4tユニック5段ブームを検討するときに迷いやすいのは、「4段では届かないかもしれない」「5段なら遠くまで吊れるのではないか」「ただしアウトリガーを出せるか不安」という判断が同時に出てくる点です。特に、段数だけで選ぶと、届いても吊れない、アウトリガー条件が成立しないといったズレが起きやすくなります。
結論:4tユニック5段ブームは、4段では届かず、5段なら必要な作業半径・定格総荷重・アウトリガー条件を満たせる現場で選ぶのが基本です。代表例のタダノZX305では、最大作業半径は12.1m、最大地上揚程は約13.7mです。一方、最大作業半径12.1m時の空車時定格総荷重は0.28tまで下がります。
この0.28tは「280kgの荷物をそのまま吊れる」という意味ではありません。定格総荷重にはフックなどの吊り具の質量が含まれるため、実際に吊る荷物は吊り具等を含めて判断する必要があります。また、性能はアウトリガー張出幅や作業領域、車両条件などでも変わるため、最終的には個別車両の定格総荷重表を確認してください。

性能表全体の読み方から確認したい場合は、先に4tユニックの性能表で作業半径・定格荷重・アウトリガー条件の確認順を整理しておくと判断しやすくなります。
著者:ユニック車ガイド編集部(現場判断・安全配慮担当)
本記事は、最大ブーム長や段数だけでの判断を避け、作業半径×定格総荷重×設置条件を性能表(能力表)で照合する手順を軸に、4tユニック5段ブームが向く作業と成立しない条件を整理しています。掲載数値は代表機種の公式諸元をもとにした例であり、機種・型式・年式・架装・アウトリガー張出条件・車両ベース等で変わります。
監修条件:最終判断は、個別車両の仕様書・銘板・定格総荷重表・メーカー情報・レンタル会社・事業者確認を前提にしてください。安全に関する条件は機種仕様、作業領域、設置状態、現場条件によって異なります。
結論|5段は「4段では届かず、5段なら性能表上成立する現場」で選ぶ
先に見るべき4つの判断
- ✅届くか:必要な作業半径と高さが5段の範囲に入るか
- ✅吊れるか:その作業半径で必要荷重が定格総荷重の範囲に入るか
- ✅設置できるか:アウトリガー張出幅、地盤、水平設置などの条件が成立するか
- ✅5段が適切か:4段で十分ではないか、逆に5段でも届かず6段や別機種が必要ではないか
5段ブームは4段より到達範囲の選択肢を増やしやすい仕様です。ただし、作業半径が大きくなるほど吊り上げ能力は小さくなるため、「届く=吊れる」とは判断できません。作業半径をどこから測るのか分からない場合は、4tユニックの作業半径の測り方と能力低下の考え方を確認してください。
4段で足りる/5段が必要/5段でも厳しいの分岐
4段で足りる:想定作業半径と必要荷重が4段の性能表で余裕を持って成立し、設置条件も確保できる場合。
5段が必要:4段では到達不足が明確で、5段なら必要な作業半径・定格総荷重・アウトリガー条件が成立する場合。
5段でも厳しい:必要半径が5段の最大作業半径を超える、遠い位置で荷が重すぎる、アウトリガー条件が成立しないなど、段数を5段にしても解決しない場合。
4tユニック5段ブームの性能目安|12.1m級まで届く代表例
タダノZX305では最大作業半径12.1m・最大地上揚程約13.7m
代表例として、タダノZX300 seriesのZX305は5段ブームで、空車時最大クレーン容量は2.93t×2.4m(4本掛)、最大作業半径は12.1m、最大地上揚程は約13.7mです。5段を選ぶことで、4段では届きにくい奥行きや高さへ対応できる可能性が広がります。
メーカー・型式によって数値は異なります。古河ユニックの中型トラック架装用クレーンでも、5段ブームの代表例として最大作業半径12.11m、最大地上揚程14.0mの仕様が掲載されています。
| 確認項目 | ZX305の代表値 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| ブーム段数 | 5段 | 5段ブームの代表機種として確認 |
| 空車時最大クレーン容量 | 2.93t×2.4m(4本掛) | 2.93tをどの位置でも吊れるという意味ではない |
| 最大作業半径 | 12.1m | クレーン旋回中心からフック中心までの水平距離 |
| 最大地上揚程 | 約13.7m | 高さが必要な作業を検討する際の代表値 |
| 最大作業半径時の空車時定格総荷重 | 0.28t | 最大半径では吊り能力が大きく下がる |
12.1m先の0.28tは「荷物だけの重量」ではない
タダノの仕様書では、空車時定格総荷重の値にはフックなどの吊り具の質量が含まれるとされています。そのため、最大作業半径時の0.28tを見て「280kgの荷物ならそのまま吊れる」と判断してはいけません。
また、仕様書の性能値は水平な堅い地面にクレーンを水平に設置した場合を前提とし、性能はアウトリガー張出幅等によって変わります。実作業では、必ず個別車両に表示されている定格総荷重表と作業条件を照合してください。
実際の作業半径で使える数値を確認するときは、4tユニックの定格荷重表で該当するセルの読み方を確認してください。
4段と5段の違い|代表例では最大作業半径に約2.3mの差
5段を選ぶ意味が出やすいのは、4段では必要位置へ届かない場合です。タダノZX300 seriesの代表例では、4段のZX304が最大作業半径9.8m、5段のZX305が12.1mで、最大値には約2.3mの差があります。ただし、ここで比較する目的は「5段が常に優れている」と判断することではなく、4段では到達不足になる現場で5段が候補になるかを見ることです。
| 比較項目 | 4段 ZX304 | 5段 ZX305 | 5段選定で見るポイント |
|---|---|---|---|
| 空車時最大クレーン容量 | 2.93t×2.6m(4本掛) | 2.93t×2.4m(4本掛) | 最大容量だけでは5段の優劣を判断できない |
| 最大作業半径 | 9.8m | 12.1m | 5段は代表例で約2.3m遠くへ届く |
| 最大地上揚程 | 約11.4m | 約13.7m | 5段は高さにも余裕が出やすい |
| 最大作業半径時の空車時定格総荷重 | 0.40t | 0.28t | 遠くまで届く一方、最大半径では吊れる重量が小さくなる |
2.93t吊りでも遠い位置で2.93tは吊れない
2.93t吊りは「どの位置でも2.93t吊れる」という意味ではありません。タダノZX305の代表例では空車時最大クレーン容量は2.93t×2.4mですが、最大作業半径12.1mでは空車時定格総荷重が0.28tです。作業半径が大きくなるほど能力は小さくなるため、最大値だけで5段を選ばないことが重要です。
3段〜6段全体の比較はブーム長さ記事で確認
本記事では5段を選ぶために必要な4段との差だけを扱います。3段・4段・5段・6段を横並びで比較し、何m届くかを確認したい場合は、4tユニックのブーム長さと段数別の違いを確認してください。5段の12m級でも必要位置へ届かない場合は、6段や別クラスを含めて検討する必要があります。
性能表で5段を選ぶ判断手順

5段を選ぶ前に見る順番
- 荷物と吊り具の総重量を確認する:荷物本体だけでなく、フックや使用する吊り具等を含めて考える
- 作業半径を測る:クレーン旋回中心からフック中心までの水平距離を確認する
- 必要な高さを確認する:障害物越しや高所への荷揚げでは、必要な地上揚程も確認する
- 定格総荷重表を確認する:想定半径・ブーム条件・作業領域等で必要荷重が範囲内かを見る
- アウトリガー条件を確認する:張出幅、地盤、水平設置など、その性能を使える前提が成立するかを見る
- 5段が適切か判断する:4段で成立するなら4段、5段でも成立しないなら6段・別機種・設置位置変更等を検討する
作業半径は単なるブーム長さではありません。障害物を避けるために車両を後退させる、荷の中心が遠い、建物や塀を越えて作業する、といった条件によって必要半径は変わります。具体的な荷物重量から成立するかを確認する場合は、4tユニックの吊り上げ荷重と作業半径別の判断方法も確認してください。
アウトリガー条件が変われば使える性能も変わる
メーカー公式仕様では、アウトリガー張出幅に応じて性能が変わることが示されています。5段で12m級まで届く機種であっても、現場で必要な張出条件を確保できなければ、最大張出時と同じ性能を前提にはできません。設置幅を確認する場合は、4tユニックのアウトリガー寸法と張り出し条件を確認してください。
個別車両の作業可否は、メーカー公式ページだけでなく、実車に備え付けられた定格総荷重表・仕様書・銘板等で確認してください。タダノ公式のZest EXシリーズ仕様PDFでは、作業半径、地上揚程、定格総荷重、アウトリガー張出条件などの考え方を確認できます。
4tユニック5段ブームが向いている作業
4段では届かず、5段なら半径条件を満たせる現場
代表例では4段の最大作業半径9.8mに対して5段は12.1mです。そのため、4段では荷の中心まで届かない一方、5段なら必要半径に入る現場では5段を選ぶ意味があります。ただし、到達できるだけでなく、その半径で必要荷重が定格総荷重の範囲に入ることが前提です。
高所・奥行き・障害物越しで設置位置が限定される現場
- ✅建物の奥側へ荷を送る必要がある
- ✅フェンスや塀などの障害物があり、車両を荷の近くまで寄せられない
- ✅段差や敷地条件により、クレーン車の設置位置を後退させる必要がある
- ✅4段では到達不足だが、5段では作業半径と必要高さを満たせる
必要荷重が5段の性能表内に収まる現場
5段は「軽い荷なら大丈夫」と単純に判断するものではありません。荷物と吊り具を含めた重量、作業半径、ブーム条件、アウトリガー張出幅、作業領域等を確認し、必要荷重が該当する定格総荷重の範囲に収まる現場で候補になります。
5段でも向かない作業|届いても吊れない条件
遠い位置で重量物を吊る作業
5段は遠くまで届きやすくなりますが、遠い位置ほど吊り上げ能力は小さくなります。ZX305の代表例では最大作業半径12.1m時の空車時定格総荷重は0.28tです。重量物を遠い位置で吊る必要がある場合、5段にするだけでは解決せず、設置位置の変更や別機種の検討が必要になることがあります。
アウトリガー条件・地盤条件が成立しない現場
- ⚠️必要なアウトリガー張出幅を確保できない
- ⚠️地盤が弱く、クレーンを安定して設置する条件を確保できない
- ⚠️水平な設置状態を確保しにくい
- ⚠️側溝・段差・障害物等により必要な設置位置を取れない
4段で十分、または5段でも届かない現場
4段で十分な場合:想定作業半径・必要高さ・必要荷重が4段で余裕を持って成立するなら、「念のため5段」という理由だけで選ぶ必要はありません。
5段でも届かない場合:必要作業半径が12m級を超えるなど、5段の範囲外になる場合は、6段や別クラスの車両、設置位置変更などを検討します。段数全体の違いは4tユニックのブーム長さと3段〜6段の比較で確認してください。
また、作業方向によって定格総荷重の条件が異なる機種があります。前方・側方・後方などの作業領域を自己判断で一律に扱わず、対象車両の定格総荷重表とメーカー仕様を確認してください。
5段を手配する前に伝える条件

「5段希望」より先に伝えること
- ✅荷物本体の重量
- ✅使用する吊り具等を含めた重量条件
- ✅クレーン設置位置から荷中心までの作業半径
- ✅必要な高さと障害物の位置
- ✅アウトリガーを張り出せる幅
- ✅地盤・段差・側溝など設置条件
- ✅荷物を荷台へ載せて運ぶ必要があるか
- ✅搬入経路や駐車・設置スペース
レンタル会社や販売店へ相談するときは、「4tの5段を希望」だけで依頼しないことが重要です。荷物重量・必要半径・高さ・設置条件を先に伝え、候補車両の性能表で成立することを確認してから段数を決めると、手配後の「届くけれど吊れない」というズレを減らせます。

吊れることと、載せて運べることは別に確認する
5段のクレーン性能が成立しても、荷物を荷台へ載せて運ぶ場合は最大積載量や荷台条件を別に確認する必要があります。また、車両が現場へ進入・設置できるかもクレーン性能とは別の判断です。
積載条件は4tユニックの最大積載量、車両寸法は4tユニックの全長・全幅・全高で確認してください。
FAQ
4tユニックの5段ブームはどんな作業で選ばれやすい?
4段では必要位置へ届かず、5段なら作業半径・必要高さ・定格総荷重・アウトリガー条件が成立する作業で候補になります。高所や奥行きが必要な現場、障害物のため車両を荷から離して設置する現場などが代表例です。
4段と5段の違いはどこで効く?
タダノZX300 seriesの代表例では、4段ZX304の最大作業半径が9.8m、5段ZX305が12.1mで、約2.3mの差があります。4段では到達不足になる一方、5段なら必要位置へ届く現場でこの差が効きます。
最大作業半径12.1mで280kgの荷物を吊れますか?
ZX305の代表例では最大作業半径12.1m時の空車時定格総荷重は0.28tですが、この値にはフックなどの吊り具の質量が含まれます。そのため「280kgの荷物をそのまま吊れる」とは判断せず、実車の定格総荷重表と吊り具を含む条件を確認してください。
5段ブームなら遠くの重量物も吊れますか?
遠くへ届きやすくなる一方、作業半径が大きくなるほど吊り上げ能力は小さくなります。重量物を遠い位置で吊る作業では、5段にするだけでは成立せず、設置位置変更や別機種の検討が必要になる場合があります。
アウトリガーを十分に張り出せない現場でも5段を使えますか?
アウトリガー張出幅によって使える性能が変わるため、十分に張り出せない状態で最大張出時と同じ性能を前提にはできません。対象車両の張出状態に対応する定格総荷重表を確認し、地盤や水平設置などの条件も含めて判断してください。
まとめ|5段は12m級の到達と吊り能力をセットで判断する
- ✅4tユニック5段ブームは、4段では届かず5段なら性能表上成立する現場で選ぶ
- ✅タダノZX305の代表例では最大作業半径12.1m、最大地上揚程約13.7m
- ✅4段ZX304の最大作業半径9.8mに対し、5段ZX305は約2.3m遠くまで届く
- ✅ZX305の最大作業半径12.1m時の空車時定格総荷重は0.28tまで下がる
- ✅0.28tにはフックなどの吊り具質量が含まれるため、荷物だけの重量として扱わない
- ✅5段を選ぶときは作業半径・必要荷重・高さ・アウトリガー条件をセットで確認する
- ✅4段で十分なら4段、5段でも届かない・吊れない場合は6段や別機種も検討する
手配前には、荷物と吊り具の重量、必要作業半径、必要高さ、アウトリガー設置条件を整理し、候補車両の定格総荷重表・仕様書・銘板を確認してください。具体的な荷物が吊れるかを判断する場合は4tユニックの吊り上げ荷重、表の該当箇所を読む場合は4tユニックの定格荷重表へ進んでください。
出典・参考情報
| リンク名 | URL | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| タダノ ZX300 series | https://www.tadano.com/japan/products/tm/zx300-series/ | ZX303〜ZX306のブーム段数、空車時最大クレーン容量、最大作業半径、最大地上揚程、空車時定格総荷重の公式値。 |
| タダノ Zest EXシリーズ仕様PDF | https://mediahub.tadano.com/m/44c6e2a5b90884dd/original/doc_tadano_ZX550A_ZX360_ZX300_ZX290G_specifications_JPN_ja.pdf | 作業半径、定格総荷重、吊り具質量、アウトリガー張出幅と能力、性能表を読む際の条件。 |
| 古河ユニック 中型トラック架装用クレーン | https://www.furukawaunic.co.jp/products/truck-mounted-cranes/medium-duty/ | 中型トラック架装用クレーンのブーム段数、最大作業半径、最大地上揚程などを確認するためのメーカー公式情報。 |


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