため、6段ブームは「段数が多いから安心」と判断するのではなく、作業半径・吊具込み総重量・アウトリガー条件・姿勢制約を能力表で照合して成立判定することが重要です。作業半径の基本は、【ユニック車の作業半径】安全な作業距離とはでも詳しく整理しています。
- ✅ 届くか:最大作業半径・最大地上揚程で到達範囲を見る
- ✅ 吊れるか:能力表の該当条件で定格荷重を見る
- ✅ 据えられるか:アウトリガー・地盤・水平・周囲干渉を見る
- ✅ 当日成立するか:停止位置や障害物による作業半径の上振れを入れて判断する
6段ブームの作業範囲目安|メーカー公表例で見る

6段ブームの作業範囲は、型式や車格によって変わります。ここでは、古河ユニックのメーカー公表例をもとに、4段・5段・6段の違いを「最大作業半径」と「最大地上揚程」で確認します。
小型トラック架装用の公表例では、4段から5段、5段から6段へ進むにつれて、最大作業半径と最大地上揚程が伸びる例があります。
| 仕様例 | ブーム段数 | 最大作業半径の例 | 最大地上揚程の例 | 見方 |
|---|---|---|---|---|
| 小型トラック架装用の公表例 | 4段 | 8.73m前後 | 10.1m前後 | 近距離寄りの作業範囲 |
| 小型トラック架装用の公表例 | 5段 | 10.63m前後 | 12.0m前後 | 6段との比較対象 |
| 小型トラック架装用の公表例 | 6段 | 12.63m前後 | 13.9m前後 | 到達距離・高さを伸ばしやすい |
| 中型トラック架装用の公表例 | 6段 | 14.42m前後 | 16.2m前後 | 車格・仕様でさらに範囲が変わる |
この公表例では、小型トラック架装用の5段から6段で、最大作業半径が約2m、最大地上揚程が約1.9m伸びる例があります。ただし、これはあくまで「届く範囲」の例です。その距離で重い荷を吊れるという意味ではありません。
実際の作業可否は、型式、架装車、アウトリガー張出条件、ブーム角度、作業半径、吊具込み重量、現場姿勢によって変わります。性能表の見方は、【ユニック車の性能表】読み方と注意点、作業できる範囲の考え方は【ユニック車の吊り上げ範囲】作業可能エリアの考え方もあわせて確認してください。
最大作業半径や最大地上揚程は「到達可能な範囲」を見る数値です。作業で必要なのは、その範囲に届くことに加えて、該当する作業半径で吊具込み総重量を吊れるか、アウトリガー条件が合うか、地盤と姿勢が成立するかを確認することです。
5段ブームとの違い|6段は「余裕」ではなく「到達」を取りに行く装備
5段ブームと6段ブームの違いは、主に到達距離と高さの余裕です。メーカー公表例では、5段より6段のほうが最大作業半径・最大地上揚程を伸ばせる例があります。
ただし、6段は「5段より安全余裕が大きい」という意味ではありません。6段を使うほど遠い位置の荷に届きやすくなる一方で、作業半径が大きくなり、能力表上の定格荷重は下がりやすくなります。
| 比較項目 | 5段ブーム | 6段ブーム | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 到達距離 | 小型例で10.63m前後 | 小型例で12.63m前後 | 6段は遠くへ届きやすい |
| 高さ | 小型例で12.0m前後 | 小型例で13.9m前後 | 高所や障害物越しで検討対象になる |
| 能力余裕 | 条件次第 | 遠くで使うほど薄くなりやすい | 能力表で作業半径ごとに確認する |
| 向く場面 | 5段で届き、半径に余裕がある現場 | 5段では届かない理由が明確な現場 | 段数ではなく成立条件で選ぶ |
5段で届く作業なら、5段のほうが計画しやすい場面もあります。6段を選ぶ前に、「なぜ5段では足りないのか」「作業半径は何mになるのか」「最大段依存になっていないか」を整理しましょう。5段側の特徴は、【ユニック車5段ブーム】特徴と向いている作業で確認できます。
ブーム段数の全体像を整理したい場合は、親記事の【ユニック車のブームとは】役割と構造を解説へ戻ると、6段ブームの位置づけを把握しやすくなります。
作業半径と能力表の関係|6段でも遠くでは吊れる重量が下がる

6段ブームで最も注意したいのは、作業半径が大きくなるほど定格荷重が下がりやすいことです。作業半径とは、一般にクレーンの旋回中心から吊り荷の中心までの水平距離を指します。
ブームを伸ばして遠くへ届かせるほど、吊り点は車両から離れます。すると、能力表で参照する作業半径が大きくなり、吊れる重量の上限が下がる方向に働きます。つまり、6段ブームは「届く距離」が増える一方で、「遠くで吊れる重量」は厳しく見なければなりません。
古河ユニックのURG500AMシリーズの公表例では、6段のURG506AMに「つり上げ荷重 2.93t×3.9m」と示される一方、最大作業半径15.47m時の空車時最大定格総荷重は0.25tの例があります。
同じシリーズの公表例では、5段のURG505AMは最大作業半径13.11m時に0.53t、4段のURG504AMは最大作業半径10.60m時に0.75tの例もあります。つまり、2.93tクラスと表示されていても、最大作業半径付近で2.93tを吊れるという意味ではありません。
また、能力表で確認する重さは、吊り荷だけではありません。フック・ワイヤ・シャックルなど吊具の重量も関係します。吊り荷単体ではなく、吊具込みの総重量で見ることが重要です。定格荷重や能力表の考え方は、【ユニック車の能力表】定格荷重との違いを整理でも詳しく解説しています。
- ✅ 吊り荷の重量
- ✅ フック・ワイヤ・シャックルなどを含む吊具込み総重量
- ✅ 作業半径(停止位置が寄せられない場合の上振れ込み)
- ✅ アウトリガー張出条件
- ✅ ブーム段数・伸縮状態・姿勢制約
6段ブームで「届くか」を確認したら、次は必ず「その作業半径で吊れるか」を確認します。作業半径の見方に迷う場合は、【ユニック車の作業半径】安全な作業距離とはを先に確認してください。
6段ブームが向いている現場・向かない現場
6段ブームが向いているのは、5段では届かない理由が明確で、停止位置・地盤・アウトリガー条件をある程度そろえられる現場です。反対に、寄せられない、張り出せない、姿勢が取れない現場では、6段でも不成立になることがあります。
| 判断 | 現場条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 向いている | 5段では届かない距離・高さがある | 能力表で定格荷重を確認する |
| 向いている | 停止位置を確保できる | 作業半径の上振れが小さい |
| 条件付き | 障害物を避ける必要がある | 姿勢制約で作業半径が伸びる場合がある |
| 向かない可能性 | アウトリガーを十分に張れない | 能力表の参照条件が変わる |
| 向かない可能性 | 最大段でギリギリ届く計画 | 半径上振れで余裕不足になりやすい |
特にアウトリガー条件は、6段ブームの作業可否に大きく関係します。アウトリガーの役割や張り出し条件は、【ユニック車アウトリガーとは】役割・張り出し・敷板の基本で詳しく確認できます。地盤や敷板の基本は、【ユニック車の敷板とは】必要な理由と設置方法も参考にしてください。
アウトリガー・地盤・姿勢条件で作業可否が変わる

6段ブームは遠くへ届く分、車両を安定させる条件がより重要になります。能力表上では成立しているように見えても、アウトリガーが十分に張れない、地盤が弱い、車両が水平に据えられない、障害物回避でブーム姿勢が変わる場合は、計画どおりに作業できないことがあります。
アウトリガーの張り出しが不足すると、能力表で参照する条件が変わります。最良条件を前提にして手配していた場合、当日に張り出しスペースが取れず、定格荷重が足りないという判断になることもあります。
- ✅ アウトリガーを計画どおり張り出せるか
- ✅ 敷板や養生で地盤沈下・傾きを抑えられるか
- ✅ 車体を水平に保てるか
- ✅ 上空障害物・建物・電線・足場などの干渉がないか
- ✅ 障害物回避で作業半径が想定より伸びないか
安全衛生教材でも、クレーン作業ではアウトリガー設置地盤の養生、アウトリガー張り出し、旋回時の作業半径への注意が重要な確認点として扱われています。6段ブームでは、到達距離を伸ばせる分、地盤・張り出し・姿勢制約を軽く見ないことが大切です。
アウトリガーと敷板の確認は、【ユニック車アウトリガーとは】役割・張り出し・敷板の基本と【ユニック車の敷板とは】必要な理由と設置方法をあわせて確認すると、現場条件を整理しやすくなります。
手配前チェックリスト|6段ブームで伝えるべき条件

6段ブームを手配するときは、「6段が必要です」だけでは情報不足です。レンタル会社や元請側が判断しやすいように、作業半径・総重量・アウトリガー条件・姿勢制約をセットで伝えます。

- ✅ 吊り荷の重量
- ✅ フック・ワイヤ・シャックルなどを含めた吊具込み総重量
- ✅ 作業半径(停止位置が寄せられない場合の上振れ込み)
- ✅ 車両の停止位置
- ✅ アウトリガー張出可否と設置スペース
- ✅ 地盤状態と敷板・養生の必要性
- ✅ 上空障害物・建物・電線・足場などの干渉
- ✅ 最大段依存の有無
- ✅ 5段で足りない理由
- ✅ 不成立時の代替案
実務では、段数だけでなく「どの条件なら成立するか」を共有することが重要です。操作前の流れや担当範囲を整理したい場合は、【ユニック車の操作方法】初心者がつまずきやすいポイントと対策を確認してください。作業前の確認項目をまとめたい場合は、【ユニック車の事故防止チェックリスト】作業前確認が受け皿になります。
6段でも足りない場合の代替案
6段ブームでも能力表の条件一致で余裕が薄い場合は、無理に最大段・最大半径で押し切らないことが重要です。6段で届くとしても、吊具込み総重量、地盤、張り出し、姿勢制約が合わなければ、作業として成立しない場合があります。
- ✅ 停車位置を変えて作業半径を短くできないか確認する
- ✅ 搬入ルートを変えて、より近い位置から作業できないか検討する
- ✅ 吊り荷を分割し、吊具込み総重量を下げられないか確認する
- ✅ アウトリガーを張り出せる別の据付位置を検討する
- ✅ 上位車格や別のクレーン手配を検討する
- ✅ 条件が重い場合は、専門業者への外注も含めて判断する
代替案を考えるときは、「何が不足しているのか」を切り分けます。作業半径が問題なのか、定格荷重が足りないのか、アウトリガー条件が取れないのか、姿勢制約が大きいのかを分けて考えると、次の手配条件を整理しやすくなります。作業可能エリアの考え方は、【ユニック車の吊り上げ範囲】作業可能エリアの考え方でも確認できます。
能力表の読み違いを防ぐには、【ユニック車の能力表】定格荷重との違いを整理もあわせて確認してください。
安全・法規・資格の注意|能力表で成立しても確認は別
能力表で条件が成立しても、安全条件・資格・点検条件がそろわなければ作業は成立しません。能力表は、仕様条件における能力を確認するための資料であり、地盤・水平・周囲干渉・合図体制・立入管理まで自動的に保証するものではありません。
資格区分の確認
- ✅ つり上げ荷重5t以上の移動式クレーン:移動式クレーン運転士免許
- ✅ つり上げ荷重1t以上5t未満の移動式クレーン:小型移動式クレーン運転技能講習
- ✅ つり上げ荷重1t以上のクレーン等で玉掛け作業を行う場合:玉掛け技能講習
上記は資格区分の代表的な整理です。実際には、作業内容、機種、現場ルール、元請の運用基準によって確認が必要です。「運転できること」と「クレーン操作・玉掛け・合図ができること」は分けて考えてください。
点検・記録の確認
- ✅ 移動式クレーンは1年以内ごとの定期自主検査を確認する
- ✅ 1月以内ごとの月例自主検査を確認する
- ✅ 作業開始前点検を行う
- ✅ 検査記録は3年間保存する
- ✅ 作業開始前点検では、巻過防止装置、過負荷警報装置、ブレーキ、クラッチ、コントローラー機能などを確認する
安全装置は、無理な作業を許可するための装置ではなく、異常や過負荷を避けるための補助です。安全装置の種類は【ユニック車の安全装置】種類と役割、点検の考え方は【ユニック車の安全装置点検】見落としやすいポイントも確認してください。
当日止められないための最終確認
- ✅ 停止位置:寄せられない前提の作業半径で成立判定しているか
- ✅ アウトリガー:張り出し条件が計画通りに取れるか
- ✅ 地盤:敷板・養生を含めて沈下や傾きのリスクを見ているか
- ✅ 姿勢:障害物回避で想定姿勢が崩れないか
- ✅ 体制:運転・操作・玉掛け・合図・立入管理の担当が分かれているか
最終判断は、該当機種の能力表、メーカー資料、現場ルール、有資格者、レンタル会社等で確認してください。6段ブームは便利な装備ですが、安全条件を省略してよい装備ではありません。
FAQ
まとめ|6段ブームは作業範囲と能力を分けて判断する
ユニック車6段ブームは、5段では届きにくい距離・高さを補える一方で、作業半径が伸びるほど定格荷重の余裕が下がりやすい装備です。段数だけで判断せず、作業半径、吊具込み総重量、アウトリガー条件、地盤、姿勢制約を能力表で照合して判断しましょう。
- ✅ 6段ブームは到達距離・高さを伸ばしやすい
- ✅ ただし、遠くで重い荷を吊れるとは限らない
- ✅ 2.93tクラスでも最大作業半径付近では数百kg台まで下がる公表例がある
- ✅ 5段で足りない理由を明確にしてから6段を選ぶ
- ✅ 能力表・作業半径・アウトリガー・姿勢制約をセットで確認する


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